鈴木清順監督『殺しの烙印』復元版が最優秀復元賞に

イタリアで開催されていた第79回ヴェネチア国際映画祭が10日(現地時間)に閉幕し、コンペティション部門最高賞の金獅子賞をドキュメンタリー『All The Beauty and the Bloodshed』が受賞した。

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同作は写真家のナン・ゴールディングによるオピオイド薬害への抗議活動を追ったドキュメンタリー。エドワード・スノーデンについてのドキュメンタリー『シチズンフォー』でアカデミー賞受賞したローラ・ポイトラス監督の作品だ。金獅子像を受け取った監督は「これは(写真家の)ナン(・ゴールディング)のためです。大好きです、ナン。月曜は彼女の誕生日なので、これを彼女に届けます」とスピーチした。

『イニシェリン島の精霊』

『イニシェリン島の精霊』(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督の新作『イニシェリン島の精霊』は男優賞(コリン・ファレル)と最優秀脚本賞(マクドナー)が受賞し、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が同作主演のティモシー・シャラメと再び組んだ『Bones and All(原題)』が監督賞に当たる銀獅子賞、シャラメと共演したテイラー・ラッセルが新人賞を受賞した。

コリン・ファレル

『イニシェリン島の精霊』で最優秀男優賞を受賞したコリン・ファレル

男優賞のコリン・ファレルは作品上映時にはヴェネチア入りしたもののすでに同地を離れていて、ロサンゼルスからリモートで受賞した。ケイト・ブランシェットは女性指揮者を演じた『Tár(原題)』で2度目の女優賞受賞(第64回に『アイム・ノット・ゼア』で受賞)となった。

また、2010年に「体制に反対するプロパガンダ」の罪で禁錮6年を言い渡され、今年7月に当局に収監されたイランのジャファール・パナヒ監督が収監前に完成させていた最新作『No Bears(英題)』が審査員特別賞を受賞した。

クラシック部門で鈴木清順監督の『殺しの烙印』4Kデジタル復元版が最優秀復元賞を受賞。日本からはコンペ部門に深田晃司監督の『LOVE LIFE』、オリゾンティ部門に石川慶監督の『ある男』が出品されたが、残念ながら受賞は逃した。

主な受賞結果は以下のとおり

●金獅子賞
『All The Beauty and the Bloodshed(原題)』/ローラ・ポイトラス監督

●審査員グランプリ賞
『Saint Omer(原題)』/アリス・ディオップ監督

●銀獅子賞
『Bones and All(原題)』/ルカ・グァダニーノ監督

●審査員特別賞
『No Bears(英題)』/ジャファール・パナヒ監督

●マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)
テイラー・ラッセル(Bones and All)

●最優秀女優賞
ケイト・ブランシェット(『Tár』)

●最優秀男優賞
コリン・ファレル(『イニシェリン島の精霊』)

●最優秀脚本賞
マーティン・マクドナー(『イニシェリン島の精霊』)

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