倍賞千恵子、カンヌ正式出品の快挙に「『どう生きるか?』を考えるきっかけになれば」

#PLAN75#倍賞千恵子#早川千絵#河合優実#磯村勇斗#高齢化社会

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(C)2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
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もしも高齢者が自死を選ぶ“権利”を制度として認めたら…映画『PLAN75』

75歳以上の高齢者が自死を選ぶ権利を保障・支援する社会を描いた映画『PLAN75』が6月17日より公開される。このたび、5月17日より開催される第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品されることが決定、早川千絵監督とキャストからコメントが到着した。

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「ある視点」部門への日本人監督作品の出品は、17年の黒沢清監督『散歩する侵略者』以来、5年ぶり。日本人女性監督としては、河瀬直美監督以来、2人目。

また、今回発表された作品の中では、本作品が唯一、日本が製作している映画となる。本年度アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』の快進撃は、昨年のカンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を受賞したことから始まっており、いま再び日本映画に対する注目が世界各国で増している。

なお、脚本・監督を務めた早川監督は、14年に短編『ナイアガラ』で第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に入選、ぴあフィルムフェスティバル(グランプリ)、ソウル国際女性映画祭(グランプリ)、ウラジオストク国際映画祭(国際批評家連盟賞)など数々の受賞歴があり、本作品も昨年のヴェネチア映画祭の企画マーケットではすでに注目を浴びていた。

磯村勇斗、「国境を越え多くの方に届けられることが嬉しい」

この知らせを聞いた倍賞千恵子(角谷ミチ役)は、「粘り強く頑張った甲斐がありましたね」と早川監督をねぎらい、「私も『PLAN 75』に出演できたことを嬉しく思っています。この映画を通して『どう生きるか?』を考えるきっかけになればと願っています」とコメントした。

磯村勇斗(岡部ヒロム役)も、「『PLAN 75』が国境を越え多くの方に届けられることが嬉しい」と喜びの言葉を寄せると共に、「俳優部として参加させて頂けたことに感謝しています」と早川監督に祝辞を述べた。

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河合優実(成宮瑶子役)は、「カンヌということばの響きは、今の自分が辿り着く場所としてあまりにも現実味がなく、このとてもよろこばしい報せを聞いた今もまだ実感がありません」と感慨深げだ。

早川千絵監督は、「喜ばしい知らせを受け、この映画にあらゆる形で関わってくださった一人一人の顔が浮かびました。感謝の気持ちとともに、多くの方に見ていただける幸運をかみしめています」と喜びを語った。

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社会的弱者に向けられるあたたかい視線と「生きるとは何か?」

本作品は、是枝裕和が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築、キャストを一新して臨んだ早川監督の初長編映画。

国は高齢化問題に対処するため、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する「PLAN75」という制度を施行。高齢者の間では、自分たちが早く死ぬことで国に貢献するべきという風潮がにわかに広がりつつあった。

夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、角谷ミチ(倍賞)は長年1人で暮らしてきた。市役所の「PLAN75」申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村)や申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子(河合)は、制度に疑問も抱かず業務に邁進する日々を送っていた。

そんなある日、ミチの職場で高齢のスタッフが勤務中に倒れたことを理由に、ミチは退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえも失いそうになったミチは「PLAN75」の申請手続きを行うか考え始め──。

年齢で命が線引きされてしまうことの恐ろしさとそのようなシステムを生み出してしまう社会構造や人々の意識への痛烈な批判を込め、生きるとは何かを問いかける。

『PLAN75』は、6月17日より全国で公開される。