コロナやウクライナ侵攻前、東京オリンピックを迎える頃の女子高生の憂鬱に寄り添う

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頭痛が痛い
(C)KAMO FILMS

『頭痛が痛い』守田悠人監督が語る

自傷行為や愛情のないセックスを繰り返し、家庭に不和を抱える不登校気味の女子高生・鳴海と、エゴだとわかりつついつも人のことを考え、救急セットを持ち歩く同級生・いくのが支え合うロードムービー『頭痛が痛い』が6月3日より公開される。このたび、ポスタービジュアルと脚本・監督を務めた守田悠人のコメントが届いた。

本作品は、97年生まれの守田監督が18年に製作。舞台はオリンピックを控えた東京で、梶井基次郎「檸檬」引用が幾つか出てくる理由と共に、本作品の意義を語る。

「『檸檬』の中には、憂鬱に対しての画期的なアプローチが内包されており、それは初版から約100年経った今でも色褪せていません。憂鬱というものも一向に色褪せる気配がなく、折り合いをつけながら生きていくしかありません。しかし反面、折り合いをつけてたまるかとも思います。コロナウイルス、ロシア政府によるウクライナ侵攻などによって、18年に想像していた未来が大幅にキャンセルされていく中、東京五輪がいつの間にか素通りし、今を迎えています。たった4年の間に日常や映画という媒体の立ち位置が大きく書き換えられたように感じますが、劇場や、劇場に足を運んでくださる皆様の存在によって本作品の居場所が生まれることを、心より嬉しく思います」

ひとのいたみを分かったつもりでやり過ごしてしまう危うさ

本作品の舞台は、東京五輪に向けた新国立競技場の建設が進む18年の東京。不登校気味の高校生・鳴海(せとらえと)はライブ配信を行うことにより、行き場のなさを埋めようとする。鳴海の同級生・いく(阿部百衣子)はいつも明るく振る舞う反面、形容しがたい憂鬱な気持ちを吐き出せずにいた。ある日、いくは、梶井基次郎の『檸檬』のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函することで憂鬱を晴らそうとする。その遺書を読んだ鳴海と、フリージャーナリストの直樹(鐘ヶ江佳太)は、いくが発するSOSを感じ……。

いく役を、本作品が映画デビューの阿部百衣子、鳴海役をフリーランスのモデル・俳優のせとらえと。いくの遺書を読み正義感に突き動かされるフリージャーナリスト・直樹役を『JOINT』の鐘ヶ江佳太。そのほかに、山本華世子、杉山宗賢、大友久志、ナツメが脇を固める。

本作品は、ぴあフィルムフェスティバルのPFFアワード2020で審査員特別賞を受賞。審査講評では、画家・平松麻に「守田監督はいつもいくと鳴海の横にいるように私には見えました。ひとのいたみを分かったつもりでやり過ごしてしまう危うさに守田監督は向き合っていたのだと思います」と評された。

『頭痛が痛い』は、6月3日より公開される。

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