2次世界大戦中、英国がナチスを欺くために講じた奇策の全容を映画化した『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』が、218日より公開。ムビコレでは、ジョン・マッデン監督のインタビューを掲載中だ。

・『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』ジョン・マッデン監督インタビュー

「彼らがやったのはストーリーを作って人に信じ込ませること。それは私の仕事でもある」

時は1943年、第2次世界大戦が激化する中、ナチスが勢力を広げ、世界の未来は暗雲に包まれていた。ナチスを何とか食い止めなければならないと考えた英国諜報部MI5は、とんでもない奇策をチャーチル首相に提案する。

マッデン監督は、「イギリス軍が、イギリス海兵隊の少佐に見せかけた死体を海に流す作戦を計画する。少佐はある機密文書を運んでいた最中に死んだという設定で、その文書はイギリス本土から北アフリカにいる連合作戦の指揮官へ向けたものなんだ。この作戦の目的は、敵にウソのギリシャ上陸計画を信じ込ませ、すでに察知されているシチリア上陸作戦をダミーだと思わせること。敵の情報収集能力の裏をかいた見事な欺瞞作戦だよ。ウソの作戦内容をドイツ軍に伝えるためには、少佐の死体をスペイン南部に漂着させる必要がある。忘れてたり最初から知らない人が多いけど、スペインは参戦してなかったから、あらゆる陣営のスパイであふれ返ってたんだ。だから文書は確実に敵の手に渡る。劇中のセリフにもあるように、文書はドイツ軍のスパイの手に渡り、その内容がヒトラーにも届くんだ」と本作のストーリーについて説明する。

「あまりに綱渡り、あまりに奇想天外、どう考えてもうまくいきっこない」作戦でありながらも、そこが面白さであると語るマッデン監督。「もし作戦が失敗すれば、ノルマンディー上陸やバトル・オブ・ブリテンに並ぶような歴史に残る大惨事が起きる可能性が高い。非現実的で危うい作戦なのに、絶対に失敗できない。このストーリーの力はそこにあるんだ」。

“ミンスミート”と名付けられたこの作戦の発案者の名は、イアン・フレミング。後に007シリーズを書き上げた、ジェームズ・ボンドの生みの親だ。そんな本作の根底にあるテーマは“ストーリー作り”であるとマッデン監督は話す。「本作に登場するコミュニティー全体が作家で溢れてる。1人はのちの有名作家だが、当時からすでに作家として活動していた。作戦の立案に関わった人々全員が実質的な作家だし、実際に小説を出版した人もたくさんいる。彼らの小説に出てくる犯罪者たちは、犯罪の痕跡を完全に消し去り警察を煙に巻く。彼らがやったのは、ストーリーを作って人に信じ込ませることであり、それは私の仕事でもある」。

キャラクターを作り上げる作業には、俳優の存在も大きく影響した。法廷弁護士であるユーエン・モンタギューを演じたのはコリン・ファースだ。「コリンに合わせて役の年齢を上げたんだ。正直に言えば、私の頭の中にコリンが滑り込んできた。モンタギュー役は彼しかいないと感じた。彼自身もこの作品に興味があると明言していた。モンタギュー役の配役を話し合う場に脚本家のミシェルもいた。彼女が頭の中でコリンを役に当てはめた途端に、映画が大きく前に進み出したんだ」とマッデン監督。

インタビューではマシュー・マクファディン、ジェイソン・アイザックス、ペネロープ・ウィルトン、ケリー・マクドナルドなど、コリン以外の俳優についても語っている。ジョン・マッデン監督のインタビュー全文はこちらから!

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