同期にフレデリック・ワイズマン、クリント・イーストウッド、ラナ・ゴゴベリーゼ

ジャン=リュック・ゴダール監督がザ・ローリング・ストーンズのレコーディング風景を撮影した伝説の音楽ドキュメンタリー映画『ワン・プラス・ワン』。いよいよ本日、12月3日にリバイバル上映を開始した。

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この12月3日は、ゴダール91歳の誕生日。

1930年パリに生まれ、『勝手にしやがれ』(59年)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。ヌーヴェルヴァーグの旗手として、アンナ・カリーナ主演『女は女である』(61年)『気狂いピエロ』(65年)、ブリジット・バルドー主演『軽蔑』(63年)で見せた鮮烈な映像美と世界観で、多くの熱狂的なファンを生み出してきた。

もっとも、68年パリ五月革命をきっかけに、カンヌ国際映画祭を中止に追い込み、以降手がける作品は政治色を帯びていった。『ワン・プラス・ワン』(68年)は、まさにその時代に生まれた。

人気絶頂期のストーンズの名曲「悪魔を憐れむ歌」誕生までのレコーディング風景という歴史的瞬間と、ブラック・パワーについて描く社会的なシーンが絶妙なバランスで化学反応を起こしているのもそのため。当時のゴダールのミューズ、アンヌ・ヴィアゼムスキーが、革命のヒロイン、イヴ・デモクラシーとして出演を果たしている。

そんなゴダールだが、近年は『イメージの本』(18年)で第71回カンヌ国際映画祭にて、史上初となる“スペシャル・パルムドール”を受賞したことが記憶に新しい。カンヌが彼のために特別な賞を贈ったと映画界を賑わせた。

今年3月の時点では、2作品の脚本を手がけていると話し、今なお現役として映画の世界を走り続けるゴダール。思えば91歳の同期には、ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンやハリウッドの生きる伝説クリント・イーストウッド、女性の生き様に焦点を当て続ける女性監督ラナ・ゴゴベリーゼと錚々たる顔ぶれが揃っている。

ストーンズは来年結成60周年。日本公開は実に41年ぶり!

ゴダールの誕生日にリバイバル上映を果たしたこの作品は、来年22年に結成60周年を迎える平均年齢76歳のストーンズをゴダール監督が捉えた、伝説的なドキュメンタリー。日本で初公開されたのは78年11月1日で、今回実に43年ぶりのリバイバル上映となる。

『ワン・プラス・ワン』は12月3日より全国順次限定公開中。