チャペルウェイト 呪われた系譜
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エイドリアン・ブロディがスティーヴン・キングの原作を現代化

エイドリアン・ブロディ製作総指揮で自ら主演したスティーヴン・キング原作小説のドラマ化『チャペルウェイト 呪われた系譜』(全10話)が、12月1日より「スターチャンネルEX」で配信を開始、「BS10 スターチャンネル」でも12月21日より放送される。このたび、その魅力をより深く伝える特別番組『ホラー好き大注目! 海外ドラマ『チャペルウェイト 呪われた系譜』徹底ガイド』(全4回)も配信を開始した(「BS10 スターチャンネル」でも12月14日より放送開始)。

チャペルウェイト 呪われた系譜

特別番組の出演者は、こがけん(お笑い芸人)、風間賢二(翻訳家)、丸屋九兵衛(万物評論家)、伊藤さとり(映画パーソナリティ)、森瀬繚(ライター、 翻訳家)。スティーヴン・キングやクトゥルフ神話の話等を交えながら本作品の魅力をたっぷり語っている。その収録後のこがけんと丸屋のやりとりがひじょうに興味深いので引用する。

実は、アジア人差別など現代のアメリカ社会を鋭く描いている

こがけん:丸屋さん、1発とんでもないハードパンチを決めていたので。それ以外はほんとに雑談だったと思います。

丸屋:(子どもたちに対する)レイシズムが現代のアメリカを描いているんじゃないかってところですかね。

こがけん:それ以外は尺を使って全然違う事を話してしまうので。
丸屋:今回Maggot(ウジ虫)っていいながらドラマに出てきたのはWorm(虫・ミミズ)だったもんね!

こがけん:Worm(ミミズ)でしたね。僕も気になっていたところでした。Wormって! ウジ虫だけじゃないなって! 今回の収録、僕は基本的に面白かったです。MCの役も任されたのでこういう風に言っていますけど、そういう役でなければ「面白い話ですね」って丸屋さんのお話を聞いていますから。そういう役回りだったと思ってください。

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丸屋:でもほんと、(ブーン家の乗る)捕鯨船が日本近海まで来る理由ってそうじゃないですか。でも日本海でクジラは採れないから多分……。

こがけん:太平洋側ですね。

丸屋:そうですよね。制作陣はとりあえず日本海って書いておけと思ったかもしれませんが、それは”Sea of Japan” じゃなくて “Pacific Ocean”じゃな いのとは思いました。

こがけん:それはそうだと思います。

丸屋:ただそこで日本近海って言葉を出したってことは、奥さんが日本人であるってことを匂わせているのかなと思います。1850年代の時点で結婚ができたかどうかは置いておくとして。

こがけん:確かに。そういうバックボーンってすごく重要ですよね。よく映画評論家の話はいらないという方がいますが、そういう時に僕はこう言います。例えば200年後に現代を描いた映画の中に「ヤバい」っていう台詞が出てきて、それがほんとに危ない状況で使う「ヤバい」なのか、良いねそれ!って意味の 「ヤバい」なのか、誰かが説明しなきゃ絶対話が分からない。そのために映画評論家は必要という話をいつもしています。今回のように、日本海っていうのはおかしいよね、じゃああれは、奥さんが日本人というのを示唆しているのでは、と。こういうことを話してくれる人は本当に重要ですよね。ただ、横道に逸れ過ぎるよというのを僕は丸屋さんに言っています。

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丸屋:この場合のヤバいは、最近の英語で言うと「Sick」ですかね。

こがけん:「ill」?

丸屋:一時期は「ill」だったんですけど、もう「Sick」まで来ちゃいました。それ、単なる病気やんと言う気がしますが、「That’s Sick……」って言ったら、「めっちゃかっこええやん」の意味です。

こがけん:なるほど。ヒップホップで「ill」だぜ。っていうのが「Sick」まできてるってことですか……。ってこれはもう止めましょう! 音楽の話まで飛んでしまうので。 これはまずい。変にパスあげてしまった。

全ての創作は2次創作

こがけん:ところで、ホラーって様々な手法を使ってあらゆるストレスを人に与えると思っています。スティーヴン・キングは他の作品でも描いていますが、本作品では村八分にあうというか、ハブられてしまう、自分だけこの土地に馴染めない、何故か分からないけど憎まれている、とか引っ越してきたのに、そこに受け入れられないかもっていうのは相当恐ろしいことだと思います。人間的、呪い的怖さ、化け物が出てくるような怖さより、自分が受ける疎外感・恐怖を描いていてその辺りの底上げが非常に繊細で上手く演出されているなと思いました。

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丸屋:秀逸でいうと、今回10話のドラマになっていますが、原作はスティーヴン・キングの短編でその短編は、“クトゥルフ神話”から持って来ている部分が多々あり、そのクトゥルフ神話というのは、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが書いたものだけれども、実はラヴクラフトが、ロバート・ブロックという人の作品から引用した部分が、例のウジ虫のシーンだったりして。もう、引用の引用の引用のドラマ化みたいなものなんです。孫引きどころではなくひ孫引きみたいな引用の世界です。

こがけん:そもそも神話ってかなり昔の話のようだけれども、実はラヴクラフトが1910年代(1920?)ごろに作った神話で、それが本作の引用になって いるというのが面白いですよね。でもそれも引用引用で……。

丸屋:これはヒップホップ信者としても言いたいのですが……。

こがけん:サンプリングですか。

丸屋:YES! すべての創作は2次創作ということでもあります。だから、このドラマもとても秀逸なのだけれども、結局元は、引用に引用を重ねたもの。でもそれは何がサンプリングされているのかを突き止めるのが現代の鑑賞者にとっては醍醐味でもあって。

こがけん:僕も同様に思っています。今、映像とかすべての作品がほんとにヒップホップ的なものになっているんですよ。すべてがサンプリングの物になっていて。90年代に美輪明宏さんも、今の作品で、完全にオリジナルな物等もうないって言っていて。それってもうファッションでもなんでもそうですし。全部サンプリングでヒップホップ的な物になっていて。そこからカウンターカルチャーとして何が出てくるかっていうのはちょっと面白いなと思っています。

丸屋:もしかすると昔から全ての創作は2次創作だったのかもしれないですね。

こがけん:そうですよ。『ミッドナイト・イン・パリ』みたいだな。

丸屋:アレクサンダー大王は、エジプトのラムセス2世を目指していたんですが、ラミセス2世自身は実は伝説のギルガメシュ大王を目指していたらしいんです。アレクサンダー大王も紀元前何年前の人だよという感じですがその人だって、自分の人生が過去の偉人の2次創作の2次創作だったということです!

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これは意外と普遍的な名作になるかも…!?

丸屋:プリーチャーズコーナーという街では一見すると疫病のようなものが流行っていて、それをもたらしたとされるブーン家という家族が居て、そこの子どもたちは全員アジア系なんです。であるが故に、アジア系の人が病気を持ってきたとされて疎まれるんです。まさに今、コロナ時代のアメリカの写し絵そのものなんじゃないかと。スティーヴン・キング自身そこは考えずに作ったと思いますが、映像化して2020、2021年の状況に出てきたのは素晴らしいと思います。

こがけん:完全にアップデートされていますよね。映像化されるにあたって。そういう差別みたいなものをホラーや恐ろしい者の存在、見えないものやファンタ ジーに乗せていますけど、結局本質はレイシストや差別など、ずっと変わらずあるものをテーマにしている。意外とこの作品は普遍的な作品だと思います。

丸屋:『ゲット・アウト』以降のキング映像という感じですね。

こがけん:『ゲット・アウト』も人種差別を描いた作品なんだなと思っていたらそれがミスリードに使われていますね。

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ひと癖ある登場人物たち

こがけん:お気に入りの登場人物といえば、保安官ですね。

丸屋:我々は“ミスターもみあげ”と呼んでいますけどね。

こがけん:保安官は、チャールズ一家がチャペルウェイトに来て、街の人達に疎まれて白々しい目で見られている時に、そういうのを感じつつも保安官としての職があるから中立にあろうとする人です。一番絶妙に繊細な立ち位置なんです。この人が物語の中で、どういう立ち位置で振舞うかによって内容も大きく変わってくると思うので物語にとって大事なポイントだなと思っています。あと単純に見た目が良いです!

丸屋:私が惹かれるのは、子どもたち3人です。海の上で生まれ育って、初めて陸に来て、そこで突然疎まれる、ホームって言われてもそこは自分の家じゃない、家とは思えない! そんな子どもたちの葛藤がとても良いと思います。

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何も起こらないのが恐ろしい!

こがけん:一つ言えるのが、この話、最初はじっくりと、低温でコトコトと火を通してくるんですよ。ただ後半にかけての畳みかけ方が素晴らしく盛り上がっていくので途中で挫折しようものなら、めちゃくちゃ損だと思います。1話1話メリハリがあるので。最後まで見て下さい。

丸屋:私も同意見なので、それをキャッチコピーにすると「前半の緩やかさに騙されるな!」です。

こがけん:あー! いいですね!

丸屋:何も起こらないのかなと思うんですけど、何も起こらないのが怖いんですよ。

こがけん:リンゴのコンポートを作るぐらい弱火なんです。でもそれはしっかり美味しい。あ、それにリンゴだ。リンゴも大分キーワードになってきます。

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陸に上がった船乗りが自身のルーツを調べていくうちに…

本作品は、スティーヴン・キングが大学時代に執筆し、1978年出版の短編集「深夜勤務」に収録された 短編小説「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」に基づいて、新たなキャラクター設定と脚色でドラマ化した ゴシックホラー。

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・その他の場面写真はコチラ!

1850年に捕鯨船の船長チャールズ・ブーンは、最愛の妻を病で亡くしたのを機に陸に戻り子育てをすることを決意し、いとこのスティーヴンがメーン州の小さな町に遺した屋敷「チャペルウェイト」に移り住むが、スティーヴンらを知る町の住民からはブーン家は疫病神だと冷たく迎えられる。一方、幼少時のトラウマからウジ虫の幻覚に悩まされているチャールズは、いとこらのことを調べるうちに一族のある秘密を知る……。

『チャペルウェイト 呪われた系譜』は、「スターチャンネルEX」で字幕版、吹替版を12月1日より第1話先行配信、12月24日より全話配信開始。「BS10 スターチャンネルSTAR1」で字幕版を12月21日より毎週火曜23:00ほか(12月19日17:00に第1話先行無料放送)、「STAR3」で吹替版を12月24日より毎週金曜22:00ほかで放送される。

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