『彼女が好きなものは』三浦獠太インタビュー

映画初出演の三浦獠太 神尾楓珠らとの友情語る『彼女が好きなものは』インタビュー

#三浦獠太#小説#彼女が好きなものは

三浦獠太

オーディションで初めて得た手ごたえ

ドラマ化もされた浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」を原作に、ゲイであることを隠している高校生・純と、BL好きを秘密にしているクラスメイト・紗枝との恋物語を描いた映画『彼女が好きなものは』が12月3日より公開する。

『彼女が好きなものは』
2021年12月3日より全国公開
(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会

主演・純を神尾楓珠、ヒロイン・紗枝を山田杏奈、純を支える友人・亮平を前田旺志郎が演じるなどフレッシュなキャストが顔をそろえた中、セクシュアリティを偽っていた純に牙を向ける小野を演じたのが、本作で映画初出演を果たした三浦獠太。本人も普段は「いじられ側」と語るなど素とは真逆なキャラクターを演じた三浦に、映画初出演やオーディションを経て小野役を得た心境を聞いた。

【動画】神尾楓珠、涙ながらにゲイである心内を吐き出す姿が切ない『彼女が好きなものは』予告編
【動画】『彼女が好きなものは』三浦獠太インタビュー

──三浦さんにとって映画初出演作となりますが、改めて振り返ってどんな作品になりましたか?

三浦:オーディションで初めて受かった作品で、これまではオーディションで手ごたえを感じたことがなかったですけど、今回は堂々と自分を見せられましたし、オーディション自体が楽しかったです。合格の連絡を頂いた時は本当に嬉しくて、母親にもすぐ連絡してとても喜びました。同時に「裏の主役」と聞かされて、テーマがテーマですし、オーディションでは演じたワンシーンの台本しか読んでおらず小野の事しか考えていなかったので、一気に不安になったのを覚えています(笑)。

──オーディションで受かった決め手はどんなところだと思いますか?
三浦獠太

三浦:僕としても色々と考えて演じてみましたが、とりあえず堂々としようと。それまでオーディションには不安な気持ちで臨んでいたのを、切り替えて胸を張って行ったら監督にはそこが響いていたらしいです。「小野の佇まいが三浦君と被った」と言っていただいて、それが良かったのだろうと思います。

──小野は、クールで仲間内では唯一彼女もいたりとリーダー的存在ですが、演じる上で意識したことは?
彼女が好きなものは

『彼女が好きなものは』撮影現場の様子

三浦:監督は僕が「小野と被る」と言ってくださいましたけど、僕はどちらかというとクラスに友だちは少なかったですし、周りにいじられたり年下にもちょっと舐められるタイプだったので、最初は「似てるかな?」と思いました。でも、セリフの1つ1つに共感できる部分がありました。小野は今回の作品で一番共感率が高いのではないかと思います。それぞれが持っている正義みたいなものを貫く代わりに知らない間に人を傷つけてしまって悩むことってあるじゃないですか。僕も実際にあったので、そういう所から小野にアプローチしていきました。

──役作りをしながら、小野に共感できたというのは具体的にはどのシーン?

三浦:オーディションでも演じたシーンで、純君がみんなにゲイだとバレた後のシーンです。体育の授業の前に、教室で着替えている所に小野が「出ていけてよ!」と声を上げる所ですが、小野は純君がゲイだからとかそういうことに怒ったわけじゃないですし、周りのみんなの純君に対する扱いや苛立ちも自分にもすごく分かるというか…。過去に僕も自分の思う正義を言ったつもりが相手を傷つけてしまったり知らぬ間に人を傷つけていたことがあったので、不器用に人を傷つけてしまうところが自分の中で共感できました。

神尾楓珠とはサッカー、前田旺志郎とはサウナで友人に

──メガホンを執った草野翔吾監督は小野のキャラクター作りが本作で一番難しかったと語っていますが、監督とはどのようなやり取りで小野を作っていったのでしょうか?

三浦:今回僕は初めて映画撮影に参加できたのですが、右も左も分からず何回もNGを出してしまったりしました。でも、監督が芝居や作品の向き合い方など色々と教えてくれましたし、僕も日々勉強する感覚で挑ませていただきました。監督が脚本も書いているので、一つ一つのセリフをすごく大切に撮っていて、自分もセリフの意味や理由を監督と話し合って考えさせられましたし、ひとつの作品を作るにあたってこれだけの熱量で取り組むんだと、とても学ばされました。

──聞けば聞くほど三浦さんにとって俳優として大きな財産になった映画だと感じますが、特に印象に残っていることなどありますか?

三浦:初日に一言だけのシーンで何回もNGを出してしまったんです。周りにも申し訳なかったですし、その時に「これから映画を作るんだ! 今までの自分じゃダメだ!」と気持ちを切り替えました。監督もいいものが撮れるまでとことん付き合ってくれましたし、僕の心の中では「初日にやっちゃった…」という反省もありつつ、あの日が自分の中で大切だったと思います。あと、(スタッフの方にも)映画人が映画を作る心意気を感じましたし、みんなそれぞれ役者が持ってきたものを現場で監督さん達と話し合いながらひとつの空気を作る楽しみを学ばせていただきました。

──友人グループを演じた神尾楓珠さん、前田旺志郎さん、山田杏奈さんらの中では三浦さんが最年長でしたけど、仲間内の空気感はどう作っていきました?

三浦:僕は最年長ではあるけど圧倒的に経験も芸歴も下なので、どちらかというとみんなの方が先輩という感覚でいました。同世代とあまり共演経験がなかったので、刺激を受けて学んだことがとても多くて。一緒に作ったというよりも中に入れてもらって、みんなで結果的に作れたという感じです。

──共演者との思い出も、あれば教えてください。

三浦:一番最初に話しかけてきてくれたのは楓珠君でした。最初は怖そうな雰囲気で仲良くできるか不安でしたけど、彼は結構サッカーが好きで。サッカーの話をするとすごくテンションが上がるので、サッカーを通して打ち解けられました。旺志郎君とはお互いサウナが好きだったので、撮影が終わって二人で行ったり、裸の付き合いですね(笑)。

──三浦さんは昭和~平成初期のものが好きと公言されていますが、例えば今後、昭和をイメージして演じてみたい役や映画などありますか?

三浦:『あぶない刑事』と『傷だらけの天使』のような作品を両方やってみたいです。いわゆる「スーパーヒーロー!」みたいなものではなくて、それぞれの時代で作ってきたヒーローってあるじゃないですか。『あぶない刑事』はタカとユージがカッコ良くて弱みを見せないからこそ見ている人のモチベーションを上げてくれるようなイメージですし、『傷だらけの天使』は人の弱さみたいなものをショーケンさんが演じられていて。どちらも対照的なヒーロー像ですけど、演じてみたいです。

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──最後に、読者にメッセージをお願いします。

三浦:本当に素敵な作品になっていると思いますので、みなさん楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!

(text&photo:中村好伸)

三浦獠太
三浦獠太
みうら・りょうた

1997年9月5日生まれ、東京都出身。2020年に俳優デビュー。以降、土曜プレミアム『4つの不思議なストーリー~超常ミステリードラマSP』、「君と世界が終わる日に Season2』、『コントが始まる』『顔だけ先生』などに出演し、『彼女が好きなものは』で映画初出演した。