フランスの古城を舞台に愛と性を見つめ直す人間ドラマ描く
毎熊克哉と小島梨里杏をW主演に迎え、映像化不可と言われた渡辺淳一原作「シャトウ ルージュ」を映画化した『月がみている』が、11月に公開されることが決定。渡邉直子監督とキャストからコメントが到着した。
・娼家の女はゆっくりとシミーズを…妻に捨てられた男をやっかいな年頃の女たちが翻弄する
本作は、「失楽園」など数々のベストセラーで知られる作家・渡辺淳一による問題作「シャトウ ルージュ」を原作に、映画プロデューサーとして長年活躍してきた娘・渡邉直子が自ら監督を務めて映画化した作品。主演には毎熊克哉、小島梨里杏を迎え、愛と性をめぐる男女のすれ違いと再生を描き出す。
物語の舞台はフランス。誰もが羨むような順風満帆の結婚生活を送っているはずだった克彦と月子。しかし、月子は克彦からの性的な求愛を受け止めきれず、克彦は次第に不満を募らせていく。
そんな中、克彦はある計画を思いつく。妻をフランスへ誘い出し、性的なレッスンを施すという謎の“城”へ幽閉しようと企てるのだった——。
衝撃的な設定から幕を開ける本作だが、その先に待ち受けるのは、愛する人との関係性をあらためて見つめ直させる、鮮やかな余韻を残す人間ドラマ。映画の約7割をフランスで撮影しており、本物の古城を使用した映像美も大きな見どころとなっている。

メガホンを取ったのは、本作が長編初監督作となる渡邉直子。『食堂かたつむり』(10年)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14年)、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(18年)など数々の映画を手がけてきたプロデューサーであり、原作者・渡辺淳一の娘でもある。
原作「シャトウ ルージュ」は、美しい妻から性的な拒絶を受け続ける夫が、フランスの“城”で妻に“性のレッスン”を受けさせようとするという大胆な設定で、発表当時、大きな話題を呼んだ作品だ。
渡邉監督は、原作に込められた思いを受け継ぎながらも、女性ならではの視点を加え、物語を再構築。原作では描き切れなかった主人公・月子の視点を丁寧に織り込むことで、夫婦それぞれの感情を繊細に描き出した。
さらに、原作タイトルにもある“城”という象徴的なモチーフを、フランスでの現地ロケによって映像化。センセーショナルな題材を入口にしながらも、人と人とが互いを理解し、尊重し合うことの難しさと尊さを描き出す。
閉塞感に満ちた現代社会の中で、“自分らしく生きる”ことの意味を静かに問いかける作品となっている。

主演を務めるのは、唯一無二の存在感で映画界を牽引する実力派俳優・毎熊克哉と、本作で新境地を切り開いた小島梨里杏。毎熊が演じるのは、優秀な医師でありながら、妻との関係に満たされない思いを抱える夫・克彦。一方、小島は、そんな夫に翻弄されながらも、自らの心と身体を見つめ直していく妻・月子を演じる。
渡邉監督は、「性的なことは、我々の生の根源であり、自然で尊いことであると捉えることで、見える景色は変わっていくのではないでしょうか。本作を通して罪悪感から解放され、性と生の豊かさを感じて頂けたら嬉しいです」と、本作に込めた真摯な思いを語った。
また毎熊は、「本作は男女の性を描きつつ、異文化や他者との関わりの中でお互いの心身を尊重し合う大切さを問うている気がします」とコメント。単なるセンセーショナルな題材に留まらない、本作の本質について言及した。
小島も、「『私が月子をやっていいものか』と不安や葛藤もありましたが、それ以上に監督の想いに深い共感があり、気づいたら素敵な皆さまと手を取り合っておりました。この作品と向き合う中で、本当の意味で自分を愛することも教えてもらい、今も静かな温もりが胸に残っています」と振り返り、作品と向き合う中で得たかけがえのない経験を明かした。
セクシャルなインパクトは、あくまでも入口に過ぎない。この“城”から出る時、観客はきっと、パートナーや家族、愛する人との関係性を新たな気持ちで見つめ直すことになるだろう。

■渡邉直子(監督)
原作の「シャトウルージュ」は渡辺淳一が、男性へ向けて「ちゃんと女性によりそわないと逃げてしまうと発破をかけたくて書いた」と話していました。
私は、性的なことを「いやらしい」「はしたない」と捉える閉鎖的な空気が、人を、特に女性を苦しめることがあるのではと考えていました。性的なことは、正に我々の生の根源であり、自然で尊いことであると捉えることで、見える景色は変わっていくのではないでしょうか。
原作では語られなかった、自他を理解し、愛を与える理想郷である城を加え、人間の美しい性愛を女性スタッフを中心に作り上げました。映画『月がみている』を通して罪悪感から解放され、性と生の豊かさを感じて頂けたら嬉しいです。
■毎熊克哉(主演)/夫・克彦役
私が演じた克彦は外では信頼されている優秀な医師でありながら、内では妻との関係に満たされない気持ちを抱え歪ませている複雑なキャラクターで、撮影の日々を思い返すとチクりと痛む罪悪感や喪失感と柔らかい優しさが入り混じった不思議な感情になります。本作は男女の性を描きつつ、異文化や他者との関わりの中でお互いの心身を尊重し合う大切さを問うている気がします。現代に突き刺さる作品になっていますので、是非劇場でご覧ください。
■小島梨里杏(主演)/妻・月子役
正直、勇気がいりました。役として「私が月子をやっていいものか」と不安や葛藤もありましたが、それ以上に監督の想いに深い共感があり、気づいたら素敵な皆さまと手を取り合っておりました。特にフランスでの撮影は、もう2度と同じ形では出逢えないような日々の連続でした。
この作品と向き合う中で、本当の意味で自分を愛することも教えてもらい、今も静かな温もりが胸に残っています。この豊かな愛に満ちた世界が、多くの方を優しく包み込めますように。私自身、公開が楽しみです。
『月がみている』は11月全国公開。
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