愛と狂気をまとう伝説のミューズ、若尾文子──妖艶と凄みで魅せる名作5本、今よみがえる
#BS10プレミアム#しとやかな獣#卍#増村保造#妻は告白する#川島雄三#清作の妻#若尾文子#赤い天使
増村保造との名コンビで生まれた情熱の女性像から、川島雄三の風刺劇まで
日本映画黄金期を象徴する大女優・若尾文子の傑出した演技を堪能できる1960年代珠玉の5作、『妻は告白する』(61年)『卍』(64年)『清作の妻』(65年)『赤い天使』(66年)『しとやかな獣』(62年)が、特集放送「ザ・レジェンド:俳優 若尾文子」と題して「BS10プレミアム」で放送される。
・昭和を代表する伝説のスター「市川雷蔵&若尾文子」の特集上映、再び!
若尾文子は、のちに「大映ドラマ」の基礎を築く増村保造監督との名コンビが生み出した4作品で、単なる清純派の枠を超え、愛のために狂気も辞さない情熱的な女性像を熱演。このコンビの序章となる、自らの愛を貫き通す女性を描く『妻は告白する』、谷崎潤一郎の耽美な世界を具現化した『卍』、農村を舞台にした異色の恋愛ドラマ『清作の妻』、そして第二次大戦下で献身と官能が交錯する『赤い天使』、さらに川島雄三監督による密室劇で狡猾な美しさを見せる『しとやかな獣』が放送される。
最盛期の大映(現KADOKAWA)を京マチ子、山本富士子とともに支え、“大映三大女優”と呼ばれた若尾文子。シリアスからコメディまで幅広い役柄を演じた日本を代表する大女優の、妖艶かつ凄みのある演技をこの機会に堪能してほしい。

■『妻は告白する』放送日時:3月2日10時20分/3月23日深夜1時50分
弁護士・円山雅也が執筆した「遭難・ある夫婦の場合」を、『影武者』(80年)の井手雅人が脚色したミステリー。登山中の男性の転落死を巡り、殺人罪で起訴された妻の裁判を通して意外な真実が明らかになる。当時20代後半で女優として曲がり角に立っていた若尾は、「台本を抱いて寝る」という意気込みで、疑惑に揺れる妻の心理を巧みに表現。“名コンビ”と呼ばれた増村保造監督の下で飛躍を遂げ、大女優への転機となった。

■『卍』(64年)放送日時:3月4日10時20分/3月25日0時10分
文豪・谷崎潤一郎の同名小説を新藤兼人が脚色し、当時はタブーとされた女性同士の愛の行方を描いた衝撃作。内に欲望を秘めた人妻役の岸田今日子と、彼女を「姉ちゃん」と呼び、小悪魔的魅力を放つ社長令嬢役の若尾文子が濃密な演技合戦を繰り広げる。2人の女性にそれぞれの男性も加わり、男女4人の欲望が複雑に絡み合う人間ドラマを、若尾との名コンビで知られる増村保造監督が瑞々しいタッチで描く。

■『清作の妻』放送日時:3月5日10時20分/3月26日1時20分
増村保造監督が“名コンビ”と呼ばれた若尾文子を主演に迎え、日露戦争下の農村を舞台に描く人間ドラマ。吉田絃二郎の同名小説を原作に、新藤兼人がラストを変更するなど大胆に脚色し、濃密なドラマを作り上げた。少ない台詞で、夫を愛する女の内に秘められた情念の凄まじさを表現した若尾は、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を受賞。本作について若尾自身は後に「一番好きな映画」と振り返っている。

■『赤い天使』放送日時:3月9日10時15分/3月27日1時50分
日中戦争を題材にした有馬頼義の同名小説を映画化。計20作でタッグを組み、“名コンビ”と呼ばれた増村保造監督の下、若尾文子が極限状態の戦場で愛に生きる従軍看護婦を体当たりで演じた。重傷を負った傷病兵の世話をする従軍看護婦を通して、過酷な戦争の現実と、その中で露わになる人間の本能を生々しいタッチで描き出す異色の戦争映画。主人公と芦田伸介演じる軍医との愛のドラマが、過酷な現実との対比で際立つ。

■『しとやかな獣』放送日時:3月3日10時10分/3月24日1時10分
若尾文子が名匠・川島雄三監督とタッグを組んだ最後の作品で、翌年に亡くなった川島の代表作。若尾は男たちを手玉に取るしたたかな悪女を軽やかに演じている。高度経済成長期を象徴する団地の一室を舞台に、欲に目が眩んだ男女が互いを出し抜こうとする姿を、軽妙な会話と巧みなカット割り、ブラックユーモア満載で描いた痛烈な風刺劇。若尾主演の『清作の妻』でも脚色を手がけた新藤兼人が原作・脚本を担当した。
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