「苦渋の選択」山田洋次監督最新作の製作が大震災により延期に

山田洋次監督
山田洋次監督

今年12月に公開予定だった山田洋次監督の最新作『東京家族』の製作が延期になったことを、配給元の松竹が明らかにした。

外国人記者クラブ会見で山田監督が日本映画界の問題点を指摘

本作は当初、4月1日にクランクインする予定だったが、3月11日の東日本大震災の影響により撮影が難しくなった。また、震災を目の当たりにしたことで心境が変化した山田監督の意向も受け、スケジュールを見直すことにしたという。

山田監督は今回の延期について、以下のようなコメントを寄せた。

「1年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていたとき、3月11日の大災害が発生しました。

このまま素知らぬ顔で、すでに完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のあり方は違ってしまうのではないか──僕は何日も悩み、会社とも繰り返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。撮影を中断して、今年の終わりまでこの国の様子を見よう。その時点で、脚本を全面的に見直した上で、戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ、ということです。

来年、ぼくたちは新たな気力を奮い立てて『東京家族』の製作に挑みます。どうか観客のみなさん、ご期待ください」

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