公開2週で15億円突破、大ヒット中『そして父になる』是枝監督がカンヌでの秘話を明かす

是枝裕和監督
是枝裕和監督

9月28日に公開され大ヒット中の『そして父になる』。2週連続で興行成績1位を記録し早くも興収15億円を突破した同作のティーチインが10月9日に新宿ピカデリーで開催され、是枝裕和監督が出席した。

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映画上映後に行われたティーチイン。満席の客席から拍手が起こるなか登場した是枝監督は「観客の方と話し合うことは、作り手にとってとても力になる。ぜひ、みなさんから感想を伺えたら」と挨拶した。

カンヌ国際映画祭で審査員賞を、サン・セバスチャン国際映画祭で観客賞を受賞するなど海外からも熱い注目を集めている本作。ハリウッドでのリメイクも決まっているが、「残してほしいシーンはあるか」という質問には「リメイクに関しては、特に何も。変わらずに作ってくれるって言ってくれましたけど、特に僕からは何も言ってません。お任せした方が馴染むと思うんで。現場に来てもいいって言われるんですけど、口は挟まないつもりです」と話した。

主演・福山雅治に関するエピソードも語られ、血の繋がらない“父子”が道を平行して歩く感動的なラストシーンについて、「あのシーンは福山さんも撮り終わった後、感無量になってました」と述懐。本作で福山は、社会的成功を収めながらも人間的な欠陥を抱えた父親を演じているが、カンヌ映画祭での上映後に福山が「僕の嫌なところが伝わっているんですね」と感動していたことも明かされた。

さらに、主人公が、息子が撮った自分の写真を見つめる印象的なシーンを編集で一度削ったことも明かし、「前、仕事場で自分の携帯を見た時に、娘が撮った自分の寝顔が沢山あったんです。それ見たとき、寝顔しか見せていないことに結構ショックだったんですよね」と実体験をもとにしたシーンであることを告白。「ただ、撮り進めていくうちに、あまり実体験に近いと客観的に見れなくなってしまうので、一旦外しました。あのシーンがあることで少し湿度が高くなってしまうと感じたんです」と説明し、キャストである真木よう子とリリー・フランキーの助言でそのシーンを映画に戻すことになったと続けた。

6年間育ててきた子どもが病院で取り違えられていたことを知った2つの家族の葛藤を描いた本作。是枝監督は、「血と時間を巡ってのいろんな考え方をいろんなふり幅のなかで、見ている人にも主人公と一緒に揺れながら悩みを共有してもらえたらと思って作りました」と、作品についての思いを語っていた。

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