西田敏行が東日本大震災後の遺体安置所が舞台の映画に主演、映画化への危惧も吐露

舞台挨拶に登壇した西田敏行と君塚良一監督ら
舞台挨拶に登壇した西田敏行と君塚良一監督ら

岩手県釜石市を舞台に、東日本大震災後の遺体安置所で繰り広げられるドラマを描いた『遺体 〜明日への十日間〜』。その特別試写会が2月19日にスペースFS汐留で行われ、主演の西田敏行と君塚良一監督、種田義彦エグゼクティブプロデューサーらが舞台挨拶を行った。

『遺体 〜明日への十日間〜』予告編

監督は、『踊る大捜査線』の脚本家として知られる君塚良一。「震災のときは東京にいて仕事をしていたのですが、何もしていない自分に後ろめたさを感じているなかで、(原作本である)『遺体 震災、津波の果てに』と出会いました」と、製作に至った理由を語った。

西田が演じたのは、定年後に地区の民生委員をつとめてきた男性。遺体安置所でボランティアとして働くことになった彼の姿を通じて物語は進んでいくが、出演をオファーされたときは戸惑いがあったことも吐露。「原作が言いたいことがストレートに伝わらなくなってしまうのではないかという危惧もありました。しかし監督と会って、映画化することによって役者の肉体を通して事実を伝えられるのではないかという思いに変わりました」と明かした。

撮影は群馬県の廃校で行ったが、「美術のスタッフの方は涙を流しながらセットを作っていた」と西田。また「台本では靴を履いたまま遺体安置所に上がるんですが、どうしても靴を脱がないとご遺体のそばに行けないような感じだったので、靴を脱ぎました」と撮影現場の様子について語った。

さらに共演者についても「志田未来さんなんて、子どもの棺を運ぶシーンでは、志田さん自身が打ちのめされているようで、志田さん自身が泣いているのか役が泣いているのか、混沌としてカオスの状態にいたのでは」と、演技を超えた悲しみに包まれていたことを明かし、種田プロデューサーも俳優たちの演技について「時間と共に表現の仕方が変わっていくのが分かりました。役者さんも日々違う思いで“10日間”を実体験として過ごされたんだと思います」と振り返った。

『遺体 〜明日への十日間〜』は2月23日より全国公開される。

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