人生最後の旅をカラリと描いた『ロング、ロングバケーション』

『ロング、ロングバケーション』
(C)2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
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ラブコメ、アクション、ホラー……。どんな映画でも、ついつい“子育て”に結びつけて見てしまうママさんライターが、話題作をママ目線で取り上げます!

【ついついママ目線】『ロング、ロングバケーション』前編
長年を共にした夫婦だからこその人生のほころび

名優と呼ぶのにふさわしい2人、『クィーン』でオスカーを獲得したヘレン・ミレンと、『鑑定士と顔のない依頼人』などのドナルド・サザーランド。彼らの共演で贈る『ロング、ロングバケーション』は人生最後の旅に出て人生の軌跡を振り返る、半世紀以上を共にした夫婦を描いている。

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エラのガンは末期まで進行しており、ジョンはアルツハイマーでときおり記憶や言動がおぼつかない。エラは入院し、ジョンは子どもが面倒を見る予定だったが、周囲の心配をよそに2人はキャンピングカーで最後のバケーションへと旅立つ。目指すは、文学教師だったジョンが敬愛するヘミングウェイの家。

死が現実的な視界に入ってきた熟年夫婦の最後の旅、というと重苦しい悲壮感漂う雰囲気を想像するかもしれないが、キャロル・キングなどに彩られたフロリダに向かう彼らの旅はカラッとしていてライトなタッチで綴られる。かと言って、旅が穏やかに楽しく陽気に続くわけではなく、問題を抱えたもの同士ならなおさらだ。

記憶が混濁するジョンはエラや子どもたちのことがわからなくなってしまったり、ジョンの過去の過ちが今更になって掘り返されたり、エラの体調が悪化して病院に担ぎ込まれる騒ぎになったり。一難去ってまた一難と次々と問題が浮上してくる。なんでも経年劣化するように、人生も長いとほころびが出てくるのだ……(後編へ続く)。

後編「お漏らししてもチャーミングな名演!」