腐ったトマトを投げつけブーイング!に由来の評価格付けロッテン・トマトって?

#ロッテン・トマト#興行トレンド

ロッテン・トマト(RottenTomatoes.com)より
ロッテン・トマト(RottenTomatoes.com)より

【興行トレンド】日本にはない格付け指標

11月18日公開『ローガン・ラッキー』が「驚異のフレッシュ度94%」、同日公開の『KUBO クボ 二本の弦の秘密』が「97%フレッシュ」――。映画の宣伝で「ロッテン・トマトで高い評価」をうたうケースが増えている。

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ロッテン・トマト(RottenTomatoes.com)とはアメリカの映画評論家による映画批評をまとめ、肯定的な批評が多かったかどうかを集計・数値化したサイト。ロッテン・トマト(腐ったトマト)という名称は、かつて演劇で内容のひどさに怒った観客が腐ったトマトを舞台へ投げつけたことに由来する。

『ローガン・ラッキー』は批評家220人中204人、『クボ』は190人中184人が肯定的な評価をしたため、それぞれ93%、97%という数値になった(『ローガン・ラッキー』は集計時期が異なるため数値に違いが出た)。60%以上を「フレッシュ」としてトマト、59%以下を「ロッテン」として緑のつぶれたトマトのマークを付けている。また75%以上(トップ批評家の5人を含む)を「フレッシュお墨付き」としている。

ロッテン・トマトの対象となる批評家は次のように規定されている(公式サイトより)。

[出版物]
・全米トップ100の日刊新聞
・全米トップ100の週刊新聞トップ100の雑誌
・トップ10のエンタテインメント系出版物

[テレビ番組]
・テレビもしくはラジオの全国番組
・トップ10の視聴者規模に入るローカルテレビ番組
・トップ5の視聴者規模に入るローカルラジオ番組

[ネット]
・月間50万ユニークユーザー以上のサイト

これらの出版物やテレビ番組の批評を「ロッテン・トマト」のスタッフがサイトで調査・集計している。対象となる批評家の総数は不明で、作品によっては批評していない出版物やテレビ番組があるため、『ローガン・ラッキー』と『クボ』の批評家数が異なっている。

日本の映画会社ではこれまで、批評家や映画ライター、雑誌編集部などの推薦コメントを宣伝で使用してきたが、近年では「より多くの批評家が評価している」ことを宣伝文句で打ち出したいため「ロッテン・トマト」の数値を使用するケースが増えている。

ところで、日本では新聞や雑誌、ネットで批評家が採点することはあるが、「ロッテン・トマト」のように映画批評をまとめたサイトはない。一般観客の採点を集計した「Yahoo!レビュー」「ぴあ満足度」などがあるだけだ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。