媚びない姿勢で人気!「進撃の巨人」作者もリスペクトのSF漫画、その劇場版の出来映えは?

#アニメ#元ネタ比較

『BLAME!』は5月20日より全国公開、Netflixで配信
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
『BLAME!』は5月20日より全国公開、Netflixで配信
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

原作と映像化された作品を、重箱の隅をつつくように細か〜く比較する【元ネタ比較】。今回はアニメ映画『BLAME!』を取り上げます。

【元ネタ比較】映画『BLAME!』前編
海外のクリエイターも魅了する難解なコミックが原作

「進撃の巨人」の作者・諫山創や海外のクリエイターもリスペクトするという弐瓶勉(にへい・つとむ)原作による「BLAME!」が劇場アニメ化された。「寄生獣」など硬派なSFも連載される「月刊アフタヌーン」に1997年〜2003年まで連載され、弐瓶勉は人気アニメシリーズ『シドニアの騎士』の原作者でもある。

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20年も前に連載開始され、映像化不可能と言われた難解な漫画が劇場アニメ化されるとは、よほど根強いファンがいるのだろう。「BLAME!」は絵柄も世界観もクセが強く、好き嫌いがはっきりと分かれる漫画だ。

ジャンルでいうとSFアクションであり、舞台は高度に発達したネットワークが支配する超未来。ネットワークに世界が乗っ取られ、人類の方が弱者となってしまっているという、ざっくり括ると『ターミネーター』や『マトリックス』に通じる例のパターン。ちなみに『ターミネーター』は1984年の作品だが、『マトリックス』は1999年で「BLAME!」のが先だ。人類はネットワークからの攻撃に怯えて暮らすなか、謎に包まれた主人公・霧亥(キリイ)が人類の存亡のために冒険と闘いを繰り広げてゆく。

“難解”と前述したが、ひとえに哲学的で高尚で理解が難しいというわけではないだろう。そもそもなんの説明もなく唐突に始まり、セリフは少なくアクションだけが何10ページも続いたりする挙句、出てくるセリフは重力子放射線射出装置だの代理機成体だのという聞き慣れない単語が説明もなく使われてやりとりされているため1回読んだだけではなかなか把握しづらい。

それに、絵ヅラからして、角度を変えたアップの切り返しなどが多用され、正直言って何が描かれてるのか、なんのこっちゃワケわからん…というシーンも多く感じられる。良く言えば星野之宣や大友克洋路線と言えるかもしれないが、単純にスタイリッシュだけど読者にやさしくない作風っていうトコロ。それでも、熱狂的ファンがいるのは、むしろ読者に媚びないその姿勢にあるのだろう。(文:入江奈々/ライター)

中編「映画版は難解じゃない〜」に続く