『幸せへのキセキ』キャメロン・クロウ監督インタビュー

マット・デイモン、スカーレット・ヨハンソンを絶賛!

#キャメロン・クロウ

想像以上に、観客の心のひだに入り込むような作品

『ザ・エージェント』(96年)や『あの頃ペニー・レインと』(00年)など、温かな眼差しが印象的な人気作を手がけてきたキャメロン・クロウ監督。彼が、マット・デイモン、スカーレット・ヨハンソンらハリウッドスターと組んだのが『幸せへのキセキ』だ。

妻を亡くし、2人の子どもたちと共に郊外の家に移り住んだ主人公。悲しみにくれていた彼らが、閉鎖中の動物園の再開に立ち上がり、奮闘するうちに生きる意欲を取り戻していく様子が描かれていく。

実話を基にした心温まる作品を手がけたクロウ監督に話を聞いた。

──7年ぶりの作品となりますが、完成させた感想は?

監督:これは、思いがけないストーリーが次々と展開する作品です。ある男が運命に導かれるように閉鎖中の動物園を購入し、再開を決意。家族もそれに巻き込まれていく。面白くてドキドキし、想像以上に観客の心のひだに入り込むような作品だと思います。見た後で「あんまり期待はしていなかったし大して内容も知らなかった。でも、もう一度見てみたい」と思ってもらえるはずです。

──最愛の妻を亡くし悲嘆に暮れる主人公をマット・デイモンが演じていますね。

監督:彼が演じるベンジャミン・ミーは、家族を救い、良き父親であろうと全力でぶつかっていくまっすぐな男です。ベンジャミンはジャーナリストなので、人生に対して広い視野を持っているんだ。苦境に陥るけれど、それに屈することなく成功して、その体験談を本に書きます。これが(原作者)ベンジャミン・ミーのヒューマンアドベンチャー物語で、彼自身の人生がすべて冒険なんです。この役にはマット・デイモンしかいないと思いました。彼は、兄のような親友のような、とても親しみやすい俳優。彼の言うことなら何でも信じてしまいそうなウソのない人柄で、信用できる人だから。

70種類の動物たちが動き回る撮影現場は軍隊みたいでした(笑)

──スカーレット・ヨハンソンは動物園の飼育係役ですね。

監督:彼女は動物を大切に思っている人で、心の美しい女性です。そして、20秒間に50種類の表情を作り出せるんです! 私の無理難題にも、動じずに応じてくれました。とても器用な女優で、彼女との撮影は新鮮な驚きの連続でした。彼女が演じたケリーは、人間よりも動物を大切にするとても頑固な役。動物を救うためなら何にでも噛みつく激しさを持っているんです。

──動物園が舞台ということで、撮影では苦労したのでは?

監督:70種類の動物とたくさんの動物トレーナーたちが動き回って軍隊みたいでした(笑)。でも撮影を始めると、彼ら(動物たち)は最高の演技を見せてくれた。本物の“俳優”だと思います。

──見どころを教えてください。

監督:これは、人生におけるセカンドチャンスを描いた作品で、喪失感と深い悲しみを、喜びに転化する作品でもあります。僕は、大きなことではなく、ちょっとしたことを伝える映画を作りたかった。1日の終わりに「映画でこんなこと言ってたな」と少し思い出してもらえるようなね。それにピッタリのキャスティングができたと思うし、ストーリーも現実的だと思うんです。

キャメロン・クロウ
キャメロン・クロウ
Cameron Crowe

1957年、カリフォルニアに生まれる。15歳で高校を卒業し、「ローリング・ストーン」誌のスタッフに。自らの実体験を基にしたベストセラー本を映画化した『初体験/リッジモント・ハイ』(82年/脚本も担当)がヒットし注目を浴びる。89年に『セイ・エニシング』で監督デビュー。自らの少年時代の体験を基にした自伝的作品『あの頃ベニー・レインと』でアカデミー賞脚本賞を受賞。主な作品は『ザ・エージェント』(96年)、『バニラ・スカイ』(01年)など。

キャメロン・クロウ
『幸せへのキセキ』
2012年6月8日よりTOHOシネマズ スカラ座ほかにて全国順次公開
[監督・製作・脚本]キャメロン・クロウ
[原作]ベンジャミン・ミー
[出演]マット・デイモン、スカーレット・ヨハンソン、トーマス・ヘイデン・チャーチ、パトリック・フュジット、エル・ファニング、ジョン・マイケル・ヒギンズ、コリン・フォード
[原題]WE BOUGHT A ZOO
[DATA]2012年/アメリカ/20世紀フォックス映画/124分
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