パワハラ、マタハラ…ヒット監督の虐待行為を人気俳優が相次ぎ告発

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サラ・ミシェル・ゲラー
サラ・ミシェル・ゲラーのInstagramより

告発者レイ・フィッシャーは映画降板を余儀なくされ…

昨年から現在に至るコロナ禍の影響で、停滞が続くハリウッド映画界。今年に入ってからは追い討ちをかけるように、著名な俳優や監督の不適切な発言や行動を告発する声が上がっているが、今度は『アベンジャーズ』シリーズなどのジョス・ウェドン監督の虐待が新たに告発された。

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ウェドン監督は2017年公開の『ジャスティス・リーグ』で、追加撮影中に降板したザック・スナイダー監督の後を引き継いでノンクレジットで監督を務めたが、同作にサイボーグ役で出演したレイ・フィッシャーが昨年7月、撮影現場でのウェドンについて「キャストとスタッフへの対応は下劣で虐待的でプロ意識に欠ける、受け入れ難いものだった」とツイッターで告発、2017年のコミコンでウェドンを称えた自身の動画に「この発言を全て撤回したいと思います」とコメント。これを受けて、ワーナー・ブラザースは関係者への聞き取りを行い、ワンダーウーマンを演じたガル・ガドットも協力。詳細は不明だが、彼女も監督と衝突があり、「レイが真実を語るのは良かったと思う」とロサンゼルス・タイムズ紙に語っている。

だが、フィッシャーは今年1月、出演予定だった『Flash(原題)』からの降板をワーナー・ブラザースから告げられた。

さらに先日、ウェドンが90年代に手がけた出世作でもあるTVシリーズ『バフィー 恋する十字架』で主人公の同級生コーディリアを演じた女優のカリスマ・カーペンターが、当時の撮影現場でウェドンから暴言を浴びせられていたことを告発した。

妊娠を口汚く罵られPTSDに

カーペンターがSNSに「私の真実」と題して投稿した長文によると、1997年に『バフィー〜』に出演し始めた1997年からウェドンの態度に悩まされていたが、スピンオフの『エンジェル』がスタートした1999年頃からウェドンの「残酷」な性質がよりあからさまになったという。

カーペンターが妊娠していると知ったウェドンは「産むつもりなのか?」と尋ね、妊娠4ヵ月だった彼女を「デブ」と呼び、「番組を台無しにした」と糾弾し、出産したカーペンターを降板させた。ウェドンは、カーペンターの女性性や信仰心などを巧みに利用して攻撃したという。こうした仕打ちが「今も苦しんでいる慢性的な体調不良の引き金になった」とカーペンターは訴えている。

これを受けて『バフィー〜』で主役のバフィー・サマーズを演じたサラ・ミシェル・ゲラーはインスタグラムで「私の名前がバフィー・サマーズと関連づけられるのは光栄ですが、ジョス・ウェドンの名前とは一生関わりたくありません」「これ以上コメントはしませんが、私は虐待の被害者全員の味方で、彼らが声を上げることを誇りに思います」とコメントした。

同作でバフィーの妹役を演じたミシェル・トラクテンバーグは、ゲラーの投稿をリポストし、「これを言ってくれて、ありがとう、サラ。35歳の今だから、リポストする勇気があります。なぜなら、これは知られるべきことだから。10代だった私に対する彼の行いは、非常に不適切なものでした」と自らの体験を明かした。タラ・マクレイ役で出演していたアンバー・ベンソンも「カリスマは真実を語っています。私は彼女を100%支持します。当時、大きなダメージを受けた私たちは、20年以上経った今も苦しんでいます」とツイート。彼女もかつて、番組降板が決まった時、ウェドンから「知ってるかい? すごくエキサイティングだよ。君のキャラクター、殺すことになったから」と伝えられたという。

元妻は「フェミニズムの理想を騙る偽善者」と糾弾

カーペンターの告発についてウェドンはコメントしていない。実は2017年8月、ウェドンの元妻カイ・コールが、結婚していた間にウェドンが不貞を繰り返していたことを暴露するエッセイを発表。そこで元夫を「フェミニズムの理想を騙る偽善者」と糾弾した。

残念なのは、90年代から強い女性を主役に作品を作り、フェミニストのように振舞っていた人物の実体が、あらゆるハラスメントの常習者だったことだ。

レイ・フィッシャーは「カリスマ・カーペンターは私の知っている中で最も勇敢な人物の1人です。彼女の勇気と『ジャスティス・リーグ』の調査に声を貸してくれたことに、私はずっと感謝します。彼女の真実を読んで、彼女の真実をシェアし、全力で彼女を守りましょう。今がその時です」とツイートした。