耶馬溪の巨大な岩壁を見つめる主人公のファーストカットも解禁
日本文学史に名を刻む菊池寛の小説「恩讐の彼方に」が、ツインエンジンとヨアケの共同製作・配給で映画化されることが決定した。主演を永山瑛太、監督を大森立嗣が務め、現在、京都や大分を中心に撮影が進められている。
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物語の舞台は、奇岩が連なる壮大な渓谷。遥か眼下には大河が流れ、激しく渦巻いている。その高い峰にそびえる巨大な岩壁の前で、一人の男が鑿(のみ)と槌(つち)を手に、ひたすら岩を削り続けていた。なぜ男はたった一人で穴を掘り続けるのか。やがて、謎に包まれた男の壮絶な過去が明らかになっていく。男はいったい何者なのか。そして、その先に何を求めているのか——。
原作は、日本を代表する文豪の一人、菊池寛が1919年(大正8年)に発表した短編小説「恩讐の彼方に」。大分県中津市の名勝・耶馬溪にある「青の洞門」にまつわる史実をもとに生み出された作品だ。
江戸時代、豊前国を流れる山国川沿いの渓谷・耶馬溪は、巨大な奇岩が連なる絶景として知られる一方、通行には大きな危険が伴った。人々は鉄の鎖を命綱に険しい岩壁を渡らなければならず、多くの人馬が滑落して命を落としたという。
これに心を痛めた曹洞宗の僧・禅海和尚は、人々が安全に通れる道をつくるため、約30年をかけて鑿と槌で隧道(トンネル)を掘り抜いた。菊池寛はこの驚くべき史実に着想を得て、禅僧の人生に大胆な創作を加え、「恩讐の彼方に」を書き上げた。
主演を務めるのは、映画、ドラマ、舞台と幅広いフィールドで活躍し、唯一無二の存在感と確かな演技力を発揮してきた永山瑛太。監督は、人間が抱える凶暴な暗部やむき出しの感情を描きながら、その人物を包み込むようなまなざしで作品を生み出してきた大森立嗣が務める。永山と大森監督がタッグを組むのは、『まほろ駅前多田便利軒』(11年)『まほろ駅前狂騒曲』(14年)『光』(17年)以来となる。
あわせて解禁されたファーストカットには、壮大な耶馬溪の自然を背景に、巨大な岩壁を見つめる主人公の姿が。永山瑛太と大森立嗣監督が再びタッグを組み、菊池寛の名作に挑む本作のスケールを予感させる一枚となっている。
撮影は、2026年5~6月に京都や大分を中心に行われた第1期を終了。2027年に予定されている第2期の冬パート撮影に向け、並行してポストプロダクションも進められている。
製作を手掛けるのは、オリジナルアニメーション映画『超かぐや姫!』や『劇場版モノノ怪』シリーズ、テレビアニメ『日本三國』などを送り出してきたツインエンジンと、『日日是好日』(18年)『おーい、応為』(25年)などを手掛けたヨアケ。両社が共同製作・配給を担い、2028年の劇場公開を目指す。物語やキャストなど、さらなる詳細は今後発表される予定だ。
■株式会社ヨアケ 吉村知己
大森立嗣監督との映画作りは『おーい、応為』から『恩讐の彼方に』と、たまたまですが時代劇が二作続きます。撮影初日は再び京都の松竹撮影所に戻って来られたことが喜ばしく光栄でした。大森監督と長年に渡り脚本を開発し続けました。粘りに粘った大森監督。この稿で行けるのではないか!という達成感と共に、そこに必要なのは主人公を演じることができる、屈強な俳優でした。それが永山瑛太さんです。理屈を超えて、映画と溶け合うような俳優だと思っていまして、本作のオファーを受けて頂けたことがとても嬉しかったです。原作「恩讐の彼方に」は、善と悪、自分と他人、過去と今と未来、そして人間と自然が渾然一体となり、ある境地を垣間見るような小説です。スタッフ、キャスト一同は、表面的にストーリーを追うと見逃してしまう、その重大さを映画に収めようと挑んでいます。今後の新たな情報にもご期待いただければ幸いです。
『恩讐の彼方に』は2028年公開。
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