濱口竜介監督が「ジョン・カサヴェテスに近い！」と絶賛の群像劇映画！

#スパイの妻 #三度目の、正直 #偶然と想像 #出村弘美 #小林勝行 #川村りら #川村知 #濱口竜介 #野原位 #黒沢清 2021.12.21

黒沢清監督も「凄まじい危機と苦悩」と賛辞！

第34回東京国際映画祭コンペティション部門でも上映された野原位監督の映画『三度目の、正直』の公開日が2022年1月22日に決定。それにあわせて予告編が解禁になった。また、濱口竜介監督と黒沢清監督より本作品へのコメントも紹介する。

・『ハッピーアワー』から7年、神戸を舞台に続く人生を生きる人々のもう一つの新たな物語／映画『三度目の、正直』特報

月島春（川村りら）は、パートナー宗一朗の連れ子・蘭がカナダに留学し、言い知れぬ寂しさを抱えていた。そんな時、公園で記憶を失くした青年（川村知）と出会う。過去に流産も経験している春は、その青年を神からの贈り物と信じ、今度こそ彼を自らの傍で育てたいと願う。一方、春の弟・毅（小林勝行）は音楽活動を続けている。その妻・美香子（出村弘美）は精神の不調を抱え、心療内科医である宗一朗の診察を受けながら、4歳の子を育て、毅の創作を献身的に支えていた。すれ違う優しさとわだかまる不安…。それぞれに「家族」のかたちを求めて生きる彼らだったが、正常と狂気の境目がいつしか緩やかに崩れ始める。

この度、解禁された予告編では、冒頭で青年が公園で倒れているところに、春が近寄り声をかけるシーンから幕をあける。記憶を失った様子のその青年を、春は家に連れていく。記憶を失くし、自分の名前も分からないその青年を、春は「生人」（なると）と名づけ、自分のそばに置こうとする。

続くシーンでは、春の弟、毅と妻の美香子、2人の子供との生活が描かれる。毅は「体調大丈夫か？」と妻の様子を気にかける一方、無理して家族、毅を支えようとする献身的な妻が、心療内科の医者にたしなめるところも同時に描かれる。そして春のシーンに戻り、生人に向かって、7年間一緒に暮らした連れ子の蘭がカナダに留学して、その寂しさが拭えないのだと語るが、その話を遮るように、生人が「気持ち悪い」と春に告げる…。錯綜（さくそう）するそれぞれの関係はどのような結末を迎えるのか。予告編の後半では、神戸出身の気鋭のミュージシャン、小林勝行が演じる毅のライブシーンの様子を垣間見ることもできる。

12月19日には、曽我部恵一をギターに迎えたサードアルバム「KATSUYUKISAN」もリリースされた。本作では、俳優に初挑戦し、その無骨ながら生々しい存在感も見どころの1つだ。

今週末から『偶然と想像』が公開となる濱口竜介監督は、東京国際映画祭で本作を鑑賞し、映画祭のデイリーペーパー（10月31日付）で「主演の川村りらさんの感情に心をわしづかみにされてしまい、日本でここまでジョン・カサヴェテスに近い作品を完成させたことに嫉妬を禁じ得ませんでした」と賛辞を贈った。また野原監督が共同脚本を務めた『スパイの妻』（20年）の監督、黒沢清は「普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる」とコメントを寄せた。

シリアスな題材を扱いながらも、どこか重喜劇を彷彿とさせる可笑しみにあふれ、何度失敗したとしても人生を改めて生きなおす人々の姿が等身大に描き出される本作。当たり前の日常を生きるすべての人々に贈る人生賛歌とも言える作品がここに誕生した。

映画『三度目の、正直』は、2022年1月22日より全国公開。