西川美和監督『わたしの知らない子どもたち』がトロント映画祭へ 日本映画初の開幕上映決定

#トロント国際映画祭#わたしの知らない子どもたち#二階堂ふみ#小八重葵美#第51回トロント国際映画祭#西川美和

『わたしの知らない子どもたち』
(C)2026 K2 Pictures・AOI Pro.
『わたしの知らない子どもたち』
『わたしの知らない子どもたち』
『わたしの知らない子どもたち』

世界初披露は9月10日、オスカー戦線にも期待高まる

新人・小八重葵美と二階堂ふみがW主演を務め、西川美和が原案・脚本・監督を手がけるオリジナル映画『わたしの知らない子どもたち』が、北米最大級かつ世界屈指の映画祭として知られる第51回トロント国際映画祭(TIFF)のプラットフォーム部門に正式出品されることが決定。日本映画として初めて、同部門のオープニング上映作品にも選出された。

・少女を棄てた少女、社会からこぼれ落ちた子の過酷を描いた衝撃作

トロント国際映画祭(TIFF)は、カナダで毎年9月に開催される、北米最大規模を誇る映画祭だ。最高賞には、観客の投票によって決まる「観客賞」(ピープルズ・チョイス・アワード)を採用。ここでの受賞作が、その後の米アカデミー賞の最有力候補に直結することから、“アカデミー賞の行方を占う、世界で最も重要な前哨戦”として、世界中の映画業界や主要メディアから熱い視線が注がれ続けている。

本作が出品される「プラットフォーム部門」は、2015年に新設された唯一のコンペティション部門であり、すべての上映作品から選ばれる「観客賞」の対象にもなっている。さらに、本年度からは、同部門の最高賞である「プラットフォーム・アワード」の受賞作品に、米アカデミー賞国際長編映画賞への応募資格が付与されることとなり、同部門への注目度は一層高まっている。

オープニング上映作品は、「この部門のレベルの高さを世界に証明し、プログラム全体のトーンを決定づける最重要作である」との絶対的な確信をもって選ばれた“最高峰の1本”だ。本作の「プラットフォーム・アワード」受賞への期待が高まるとともに、オスカーへの道にも大きな希望が広がっている。

注目のワールドプレミアは、映画祭の開幕日となる9月10日18時頃(現地時間)を予定。同映画祭の心臓部である「TIFFライトボックス(TIFF Lightbox)」内で最大規模を誇るシアターにて上映され、国内外の観客や主要メディアが詰めかける中、これ以上ない最高の形で世界に向けて初披露される。

世界への扉が開いた本作の吉報を受け、W主演を務めた小八重葵美は「西川監督やたくさんのスタッフがいろんなこと調べて、頑張って準備してきてくれて、撮影もみんなで一緒に頑張ってやってきたから、いろんな人に見てもらえるのはすごく嬉しいです」とコメント。

同じく主演の二階堂ふみは「映画祭って国を越えて、映画という1つの文化を共有できる場所だと思うので、そういう場所で対立ではなく、想いを寄せ合えるような、そういう作品にきっとなるんじゃないかと思います。いま世界中のいろんなところで争いが続いている中、みんなそれぞれの”戦争”というものに対して、様々な思いや考えを持って、きっとこの作品を見てくださると思います」と語り、世界の観客一人ひとりに寄り添う本作の普遍性を強調した。

また、西川美和監督は「お知らせを聞いた時は、『やったー!』と飛び上がりました。素敵な映画祭なので私たちの作品を持っていけるのがとても嬉しいです」と喜びをにじませる。さらに、「今回の作品は子どもから大人までみんなが総力を挙げて挑んだ作品ですし、日本の映画人の”力の結晶”のような仕上がりになっているので、世界の人にも作品のクオリティを味わって頂きたいなと思っています」と、並々ならぬ熱意をのぞかせた。

広島出身の西川美和監督にとって、「戦争」や「平和」は幼少期からの教育を通じてあまりにも身近なテーマであり、キャリア初期には、その重い題材から距離を置きたいという思いもあった。しかし、前作『すばらしき世界』(20年)の制作過程で、戦後の日本に実在した“知られなかった子どもたち”の過酷な現実に直面し、心を激しく揺さぶられることになる。「子どもたちを取り巻いた戦後の裏社会の物語をいつかもう一度作り直したい」——その抗いようのない衝動に突き動かされ、本作は誕生した。

戦争で家も家族も、大好きな音楽も失い、居場所をなくした12歳の琴子。戦後の荒廃した東京で生き延びるため、彼女が選んだのは、長い黒髪を切り、親からもらった名前を変え、“少女”であることを捨て、少年として生きる道だった。“生まれながらのアウトロー”ではなく、どこにでもいたはずの一人の少女が、戦争に巻き込まれ、変わらざるを得ない中で再生へと向かう物語だ。

主人公・琴子は、音楽家の父のもとで平穏な暮らしを送っていたが、戦争と敗戦によってすべてを失い、「生きるために、自分自身を手放す」という選択を迫られる。一方、曽根は、かつて軍国主義教育のもとで教師として琴子を教える立場にあったが、敗戦とともに、生徒を捨て、恋人も、立場も、信念も、そして女性としての尊厳さえも失っていく。

ふたりは自らの生き方さえ手放しながら、それでもなお今日という一日を生き延びていく。琴子は少女であることを隠し、“少年”としてどこへ向かうのか。曽根は、一度は見捨てた教え子を見つけ出し、再び人として立ち上がることができるのか。ふたりの歩みの先に再会はあるのか、そして再生は待っているのか。

『わたしの知らない子どもたち』

■原案・脚本・監督:西川美和

お知らせを聞いた時は、「やったー!」と飛び上がりました。過去にもトロント国際映画祭へ3度招待頂いているのですが、プラットフォーム部門への参加は初めてです。前作は、2020年のコロナ禍での選出だったので、日本からオンラインでしか上映の様子も分からなかったのですが、今回は現地に赴きオープニングに参加できるということでたいへん嬉しいです。“コンペ”部門は光栄ですが、きっと今年の各国の優れた映画が集まると思うので、それに出会えるのもまた楽しみです。トロント国際映画祭はとても大きな映画祭であるとともに、カジュアルで、北米中の映画人たちと街の人たちとが、街の劇場でたくさんの映画を見る、素敵な映画祭なので、私たちの作品を持っていけるのがとても嬉しいです。

今回の作品は子どもから大人までが総力を挙げて挑んだ作品ですし、日本の映画人の”力の結晶”のような仕上がりになっているので、世界の人にも作品のクオリティを味わって頂きたいなと思います。映画は、「字幕がつけばどこまででも渡っていける表現」だと思います。私も隅々まで監修した英語字幕付きのものを、トロントで上映してもらいますが、映画を見てもらうことで国同士の壁が低くなって、よく知らなかった国の人たちとも対話ができたりするようになるんですね。海外の人からすれば、日本の戦中・戦後の物語は身近ではないと思いますが、同時に戦争がたくさん起きている今の世界状況で、みんなが共通に抱いている不安や、どこの場所にも子どもたちがいるということを、もう一度思う契機にもなる内容だと思うので、ぜひトロントでたくさん人と言葉を交わして、友だちを作ってきたいなと思います。

■⼩⼋重葵美(茅野琴⼦役)

トロントってどこだろう?と最初は思ったけど、調べたらカナダでした。

映画祭は初めてなので、すごく緊張しますが、今までの色んなことを思い出しながら、落ち着いて話せたらいいなって思っています。撮影した時間は3ヵ月だったけど、その前にも、西川監督や、たくさんのスタッフの方々がいろんなこと調べて、頑張って準備してきてくれて、撮影もみんなで一緒に頑張ってやってきたので、いろんな人に見てもらえるのはすごく嬉しいです。

■⼆階堂ふみ(曽根⽂美⼦役)

西川監督と小八重葵美ちゃんが中心となって、みんなで頑張った作品が、日本から外に出て、多くの方の見て頂けるというのは、本当に光栄だなとも思いましたし、すごく良いことだなと思いました。

本当に1人でも多くの方々にこの作品が届いてほしいと脚本を読んだときからずっと感じていたので、良かったなと思いました。

映画祭って国を越えて、映画という1つの文化を共有できる場所だと思うので、そういう場所で対立ではなく、想いを寄せ合えるような、そういう作品にきっとなるんじゃないかと思います。いま世界中のいろんなところで争いが続いている中、みんなそれぞれの”戦争”というものに対して、様々な思いや考えを持って、きっとこの作品を見て下さると思います。見てくださる方々にも私たちも思いを寄せて、お届けすることができたらなと思いますし、きっと皆さんが色々なものを感じ取ってくださる作品になっていると思うので、本当に多くの方に届いてほしいです。

『わたしの知らない子どもたち』は2026年10月16日より全国公開。