WGA、執筆におけるAI使用を全面禁止にしない方針を打ち出す
入力した質問に自然な文章で回答するAIチャットbotの「ChatGPT」が世界を席巻しているが、アメリカ脚本家組合(WGA)は、クレジットや報酬を脚本家のものとする限りはAIを使用した脚本執筆を認めることを映画テレビ製作者協会(AMPTP)に提案した。
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最近、執筆におけるAI使用が脚本家の仕事を奪うのではないかという懸念が浮上しており、WGAは執筆過程のAI使用規制を提案する意向を示していたが、全面禁止にはしない方針を打ち出した。
業界誌「Variety」によると、20日(現地時間)にWGAがAMPTPとの交渉の場に出した提案では、脚本家がChatGPTの力を借りて執筆してもクレジットの共有や報酬を分配する必要はないとしている。スタジオの幹部からAIによって作成された脚本を渡され、リライトや推敲を依頼された場合も、依頼を受けた者がその企画の第一の脚本家と見なされる。
WGAは、AIが生成した素材は「文学的素材」や「原作素材」とは見なされないとしている。「文学素材」とはWGAの用語で作家が制作するもの(ストーリーや脚本、セリフなどを含む)を指す。「原作素材」とは小説や戯曲、雑誌記事など脚色のもととなるものを指す。
映画のクレジットで「written by」とあるのはオリジナル脚本で、脚本家は報酬全額を受け取る権利があり、脚色に対する「screenplay by」では75%を受け取ることになる。
この提案はAIプログラムが全く人の手を借りずに脚本を書くというシナリオには対応していない。また、AMPTPがこの案を受け入れるかどうかは明らかにされていない。
22日(現地時間)に開催されたAdobe Summit2023で、監督・脚本家・プロデューサーのアーロン・ソーキンは、「あなたのための脚本」を書くという点において、AI技術はそれほど有用ではないと考えていると語った。
マーク・ザッカーバーグらによるFacebook創業を描いた『ソーシャル・ネットワーク』で第83回アカデミー賞脚色賞を受賞し、Apple創業者のスティーブ・ジョブズの伝記映画『スティーブ・ジョブズ』(15年)の脚色などのほか、アカデミー賞6部門ノミネートの『シカゴ7裁判』(20年)などを監督したソーキンは、2000年代に人気を博した政治ドラマ「ザ・ホワイトハウス」の脚本と制作総指揮、2010年代にはTVニュース界をテーマにしたドラマ「ニュースルーム」の原案・脚本・制作総指揮を務めた。
ソーキンはAIが『ザ・ホワイトハウス』を執筆できるとは「思わない」と断言したうえで、「テクノロジーも副操縦士になれる」と考えているという。
「ヒット曲を作るために、似たようなソフトがある。スリラーであれ西部劇であれロマンティックコメディであれ、非常に成功した脚本を何十億本も機械に読み込ませたと仮定する。だがコンピュータはそもそも、機械に送り込まれた脚本を書いたわけではない。それはつまり、人の手によって作られたものをより楽しむことができるようになるということだ」。
現在61歳のソーキンは先日「New York Times」紙のインタビューで昨年11月に脳卒中で倒れたと明かした。幸い現在は回復しており、ブロードウェイで脚本を手がけたミュージカル「キャメロット」がプレビュー公演中だ。
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