後編/傷心ジョニー・デップに追い打ち、新作がアメリカでは絶不調?

#週末シネマリサーチ

『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”』
(C)NTV, distributed by 「POSTSCRIPT」FILM PARTNERS
『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”』
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【週末シネマリサーチ】後編
(…前編「ジョニデ新作、全米興収は厳しい結果…」より続く)

◆大穴はあのカリスマ・ロックスターの密着映画!?

〇【5位予想】『それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ』
人気アニメ『アンパンマン』の劇場公開版第28弾。故・やなせたかし氏の楽曲「勇気のルンバ」をモチーフに、あらゆるものをおもちゃに変えられるスティックを落としてしまったお姫様のルンダと、そのスティックを探すために奮闘するアンパンマンたちの姿を描いた冒険物語。ルンダの声を女優の波瑠が務めたことでも話題になっている。

毎年この時期恒例となっている『それいけ!アンパンマン』劇場版。前作『それいけ!アンパンマン ミージャと魔法のランプ』(15年/東京テアトル)は全国163スクリーンで公開され、初週土日動員7万642人、『それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い』(14年/東京テアトル)が、全国152スクリーンで公開され、初週土日動員5万9798人という数字を残している。

本作は約190館での上映と近年より公開館数が多い。毎年ゲスト声優が豪華で、過去5年を見ても、木村佳乃、本仮屋ユイカ、井上真央、大島優子、そして今年が波瑠となっている。『あさが来た』で国民的な人気を博した波瑠。公開アフレコでは「いつか子どもに自慢したい」と感慨深い表情で語っていたことが大きく報道された。安定感があり、話題性も豊富。7万-10万人ぐらいの動員も十分見込めるだろう。

△【10位予想】『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”』
2016年5月に行われた「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」でのライブを最後に無期限活動休止したロックスター・氷室京介に密着したドキュメンタリー。2010年からの6年間の氷室の苦悩や葛藤、これまで語られることがなかった真実などが赤裸々に映し出されている。

上映館数は約30館と少ないが、アーティストのバックヤードを追ったドキュメンタリー映画は非常に高いスクリーンアベレージを出す。『BUMP OF CHICKEN“WILLPOLIS 2014”劇場版』(14年/東宝映像事業部)は全国20スクリーンながら、初週土日動員2万1925人。『Mr.Children REFLECTION』(15年/日活)も全国95スクリーンながら週末動員ランキングで8位に入るなどの健闘を見せた。2週間限定での劇場公開ということで、オープニングから劇場に足を運ぶ人が多いことは容易に想像できる。ランキングに入ってくる可能性も十分あるだろう。

【注目シネマ】
☆『セトウツミ』
此元和津也の同名人気コミックを、若手実力派俳優の池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で実写映画化。75分間、ほぼ2人の高校生が放課後、河原の石畳でトークをしているだけという内容ながら、惹きつけられる“間”と演技で観客を魅了する。

約40館での上映。公開前に段階的に公開された特報映像がネットを中心に話題になっている。池松、菅田ともに2016年は9本の映画に出演するなど、映像界では引っ張りだこ。そんな2人が、コミックの世界観を絶妙なさじ加減で表現している。上映館数から大きな数字は期待できないが、ジワジワと広がりを見せる地力のありそうな映画だ。

☆『ホーンテッド・キャンパス』
第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞した櫛木理宇の同名小説を、ジャニーズの中山優馬主演、ヒロインにAKB48の島崎遙香を迎えて映画化。大学のオカルト同好会を舞台に、謎の怪奇現状に翻弄される人々を描く。

本作は約30館での公開。中山は映画2作目となるが、前作『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』(16年/松竹)が、全国30スクリーンでの公開ながら、週末動員数ランキングで14位に健闘。

島崎は、主演映画『劇場霊』(15年/松竹)が、全国266スクリーンで公開され、初週土日動員4万4148人という結果がある。島崎は、6月18日に行われた「第8回AKB48選抜総選挙」のスピーチで、本作をガッツリ宣伝するという強心臓ぶりを披露。ジャニーズ&AKBという組み合わせ、一発あってもおかしくないか。(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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