『すずめの戸締まり』『コナン』…アニメ映画が絶好調/2022年の映画界を振り返る

#2022年#アニメーション#ビジネス#ランキング#興収レポート

『すずめの戸締まり』
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

トム・クルーズ、エディ・レッドメインなどスターの来日も2年ぶりに復活

【興収レポート】ONE PIECE FILM RED』、2位『劇場版 呪術廻戦0』、4位『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』、5位『すずめの戸締まり』が上位を占めたほか、洋画アニメ『ミニオンズ フィーバー』が9位に入った。(2022年ランキング一覧は一番下をご覧ください)

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コロナ禍から復調、22年の米映画界を支えたのはアメコミ映画とこの作品だ!

『ONE PIECE FILM RED』は『ONE PIECE FILM Z』(68・7億円)を100億円以上も上回るシリーズ最高興収。2000年以降、東映の単独配給作品が年間1位を記録するのは初めてとなる(共同配給作品では、東宝、東映、カラーの共同配給『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が21年に1位)。今作で描かれたのは、ルフィにとって海賊王を目指すきっかけとなったシャンクスの娘ウタとの再会から始まる物語。ウタの歌唱を担当するAdoの圧倒的な歌声が響く新しい『ONE PIECE』は大勢の観客の心をわしづかみにし、リピーター客を量産した。

『劇場版 呪術廻戦0』は、人気マンガ『呪術廻戦』の原作者・芥見下々が本編連載前に短期集中連載で発表した『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』のアニメ映画化。本編の前日譚にあたり、『呪術廻戦』の人気キャラクターが数多く登場してファンへの訴求力は抜群だった。

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』はハロウィンにあわせた再上映の興収を上乗せして『紺青の拳(フィスト)』(93・7億円)を上回るシリーズ最高記録を更新した。

これら3作と『すずめの戸締まり』のシネコンでの上映回数は、通常の作品で1日5回程度のところ、10回以上が当たり前、15回を超えるシネコンも多くあった。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『シン・エヴァンゲリヲン劇場版』などの大ヒットを後押しした“上映回数大幅増作戦”が見られた。

ランキングでは洋画の復調も目を見張る。21年は『ワイルドスピード/ジェットブレイク』(36・7億円)が洋画ナンバーワンヒット作だった。22年は135億円を上げた『トップガン マーヴェリック』を筆頭に『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(63億円)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(46億円)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(46億円)、『ミニオンズ フィーバー』(44億円)が『ワイスピ』を上回った。

洋画が100億円を超えるのは、コロナ禍前の19年に『アナと雪の女王2』『アラジン』『トイ・ストーリー4』の3本が超えて以来のことだ。『トップガン マーヴェリック』がリピーター客を獲得するのに一役買ったのが通常上映以外のフォーマットだ。大画面・鮮明な画像・優れた音響が売りのIMAX、映画に合わせて座席が動いたり、座席から風やにおいなどが出る4D、スクリーンが正面と左右の3面に広がるScreenXなど特別なスクリーンが高稼働した。

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20年、21年となかったハリウッドスターの来日も復活した。『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』でエディ・レッドメイン、『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズ、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』でブライス・ダラス・ハワード、『ブレット・トレイン』でブラッド・ピットなどが来日し、洋画の盛り上げに一役買った。

邦画実写のナンバーワンヒット作は人気マンガの映画化2作目『キングダム2 遥かなる大地へ』(51億円)だった。(文:相良智弘/フリーライター)

[2022年の公開作ランキング]
1位『ONE PIECE FILM RED』187億円
2位『劇場版 呪術廻戦0』138億円
3位『トップガン マーヴェリック』135億円
4位『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』97億円
5位『すずめの戸締まり』93億円
6位『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』63億円
7位『キングダム2 遥かなる大地へ』51億円
8位『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』46億円
9位『シン・ウルトラマン』44億円
9位『ミニオンズ フィーバー』44億円
(ムビコレ調べ。21年12月~22年11月の公開作品が対象)
※公開中の『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』は12月18日時点の数字