7月公開作は『バケモノの子』『アベンジャーズ』が同率1位、日テレあげての大宣伝も効果

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『バケモノの子』
(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS
『バケモノの子』
(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

7月公開作の1位は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の26億円。宣伝にあたっては日本語版の吹き替えを担当した俳優をフル稼働。6月下旬に来日したエリザベス・オルセンとジョス・ウェドン監督の会見には竹中直人(ニック・フューリー役)、米倉涼子(ブラック・ウィドウ役)、宮迫博之(ホークアイ役)が参加。イメージ・ソング『IN MEMORIES』を歌うスウェーデンのアーティスト、レトヴが出席した試写会には米倉、宮迫に加え溝端淳平(ファルコン役)が参加。話題作りに一役買った。

同じく1位は『バケモノの子』。公開後15日間で26億円をあげたが、細田守監督の前作『おおかみこどもの雨と雪』(最終興収42.2億円)と比較すると62.5%増で推移している。前作を上回るのは間違いない。製作に参加した日本テレビでは局をあげて一大プロモーションを展開した。「金曜ロードSHOW!」で細田守監督の『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『時をかける少女』を3週連続で放送。

公開直前には『NEWS ZEROスピンオフ 映画『バケモノの子』公開記念SP 役所広司・宮あおいが制作現場に潜入!』などの特番も放送した。またサントリー「グリーン ダ・カ・ラ」や角川文庫「カドフェス」とタイアップしたり、熊本の人気キャラくまモンと「クマモトの子」キャンペーンを実施するなど、様々な企業とのコラボレーションも露出アップにつながっている。

3位は『ターミネーター/新起動:ジェニシス』の20.5億円。公開直前にアーノルド・シュワルツェネッガーが来日した際は、彼の声を演じ続けている人気声優・玄田哲章とシュワが30年越しの初対面を果たしたり、日本テレビ系『マツコとマツコ』でマツコロイドがシュワにインタビューするなどしてPRにあたった。

4位は『HERO』の19億円。製作したフジテレビでは局をあげて一大プロモーションを展開した。過去2度のテレビシリーズやスペシャルドラマを放送したり、公開前の1週間は「HEROウィーク」と題して『めざましテレビ』『とくダネ!』で連日特別企画を放送。公開前日の17日にはフジテレビを電波ジャック。『めざましテレビ』『とくダネ!』『ノンストップ』『グッディ』に木村拓哉らが生出演。『みんなのニュ−ス』『ダウンタウンなう』でも出演者が登場して映画をPR。公開日の7月18日には夜9時から土曜プレミアム『HERO THE TV』と題した特番を放送した。またユニバーサル・スタジオ・ジャパンとコラボイベントを実施して公開を盛り上げた。

5位は『インサイド・ヘッド』の13億円。『リカルデント』『COCO塾ジュニア』『サンディスク』とタイアップCMを実施。ピート・ドクター監督とロニー・デル・カルメン監督が来日した際には、日本語版の吹き替えを担当した竹内結子と大竹しのぶが来日会見に出席してPRにつとめた。(文:相良智弘/フリーライター)

[7月公開作ランキング]
1位『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』26億円
1位『バケモノの子』26億円
3位『ターミネーター/新起動:ジェニシス』20.5億円
4位『HERO』19億円
5位『インサイド・ヘッド』13億円
(7月26日時点。ムビコレ調べ)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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