【今日は何の日】「手話言語の国際デー」にちなんで手話が登場する名作・話題作を紹介

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『エール!』
(C)2014-Jerico-Mars Films-France2 Cin?ma-Quarante12 Films-Vend?me Production-Nexus Factory-Umedia
『エール!』
(C)2014-Jerico-Mars Films-France2 Cin?ma-Quarante12 Films-Vend?me Production-Nexus Factory-Umedia
『エール!』
(C)2014-Jerico-Mars Films-France2 Cin?ma-Quarante12 Films-Vend?me Production-Nexus Factory-Umedia
コーダ あいのうた
『ザ・トライブ』
(C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014

9月23日は手話言語の国際デー。2017年12月19日に国連総会の決議によって定められた日で、9月23日は「世界ろう連盟」が誕生した日だ。そこで今回は、手話が登場する映画をご紹介したい。

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「自分だけが聞こえる」家族で育った少女の夢と葛藤

今回ご紹介するのは、フランス映画の『エール!』だ。主人公のポーラは、両親と弟の4人家族で暮らす女子高生。だが、自分以外の家族はみな耳が聞こえない。家では酪農を営んでおり、市場で自家製のチーズを売る時ももっぱら接客は彼女の仕事である。家業の手伝いに限らず、彼女は常に手話通訳によって家族と外部の人間とのコミュニケーションの橋渡し役を担っている。ポーラは、学校でコーラス部に参加したことから講師に歌の才能を見出され、パリの音楽学校への受験を勧められるのであるが…。

ポーラが住むのは郊外の街。合格したら家族と離れて暮らさなくてはならない。それゆえ、これまで家族と社会との言語の仲介役を果たしてきた彼女は、受験のことをなかなか家族に切り出せない。ついに意を決して家族に打ち明けたところ、色良い返事は得られなかった。家族は、ポーラに「捨てられる」という感情をぬぐい切れなかったのである。おそらく人生で初めて「やってみたい!」と思えることに出会えたにもかかわらず、家族への愛情と自分の夢との板挟みになって悩む十代の姿が切ない。果たしてポーラと家族が行きついた決断とは?

ご存知の方もいるかもしれないが、第94回アカデミー賞(2022年)で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3冠に輝いた『コーダ あいのうた』は、『エール!』を原作とするハリウッド版のリメイクである。設定において、家族構成・弟→兄、家業・酪農→漁業という若干の違いはあるものの、物語の本筋は変わらない。どちらを見ても得られる感動に差異はないと思うので、お好きな方をセレクトしていただければと思う。両方を見比べてみるのも楽しいだろう。

コーダ あいのうた

『コーダ あいのうた』
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

セリフも字幕もナシ! 全編手話の映画も

日本では2015年に劇場公開された、ウクライナのミロスラヴ・スラボシュピツキー監督による『ザ・トライブ』は、映画の言語が全編手話ということで話題を集めた。しかも、出演者のほとんどが演技未経験で実際のろうあ者である。字幕もセリフもない中で、表情や身振りから登場人物の感情やストーリーを読み取っていく体験を味わいたい方には、こちらもおすすめだ。(T)

ザ・トライブ

『ザ・トライブ』 (C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014