霧に紛れて、十字架を抱えた神父の背後に迫る亡霊たち…

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ジョン・カーペンター レトロスペクティブ
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「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ 2022」

ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク 1997』『ゼイリブ』『ザ・フォッグ』を上映する「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ 2022」が、2022年1月7日から27日の3週間限定で開催される。このたび、画家のヒグチユウコから描き下ろしたイラストが寄せられた。

100年前の怨みを晴らすために霧と共に現れた亡霊たちが港町アントニオ・ベイを襲う『ザ・フォッグ』。ヒグチといえば最近では『ラストナイト・イン・ソーホー』(21年)のイラストを手がけて話題となったが、今回寄せられた『ザ・フォッグ』のイラストでは、ハル・ホルブルック演じるマローン神父が金でできた十字架を険しい表情で抱え、その背後に亡霊が映り込んでいる。霧で隠れ、姿がはっきり見えない“得体の知れない者たち”……それらを繊細な筆致で描き出している。

ヒグチはこのイラストについて「霧と共に現れる亡霊たち。そして不安を煽る印象的な音楽。魅力は随所にあるのですが、どこを描くかとなった時、真っ先に、神父と十字架を選びました。ホラーの名作の絵を描くのは最高に楽しかったです」と語った。

「10年に一度あるかないかのチャンス」(青山真治監督)

さらに著名人からのコメントも追加で到着。

映画監督の青山真治は次のように語る。

「『ゼイリブ』が世界に発した予告(予言ではない)から33年が経過し、某駅通路でご存知だろう、現実はその予告通りのものとなった。我々はもうダメだ。だがもしこの現実を克服するヒントがあるとしたら、それもやはりカーペンター作品のどこかに隠されているはずではないか。だとしたら見なければならない、一刻も早く! それでなくともこういう王道の娯楽映画の火は消えようとしているのだ。消えていいわけがない。娯楽映画を救え! カーペンターを救え! なに? カーペンターは悠々自適に『ハロウィン』最新作の音楽を作っている!? それならそれでいい、それも見に行こう、そして娯楽映画の不滅を確認せよ!! こんな機会、十年に一度あるかないかだぞ!!!」

never young beachのベーシストで映画通として知られる巽啓伍は次のようにコメントした。

「外へ出れば無意識に目に飛んでくる広告、パンデミックに起因した錯綜する情報。受け取る言葉を疑って、正しさを自分で見つける ということ。ジョン・カーペンター作品、特に『ゼイリブ』のリバイバルは今、とても意味のあることかもしれません」

アニメーション監督の渡辺信一郎は、カーペンター監督の魅力を踏まえ、次のように提言する。

「最近の映画が、とにかく長い。そして内容を詰め込みすぎで、見終わるとぐったり疲れてしまう。そもそも娯楽なのに人をぐったりさせるなんておかしくないか? そんな今こそ、カーペンターを見直すべきじゃないか? 今回の3本ともすべて90分台、娯楽映画はこうじゃなくちゃという長さ。そして余計なものは詰め込まず、的確でしかし十分に映画たりえるという彼のやり方を学ぶべきじゃないでしょうか」

80年代風のパンフレットビジュアルに黒沢清監督が寄稿

また、大島依提亜が手がけたパンフレットのビジュアルも公開された。80年代カルチャーの金字塔カーペンターの監督世界観を表現するため、ビデオテープ風のデザインで蘇らせた。

内容も明らかとなり、イントロダクションは、カーペンターファンを公言する黒沢清監督が担当。映画文筆家でカーペンター研究家でもある鷲巣義明は、カーペンター映画のトリビアを伝授する。『ニューヨーク 1997』では、漫画家・奥浩哉のインタビューを敢行。『ゼイリブ』では、アイドルグループ「GO TO THE BEDS」のメンバーで映画好きのテラシマユウカがコラムを執筆する。また、『ザ・フォッグ』ではヒグチの描き下ろしイラストがポストカードとして封入される。

多方面で活躍するメンバーがカーペンター監督や作品について語った超豪華パンフレットは、上映作品の写真をあしらったポストカード16点をセットにして、1月7日より全国の上映劇場で販売を開始する。

「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ 2022」は、2022年1月7日から27日の3週間限定で開催される。

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