花椒(ホアジャオ)の味
花椒(ホアジャオ)の味

『花椒(ホアジャオ)の味』アンディ・ラウの車中でのシーンがカギ

父の葬式で初めて顔を合わせた異母三姉妹が奮闘するハートウォーミングなヒューマンストーリー『花椒(ホアジャオ)の味』が11月5日より全国公開される。公開に先立ち、本作品で長女ユーシューを演じた香港のトップスター、サミー・チェンのインタビューが到着した。

チェンは、思い出に残っているシーンは多々あるが、お葬式で遺体を置いてあるシーンが特に印象に残っていると吐露。

「3人とも父親を見ていて、2人の妹は悲しげに泣いているけれど、ユーシューだけはまだ父親を憎んでいるから冷たい表情を浮かべています。私がこのシーンを好きなのは3人の娘の父親に対する感情が見てとれるからです。あのシーンではメーガン(次女ルージー役)もシャオフォン(三女ルーグオ役)もすごくいい芝居をしていました」

一方、家の中でゴキブリを見つけて、それが父親の魂の化身だと思い込むコメディチックなシーンも挙げ、「ラストの三姉妹が父親を思い出すあのシーンも感動的でした。大いに笑わせて大いに感動させる、監督の演出は本当に素晴らしいものでした」と振り返った。

また、共演したキャストについても触れ、まずユーシューの父親ハー・リョンを演じたケニー・ビーについては、「放蕩でロマンチックで義侠心がある父親をすごくうまく演じていました。このキャラクターが憎めないのは、かなり立体的に見えるからです。彼は100%忠実だけど100%完璧な夫ではありません。でも店主として、友人として、すごく良い個性を持っていることがわかります。だから観客も最後までこの父親を憎めなかったのだと思います」と解説した。

花椒(ホアジャオ)の味

また、友情出演したアンディ・ラウについては、監督の演出が興味深かったと語る。

「アンディの演じるクォック・ティンヤンの出演シーンを全て車の中にして、ユーシューといろんな会話をさせたのです。その会話でユーシューとティンヤンの過去、現在と未来の関係性が繋がっていきました。だからこの一連の車の中のシーンはとても重要なのです。ユーシューと父親をもっと理解できるようになりますし、ティンヤンとの会話で観客はユーシューとティンヤンの劇中での関係が見えてくると思います」

ユーシューとリッチー・レンが演じるチョイ・ホーサンとの関係についても触れている。

「多分観客は初めユーシューとホーサンが映画の中で進展するかもと思ったんじゃないかしら? 特にユーシューとホーサンの車の中のシーンで2人は進展するかもと思ったはずです。でも、ラストで2人の関係については見当違いで、少々曖昧だとわかると思います。実際ユーシューとホーサンの2人はそれぞれ心の中で、自分は相手に合わないとよくわかっています。この関係は、すごく面白く描けていると思います。それにホーサンは最終的に発展途上国へボランティアの医師として行くことを選びました」と物語の核心について触れ、このシーンのホーサンの『その場所が僕を必要としているんじゃない、僕がその場所を必要としているんだ』というセリフが気に入っていると語る。

最後に、姉妹3人で父親の火鍋の味を再現するために奮闘するシーンは、毎回新鮮で熱々の本物のスープを使ったのだと明かす。

「現場では火鍋のスープの匂いが充満していました。私たち三姉妹が厨房 でお父さんのスープの秘伝を探すシーンがありますが、すごく温かいシーンです。私たち三姉妹が仲睦まじいだけでなく、スープを探すことを通じて、まるで秘密の通路で三姉妹の感情がつながって、3人がお父さんの愛のために頑張って秘伝を探しているようでした。この火鍋の秘伝を探すことが、この映画を愛と温かさでいっぱいにしてくれました」

父の葬式で初めて顔を合わせる三姉妹

本作品は、亡き父の秘伝の味を再現しようと3人の異母姉妹が奮闘するハートウォーミングなヒューマンドラマだ。

疎遠になっていた父が、突然店で倒れた。ユーシュー(如樹/サミー・チェン)は、会社から病院に駆けつけるが、もう亡くなった後で、話すこともできなかった。久しぶりに店に来て渡された父の携帯から、自分の名前に似た知らない名前を見つける。葬儀の日、台北からプロのビリヤード選手でクールな次女ルージー(如枝/メ―ガン・ライ)、重慶からオレンジの髪色で表情豊かな三女ルーグオ(如果/リー・シャオフォン)が現れ、初めて3人の異母姉妹が顔を合わせることになる。香港島大坑(タイハン)にある、父が経営していた火鍋店「一家火鍋」の賃貸契約はまだ残っており、解約すれば違約金も発生する。従業員もいる。そこでユーシューは、父の店を継ぐことを決心する。しかし誰もレシピを知らないため、常連客の望む“父の麻辣鍋”のスープが作れず、客足は少しずつ遠のいていく。そこでルージー、ルーグオも駆けつけ、三姉妹でなんとか父秘伝の味を再現しようと奮闘する。

『花椒(ホアジャオ)の味』は、11月5日より全国公開される。

INTERVIEW