『ハンガー・ゲーム2』サム・クラフリン&ジェフリー・ライト インタビュー

記録的大ヒット作の続編に新たに参加した注目俳優

#サム・クラフリン#ジェフリー・ライト

主人公にとっての本質的な戦いは、世界共通のとても人間的なもの(ライト)

アメリカ国内で4億ドル、全世界では7億ドルという驚異的な興行成績を記録した『ハンガー・ゲーム』。生き残りをかけたバトルを描いた作品の続編が、この『ハンガー・ゲーム2』だ。

若者たちを戦わせ、その様子をテレビ中継する独裁国家パネム。前作で過酷な戦いを勝ち残った少女カットニスの姿は、圧政に苦しむ国民たちの感動を誘う一方、絶対権力者・スノー大統領の怒りを買ってしまった。カットニスを抹殺するため、新たなルールでの戦いをしかけた大統領。一瞬たりとも気を許すことのできない戦いの行方は──?

前作の2倍となる160億円の巨費を投じて作られた『2』。このなかでハンガー・ゲームに参加することになる頭脳派フィニック・オデイルを演じたサム・クラフリンとビーティーを演じたジェフリー・ライトに話しを聞いた。

──おふたりとも、『2』からの参加になりますが、本作に出演した感想は?

ライト:これ以上エキサイティングなことはないよ。確かにこれは大きな予算をかけたポップコーン映画で、そういったタイプのフィルムメイキングの恩恵を受けているけど、同時にとても古い、クラシックなストーリーテリングの恩恵も受けている。とても古典的な神話なんだ。(主人公)カットニスにとっての本質的な戦いは、世界共通のとても人間的なものなんだ。

──メインキャラクターは3人の若者ですね。

ライト:原作がティーンエイジャー向けに書かれた小説だから、若い客層を意識しているんだと思う。でも僕は、この映画が若い観客と彼らの両親のイマジネーションをとらえるものであればいいなと思う。なぜなら、とても興味深い対話がそこから生まれる可能性があると思うんだ。それはとても健全なことだよ。

──“興味深い対話”とは?

ライト:子どもたちと両親は、現実逃避のようで、あまり真剣じゃないように見えるこの映画を見に行く。でも、実際見ると、充実した映画的経験ができるし、また、戦争中の社会や世界に関連した疑問を持つことにもなる。劇中の社会では、政府の役割に疑惑があるんだ。
 それはなにもアメリカに限ったことじゃない。それは世界共通の考えだよ。そういったことに疑問を抱くのはとても健全なことだ。こういったタイプの疑問を、若い人々に抱かせる映画というのは素晴らしいよ。

ジェニファー・ローレンスは、新米の僕にとって素晴らしいお手本(クラフリン)
『ハンガー・ゲーム2』
(C) 2013 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

──撮影はどんな感じでしたか? 主演のジェニファー・ローレンスら、前作からの続投組は親しい感じだったんでしょうか?

クラフリン:すでに確立された世界に入っていくのは、間違いなく怖いことだったよ。前作からの続投組はお互いのことをとてもよく知っている。だから、僕はこの世界に入っていくことに怯えていた。でも、本作の監督、フランシス(・ローレンス)はとてもオープンな人で、1作目で高くなったハードルをさらに高いものにしようとしていた。僕たち(新入組)は、みんなにとても歓迎してもらったよ。そしてフランシスは、この映画の仕事で、信じられないほど協力し合って作るという経験をさせてくれた。これまでの作品では撮影前では、監督と座ってしっかり話をするミーティングを持ったことは一度もなかったけれど、フランシスは僕と面と向かって様々な話し合いをしてくれた。彼は、本当にフレンドリーで、気取らない才能ある人で、彼の撮影の進め方にインスパイアされずにはいられなかったよ。そういう作品に関われてとても幸運だったと感じているんだ。

ライト:監督はこの映画で見事な仕事をしたと思う。彼の頭にははっきりしたビジョンがあり、彼はそれをみんなにはっきりと説明することができた。それも、同時に、次の2本の映画のプリプロダクションをやりながらね。本当にスペシャルなことだよ。

ジェフリー・ライト(左)とサム・クラフリン(右)

──もう1人のローレンス、主演のジェニファー・ローレンスはいかがでしたか?

ライト:彼女は悪夢だよ。素晴らしい悪夢だよ。

クラフリン:そう、彼女は悪夢だね(笑)。いいや……彼女は若いけれど、この業界で新米の僕にとっては、素晴らしいお手本だ。彼女には素晴らしい魅力があり、とても美しい。とても地に足のついた少女で、信じていることのために戦う人だ。

ライト:そう、彼女は何をしても好ましい印象を与えるんだ。なぜなら、彼女には気取りといったものが一切ないからだ。同時にコメディアン並にひょうきんでおかしいんだ。

──フランクリンさんにお聞きします。今、あなたはご自分のキャリアを「短い」と言いましたが、短期間にすごくたくさんのことを成し遂げています。まったく苦労はなかったんですか?

クラフリン:簡単なことは何もないよ。でも、僕はとてもとてもラッキーだと言うしかない。僕は、これらの役を探し求めていたわけじゃない。たまたまめぐって来て、他の多くの人たちのように、トライしてみて、幸運なことに役をもらえたんだ(笑)。でも、演劇学校を出て4年後に、こういうことになっているとはまったく予想していなかった。だから、今から5年後にどうなっているかは誰にもわからないよ。

──ライトさんはベテランですが、若い頃は役者を続けるためにアルバイトをしたりしていたんですか?
『ハンガー・ゲーム2』
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ライト:僕は13歳のときから、ずっとフルタイムの仕事をしてきたんだ。新聞配達少年だったし、スーパーマーケットでも働いた。衣料品店でも働いたよ。演劇学校に行く前にね。演劇学校の授業料を払えるように。それはどんな役者でも同じだと思う。誰もが困難を経験すると思うしね。(うまくいくのが)すぐの人もあれば、なかなかめぐり逢えない人もいる。僕は、演劇学校を終えてすぐに幸運に恵まれたから、とてもラッキーだよ。前の仕事に戻らないといけないことはなかった。ずっと前進することができた。だから、幸運という言葉は、僕がよく使う言葉なんだ。僕のキャリアがここまでどうだったかを表現するには、それがベストの方法だと心底思うよ。でも、僕は一生懸命働いているよ。とても神経を集中するし、同時にとてもやる気がある。わからないけど(笑)。僕が話せるのはそれだけだよ。

サム・クラフリン
サム・クラフリン
Sam Claflin

1986年6月27日生まれ、イギリスのイプスウィッチ出身。09年にロンドンの名門演劇学校、ロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマティック・アート(LAMDA)を卒業。イギリスのテレビシリーズなどを経て『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11年)、『スノーホワイト』(12年)などの大作に抜擢され注目を集める。

ジェフリー・ライト
ジェフリー・ライト
Jeffrey Wright

1965年12月7日生まれ、アメリカのワシントンD.C.出身。ニューヨーク大学で演劇を学び、オフブロードウェイなどの舞台を経てハリソン・フォード主演作『推定無罪』(90年)で映画デビュー。『バスキア』(96年)に主演し高い評価を受けたほか、『ALI アリ』(01年)、『クライシス・オブ・アメリカ』(04年)、『007/カジノ・ロワイヤル』(06年)、『007/慰めの報酬』(08年)、『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(共に11年)などに出演。94年の舞台「エンジェルス・イン・アメリカ」ではトニー賞助演男優賞を受賞している。

ジェフリー・ライト
ハンガー・ゲーム2
2013年12月27日より全国公開
[監督]フランシス・ローレンス
[原作]スーザン・コリンズ
[出演]ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランド
[声の出演/日本語吹き替え版]水樹奈々、神谷浩史、山寺宏一、中村悠一、前野智昭、釘宮理恵
[原題]THE HUNGER GAMES: CATCHING FIRE
[DATA]2013年/アメリカ/KADOKAWA

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