「13歳の夏休み」に何が起きた? 後味最悪と称される、美しくも残酷なリベンジ・スリラーに震撼
#MELT メルト#シャーロット・デ・ブリュイヌ#フィーラ・バーテンス#ローザ・マーチャント#映画

ひとりの少女の日常を容赦なく破壊し、永遠に人生を狂わせてしまうトラウマとは?
サンダンス映画祭で最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)に輝き、「映画史に残る後味最悪“胸糞”の傑作」「まるで、ラース・フォン・トリアー×ミヒャエル・ハネケ×ヨルゴス・ランティモス!」と評された映画『MELT メルト』。本作より、日本版予告編と本ビジュアル、場面写真を紹介する。
・俺たちは悪くない、女の子に興味があっただけ…13歳の少女に何があったのか? 胸糞映画『MELT メルト』の衝撃
映画には、観る者に勇気や希望を与える力がある。しかしその一方で、それとはまったく逆のネガティブな吸引力を放ち、おぞましい結末へと突き進む異端的な作品も存在する。いわゆる“胸糞映画”と呼ばれるそれらの作品は近年、絶望的なバッドエンディングに打ちのめされた観客たちが、SNS上にその衝撃体験を投稿することで、密かな盛り上がりを見せるという現象を生んでいる。
『オーバー・ザ・ブルースカイ』(12年)で高く評価され、女優として20年以上のキャリアを持つベルギーのフィーラ・バーテンスが初監督を務めた本作は、まさにその系譜に連なるであろう新たな“トラウマ映画”である。物語は、主人公である13歳の少女・エヴァを軸に、大人になった彼女が忌まわしい過去を回想する形で進行する。ひとりの少女の日常を容赦なく破壊し、ほぼ永遠に人生を狂わせてしまうその“トラウマ”は、いかなる惨劇によってもたらされたのか——。

上質なミステリー映画のように巧みな構成で真実を明かしていく本作は、2023年のサンダンス映画祭で最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)を受賞。さらに、ベルギーのアカデミー賞にあたるマグリット賞では最優秀フランドル映画賞を受賞するなど、そのクオリティの高さが絶賛され、世界各国の映画祭を席巻した。
大人のエヴァを演じたのは、『トリとロキタ』(22年)で注目されたシャーロット・デ・ブリュイヌ。そして、13歳のエヴァを繊細に体現し、サンダンスで演技賞に輝いたローザ・マーチャントにとっては、本作が長編映画デビューとなる。さらに『トリとロキタ』『CLOSE/クロース』(22年)のプロデューサー陣が名を連ね、新人監督の挑戦に力強いバックアップを提供している。

バーテンス監督は、不安定に揺らぐカメラワークを多用し、閉塞感が渦巻く映像世界を構築。トラウマを専門とする心理学者の協力を得て、人間の心の痛みや孤独といった普遍的テーマに深く切り込んだ。観客に覚悟を求める救いのない物語でありながらも、どこか共感を誘うリアルなキャラクター描写が、いっそう不穏な胸騒ぎを呼び起こす。
近年のベルギー映画界では、『CLOSE/クロース』のルーカス・ドンらに代表される新世代のフィルムメーカーが注目を集めているが、バーテンス監督もまた、その流れを受け継ぐ新たな才能といえる。無邪気さと紙一重の子どもの残酷さを生々しくあぶり出しながら、過去のパートと、大人のエヴァが恐ろしい計画を一心不乱に進めていく現在のパートが共鳴しあい、濃密な緊迫感を高めていく。儚くも美しい、新たなリベンジ・スリラーがここに誕生した。
今回紹介される本ビジュアルには、涙を流す13歳のエヴァの姿が写し出されている。何かに怯えたような目、不安と恐怖が入り混じった表情とともに、「溶けるまえに思い出して」という意味深なキャッチコピーが添えられている。いったい何が溶けるのか? 儚くも美しい、“復讐劇”とは? 謎めいた不気味さが漂うビジュアルとなっている。

あわせて場面写真も到着した。子ども時代のエヴァが幼馴染と仲睦まじく遊ぶシーン、冷静な表情を浮かべるカット、さらには現在のエヴァの姿など、さまざまな表情や瞬間が切り取られている。

日本版予告編では、冒頭から「13歳の夏休みに起きた——人生を変えた出来事」といった不穏なワードにはじまり、「女の子が必要だ」「シラケさせるなよ」といったエヴァと幼馴染が交わす意味深なセリフも飛び交い、ただならぬ空気が漂うなか過去と現在が交錯していく。当時、エヴァと幼馴染との間で行われていた「ゲーム」とは何だったのか。現在のエヴァが大人になった彼らと再会を果たす様子も明らかに——。一体どのような展開が待ち受けているのか。緊迫感に満ちた映像が見る者を物語へと引き込んでいく。
また、いち早く本作を鑑賞した著名人たちよりコメントも到着した。映画監督の内藤瑛亮は「理不尽過ぎる。でも現実だ。覚悟して観て欲しい」と、本作の衝撃の深さに言及している。
映画好きOLのゆいちむは「思春期に刻まれた毒は、記憶の雪解けとともに現実を侵食する」、タレントのYOUは「あの頃って とにかく眩しかった みたいに言うけれど その眩しい光の影といったら 漆黒で残酷で怖かったんだ」と、エヴァの心情に焦点をあてた。
■YOU(タレント)
あの頃って とにかく眩しかった みたいに言うけれど
その眩しい光の影といったら 漆黒で残酷で怖かったんだ
■内藤瑛亮(映画監督)
13歳の少女の心が破壊される。
壊した者には居場所があるのに、壊された者は居場所もない。
理不尽過ぎる。
でも現実だ。
覚悟して観て欲しい。
悪い予感はすべて当たる。
■ゆいちむ(映画好きOL)
思春期に刻まれた毒は、記憶の雪解けとともに現実を侵食する。
これは復讐譚なのだろうか。
むせかえるほどの孤独と絶望が、それすらも曖昧にしてしまう。
ゆいちむ(映画好きOL)
■氏家譲寿(ナマニク)(文筆業・映画評論家)
心の瘕は化膿する。
癒えることはなく、膿を垂れ流しながら、瘴気を放ち続ける日々。
壊死していく心の先にある、冷たい終幕。足元に感じた冷たさに、思わず指先がこわばった。
■枝優花(映画監督・脚本・写真家)
子どもたちのなかで繰り広げられる
大人には見えない地獄がジワジワと続く時間
そしてそれを例え心の奥底に葬ったとしても
水面下で時間をかけ
その人間の心も生活も蝕み溶かしていく様を
こちらに刻みつけるような痛みがあった。
これを反面教師、のような簡単な言葉では
片付けられない。
『MELT メルト』は2025年7月25日より全国順次公開。
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