ディズニーの狙いは動画配信サービスのコンテンツ拡充! 2018年映画界はどうなる?

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【2018年の展望/ハリウッド編】

2018年の映画界を3回に分けて展望する最後の3回目はハリウッド編。18年のハリウッドで最大の注目点は、ウォルト・ディズニーが21世紀フォックスを買収した影響だ。ディズニーが買収するのは21世紀フォックスの傘下で、映画製作を手がける20世紀フォックス、テレビ製作を手がけるフォックステレビ、FXやナショナルジオグラフィックといったケーブル放送事業、アメリカ国外の放送事業など。

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ディズニーの狙いは、19年から始める自社の動画配信サービスのコンテンツ拡充だ。ディズニーは傘下にABCテレビやスポーツ専門チャンネル「ESPN」などメディア部門を抱えるが、ネットフリックスなどの動画配信サービスの台頭で不振。従来はCATVや動画配信会社に番組を供給してきたが、自前のネット配信に軸足を移す。

20世紀フォックスには『サウンド・オブ・ミュージック』『明日に向かって撃て』などの名作や『猿の惑星』『エイリアン』シリーズといった名作ライブラリーのほか、『スター・ウォーズ』6作がある。ディズニーでは新『スター・ウォーズ』と合わせたライブラリー展開が可能となる。

また今回の買収により、ディズニーが『X-MEN』シリーズの映画化権を得ることになる。『アベンジャーズ』シリーズを軸とした「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)に『X-MEN』の人気キャラクターを登場させることが可能となる。買収の噂が伝えられた際、マーベル・スタジオのケビン・ファイギ社長はMCUと『X-MEN』のクロスオーバーに意欲的と報じられただけに、今後の展開に注目だ。

フォックスでは今後の新作として『X-MEN』シリーズと『アバター』続編を進めてきた。特に『アバター』は2作目を20年12月、3作目を21年12月、4作目を24年12月、5作目を25年12月に公開する予定のビッグプロジェクト。実は『アバター』はディズニーと相性が良く、フロリダのディズニー・ワールド・リゾートに17年5月に「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」がオープンしている。映画公開時には相乗効果が見込めそうだ。

もう1つのフォックスの強みがフォックス・サーチライトの存在だ。アート系映画や低予算のドラマ作品を中心に製作している会社で、『スラムドッグ$ミリオネア』『それでも夜は明ける』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』がアカデミー賞作品賞に輝いた。今シーズンも『スリー・ビルボード』『シェイプ・オブ・ウォーター』がアカデミー賞有力候補となっている。近年、ディズニーでは製作本数を絞っていることから、アカデミー賞作品賞にノミネートされる秀作映画が減っている。フォックス・サーチライトが傘下に入ることで、大人向け作品も充実しそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。