2年ぶりマーベル映画『ブラック・ウィドウ』最大ヒットスタート。でも物足りなく思える理由とは?

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ブラック・ウィドウ
(C) Marvel Studios 2020

ディズニー+でのプレミア配信も影響か?

7月9日からマーベル映画『ブラック・ウィドウ』が公開された。初日3日間のオープニング興収は8000万ドル(約90億円/1ドル=110円換算)。『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』を上回り今年最大のヒットとなった。マーベル映画の新作が公開されるのは19年以来、2年ぶりのことだ。過去2年間のマーベル映画の興行成績を見てみると──

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●19年
年間興収1位『アベンジャーズ/エンドゲーム』オープニング興収3億5710万ドル、最終興収8億5840万ドル
年間興収6位『キャプテン・マーベル』オープニング興収1億5340万ドル、最終興収4億2680万ドル
年間興収7位『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』オープニング興収9260万ドル、最終興収3億9050万ドル

●18年
年間興収1位『ブラックパンサー』オープニング興収2億200万ドル、最終興収7億ドル
年間興収2位『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』オープニング興収2億5770万ドル、最終興収6億7880万ドル
年間興収6位『デッドプール2』オープニング興収1億2550万ドル、最終興収3億1850万ドル
年間興収9位『アントマン&ワスプ』オープニング興収7580万ドル、最終興収2億1660万ドル

年間興収トップ10に18年は4本、19年は3本ランクイン。アメリカ映画界を支える存在だ。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきて、ようやく新作が公開された。

『ブラック・ウィドウ』のオープニング興収8000万ドルは今年最大の成績ではあるものの、『アントマン&ワスプ』(7580万ドル)を上回り、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(9260万ドル)を下回る。ブラック・ウィドウが『アイアンマン2』から登場し、アベンジャーズのメンバーとして活躍する人気キャラクターであることを考えると、やや物足りない興収だともいえそう。コロナ禍で映画館に足を運びたくない観客がある程度いると推測される。

またディズニーの動画配信サービス「ディズニー+」の影響もありそう。『ブラック・ウィドウ』は劇場公開と同時にディズニー+でプレミア配信(追加料金による配信)されている。ウォルト・ディズニーの発表によれば、世界でのプレミア配信の売り上げは6000万ドル。アメリカでの売り上げは不明だが、映画館には行かず家庭で鑑賞する消費者も数多くいた。

今後、マーベル映画は新作公開が相次ぐ。

●21年(公開日は全米)
『シャン・チー テン・リングスの伝説』9月3日公開
『エターナルズ』11月5日公開
『スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム』(原題)12月17日公開

●22年
『ドクター・ストレンジ:イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(原題)3月25日公開』
『マイティ・ソー:ラブ・アンド・サンダー』(原題)5月6日公開
『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』(原題)7月8日公開
『ザ・マーベルズ』(原題)11月11日公開

『シャン・チー』『エターナルズ』は新たなキャラクター。観客にどう受け入れられるだろうか。(文:相良智弘/フリーライター)