嫌煙でもニコチン中毒が問題に! 米国タバコ産業の今を知る3本

#アメリカのタバコ産業#インサイダー#サンキュー・スモーキング#ジェイソン・ライトマン#たばこ税増税#ブロークン-危険な商品-#マイケル・マン

ブロークン危険な商品
Netflixドキュメンタリー『ブロークンー危険な商品ー』配信中
ブロークン危険な商品
インサイダー
サンキュー・スモーキング

2020年10月1日からの「たばこ税増税」に伴い、日本では多くの銘柄が値上げとなった。近年はタバコを吸える場所も徐々に減っていき、肩身の狭い思いをする愛煙家の声も多く聞こえてくる。一方で、“アメリカをはじめとした諸外国に比べると日本はまだまだ禁煙が進んでいない”なんて声も聞こえてくる。喫煙の是非を語るのは今回の記事の趣旨ではないが、アメリカでタバコ産業というのがどのような位置づけにあるのか、映像作品を通じて見てみたい。

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マイケル・マン監督が、アル・パチーノ、ラッセル・クロウという名優たちを迎えて撮った映画『インサイダー』は、実話をもとにした熱きドラマ。ニコチンの中毒性が体内におよぼす影響について隠蔽(いんぺい)しようとした大手タバコ企業B&W社の真実を、CBSニュースの番組に告発するべきか悩む男ワイガンド(ラッセル・クロウ)と、自分の信念に基づいて真実の報道を世に送り出していくことに命をかける男バーグマン(アル・パチーノ)の姿を描き出している。二人の戦いはやがて、タバコ会社からの数々の嫌がらせや脅迫をもたらすこととなり、彼らは精神的に追い詰められ、孤立無援になっていく。名優たちによる重厚な演技合戦は胸が熱くなること必至だ。

ジェイソン・ライトマン監督の『サンキュー・スモーキング』はタバコ業界を皮肉ったブラックなコメディー。世間では嫌煙ムードが広がる中、タバコ業界のスポークスマンであるニックは、タバコの害を知りつつも、売り上げ促進のために口八丁手八丁で「タバコに害はない」と主張し、嫌煙家たちとバトルを繰り広げる。事実がどうかではなく、情報操作こそが大事なのだとうそぶくニック。結局はタバコを吸うも吸わないも自分次第ということだ。堅苦しくなりそうな題材を軽妙にテンポ良く見せてくれる良作だ。

そして最後はNetflixで配信されているドキュメンタリー作品『ブロークン-危険な商品-』の1編となる『一大“蒸気”産業』を紹介したい。本作品は、アメリカの新興企業ジュールの電子タバコがSNSを使ったオシャレな広告戦略で10代の若者に広まり、ニコチン中毒を引き起こしていると指摘する。一方でイギリスでは、禁煙をバックアップするものとして電子タバコを利用しているというケースも紹介される。電子タバコが身体にもたらす影響はまだ解明されていない部分もあるようだが、アメリカのタバコ産業の現状がどのようになっているのか、このドキュメンタリー作品を観るとよく分かる。(文:壬生智裕/映画ライター)