塚本晋也監督、ヴェネチア国際映画祭で日本作品初の栄誉! 若者が選ぶ「レオンチーノ・ドーロ賞」受賞
#ヴェネチア国際映画祭#ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?#塚本晋也#第83回ヴェネチア国際映画祭
「若者が選ぶ小さな金獅子」高校生20名の審査員が選出
塚本晋也監督の映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』が、第83回ヴェネチア国際映画祭で「レオンチーノ・ドーロ賞(Leoncino d’Oro/金の小獅子賞)」を受賞した。上映後には約8分間にわたるスタンディングオベーションが巻き起こるなど高い評価を集め、日本作品として初の同賞受賞を果たした。
・戦争体験を語れる人が減っていく今だからこそ観るべき一作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』

ヴェネチア国際映画祭の最高賞として知られる金獅子賞と同じ“獅子”の名を冠するレオンチーノ・ドーロ賞は、金獅子賞など映画祭本体の公式賞とは別に授与されるコラテラル賞(独立賞)の一つ。イタリア全土から選ばれた18歳の高校生20名が審査員を務め、コンペティション部門の作品から受賞作を選出する。若い世代が選ぶことから、金獅子賞にちなみ、“若者が選ぶ小さな金獅子”として親しまれている。
過去には、パク・チャヌク監督作『親切なクムジャさん』(05年)をはじめ、ウェス・アンダーソン監督作『ダージリン急行』(07年)、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14年)、ダーレン・アロノフスキー監督作『ザ・ホエール』(22年)など、世界的に高い評価を受けた作品が多数受賞。昨年は、同映画祭で銀獅子賞を受賞した『ヒンド・ラジャブの声』(25年)が選ばれている。
実際にベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソン氏の証言をもとに、「戦争加害者の傷」というテーマに真正面から挑んだ本作。ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄の4ヵ所で撮影を敢行し、戦争によって生まれる加害者の傷という、これまで十分に描かれてこなかったテーマに迫る、戦争映画の常識を覆す作品となっている。
出演は、精神科医ニール・ダニエルズ役にアカデミー賞俳優ジェフリー・ラッシュ、アレン・ネルソン役にブロードウェイ俳優ロドニー・ヒックス、そしてアレンの活動をサポートする日本人・黒井役にリリー・フランキー。
ヴェネチア国際映画祭の常連である塚本晋也監督が、同映画祭のコンペティション部門に正式出品するのは、『鉄男 THE BULLET MAN』(09年)『野火』(14年)『斬、』(18年)に続き4回目。世界各地で戦争や紛争が長期化・激化する現在、塚本監督が「世界がますますキナ臭くなってしまっている今、必ず作らなければならない映画」と位置付けた本作を、ヴェネチアの地に送り出した。

塚本監督は、今回、若い審査員たちに選ばれたことについて、「(本作は)特に若い人に見てほしいという気持ちが強くあります」とコメント。「若い審査員のみなさんに選んでいただいた、というのは、何よりもうれしいこと」と喜びをにじませ、今回の受賞を胸に「さらに多くの人たちに見ていただけるよう励みたい」と、作品をより多くの観客へ届ける決意を語った。
レオンチーノ・ドーロ賞の選評では、歴史上あらゆる戦争に共通する「無謀な暴力」を描き出す力をはじめ、映像と音響を目まぐるしく交錯させることで、主人公の意識が変化していく過程へ観客を没入させる表現力が高く評価された。さらに、戦争そのものだけでなく、戦争を経験した退役軍人が抱えるトラウマの恐ろしさを告発する姿勢や、戦争を正当化する論理を拒絶するメッセージをあらゆる世代に伝える力についても評価され、今回の受賞に至った。
授賞式では、塚本監督が審査員を務めた高校生たちと対面。壇上で塚本監督は「選んでくださった方々を実際に拝見したら、えらく感動して、うれしさがこみ上げました」と、感極まった様子で改めて喜びをかみしめた。
続けて、「この映画はもちろん多くの人に見ていただきたいんですけど、特に若い人に見ていただきたいと強く思っていました」と改めて語り、これからの時代を担う世代に向けて、「この映画を見て、戦争というのは、とにかく実際に行くとこういうものなんだということをまず分かった上で、議論していただけたら」と自身の願いを明かした。
そして、そんな思いを込めて作った作品が若い世代の審査員によって選ばれたことについて、「この少し雲行きの怪しい世界で、光がパァーッと射してきたような気がしました」と喜びを表現。最後には「本当に、グラッチェ!」と笑顔で感謝を伝え、会場は温かな雰囲気に包まれた。
■塚本晋也監督コメント全文
この映画は多くの人に見ていただきたいのはもちろんですが、特に若い人に見てほしいという気持ちが強くあります。このたび若い審査員のみなさんに選んでいただいた、というのは、何よりもうれしいこと。このことを胸に、さらに多くの人たちに見ていただけるよう励みたいと思います。
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は現在公開中。
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