『エブエブ』がアカデミー賞を席巻! 長期間のストライキ、イスラエルとハマスの武力衝突による分断も…2023年の映画界を振り返る

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全米映画俳優組合のストライキを報じるニューヨーク・タイムズ ウェブ版
全米映画俳優組合のストライキを報じるニューヨーク・タイムズ ウェブ版

2023年はハリウッドにとって波乱の1年だった。アカデミー賞で『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が圧勝し、夏には『バービー』などの大作が大ヒットを記録する一方、昨年から興行成績が低迷中のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品の不振が続いた。

一方で『オッペンハイマー』や『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』など社会派テーマの大作が注目され、前者は異例の大ヒットを記録した。

そして何といっても今年は全米脚本家組合と全米俳優組合がハリウッドの労働条件改善を目指して長期間、同時ストライキを行ったことが最大のニュースだ。さらに10月から続くイスラエルとハマスの武力衝突をめぐって、映画界での分断も深まった。過渡期にあるハリウッドを中心に、セレブたちの動向も含めて2023年を振り返る。

MCUホークアイ役のジェレミー・レナーが除雪作業中に重傷を負う

ジェレミー・レナーのInstagramより(@jeremyrenner)

2023年は年明け早々、衝撃的なニュースが飛び込んできた。MCUのホークアイ役で知られるジェレミー・レナーが自宅付近で除雪作業中の事故で瀕死の重傷を負ったのだ。

現地時間の11日、ネバダ州レイクタホにある自宅そばで作業中、所有する約7トンの除雪車が近くにいた甥の方向に動き出したのを止めようとした際の事故で、レナーは肋骨8本を含む全身30ヵ所以上の骨折、肺など内臓も損傷する大怪我を負った。だが、数日後にはインスタグラムにまだ顔に傷が残る痛々しい姿ながらも無事を知らせる投稿をし、その後は奇跡的な回復とリハビリの様子も随時アップしている。

以前から音楽活動もしていたレナーは、この経験をもとにアルバム「Love and Titanium(愛とチタン)」を制作中だという。

・除雪作業中に重傷負ったジェレミー・レナー、無事を報告「大変な状態ですが、皆さんに愛を送ります」

ブルース・ウィリスが「前頭側頭型認知症」であることが公表される

前頭側型認知症協会(AFTP)の公式サイトより

2月、前年に失語症を理由に俳優を引退したブルース・ウィリスが、「前頭側頭型認知症」であることを家族が公表した。公表前は出来の良くない映画へ大量に出演していたことから、最低映画を対象とするゴールデンラズベリー(ラジー)賞を贈られたばかりだったが、後にラジー賞は授賞を撤回している。

妻のエマ・ヘミングと娘2人、さらに元妻デミ・ムーアと3人の娘も“家族”としてサポートし、ウィリスは静な生活を送っている。4月には長女ルーマーが女の子を出産、初孫を抱く父の姿をインスタグラムに投稿した。

・ブルース・ウィリス「前頭側型認知症」と診断される…家族が声明を投稿

『エブエブ』と感動の復活モーメントが席巻した第95回アカデミー賞

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

今年のアカデミー賞を席巻したのは主要キャストをアジア系俳優が演じ、作品賞など全7冠の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』だ。ミシェル・ヨーがアジア系として初の主演女優賞を受賞し、彼女の夫役を演じたキー・ホイ・クァンが助演男優賞を受賞。1980年代に『インディ・ジョーンズ』『グーニーズ』で人気子役だったが、その後は役に恵まれずスタッフとして映画に関わっていた彼のカムバックは前哨戦でも話題になっていた。

彼と並ぶ奇跡の再起を遂げたのは『ザ・ホエール』で主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーだ。2003年、ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)元会長からセクシャルハラスメントを受けたショックからうつ状態になっていたが、2017年のMeToo運動に背中を押されて2018年に被害を公表、久々の主演作で快挙を成し遂げた。

・アカデミー賞、ミシェル・ヨーがアジア系初の主演賞受賞者に!『エブエブ』作品賞ほか7冠の快挙

カンヌ国際映画祭で坂元裕二、役所広司ら日本の映画人が健闘

カンヌ国際映画祭公式サイトより

5月開催の第76回カンヌ国際映画祭では、是枝裕和監督の『怪物』が最優秀脚本賞を受賞、『PERFECT DAYS』の役所広司が最優秀男優賞を受賞し、日本映画に注目が集まった。『怪物』は3月に亡くなった坂本龍一が生前最後に映画音楽を手がけた作品。奇しくも、彼が最初に映画音楽を担当、出演もした『戦場のメリークリスマス』が1983年にカンヌで上映されて、ちょうど40年という節目の年でもあった。

・役所広司、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞に輝く! 『怪物』坂元裕二は最優秀脚本賞受賞

・役所広司、田中泯らが語るヴィム・ヴェンダース監督/映画『PERFECT DAYS(原題)』第76回カンヌ国際映画祭 上映後インタビュー

今夏、アメリカでは劇場での映画鑑賞がブームに!

『バービー』

『バービー』 (C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

トム・クルーズが『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の公開前に同作のクリストファー・マッカリーと『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』『バービー』『オッペンハイマー』を劇場で鑑賞したことをSNSにアップ、これを受けて『バービー』に主演したマーゴット・ロビーとグレタ・ガーウィグ監督も『ミッション:インポッシブル〜』『インディ・ジョーンズ〜』『オッペンハイマー』を劇場で鑑賞した様子を『バービー』の公式SNSが投稿した。

『バービー』はアメリカで2023年の興行収入第1位となり、『オッペンハイマー』は、トップ10に娯楽作が並ぶ中、第5位にランクインしている。

脚本家組合&映画俳優組合による長期間のストライキがハリウッドを揺るがす

ストライキ終結を知らせるSAG-AFTRAのX(@sagaftra)

2023年のハリウッドを大きく揺るがせたのが脚本家組合(WGA)と映画俳優組合(SAG-AFTRA)と映画製作者協会(AMPTP)を相手に起こした長期間のストライキだ。

いずれも、最低報酬の引き上げや、配信サービスの台頭による視聴環境の変化に伴う対価の支払い、さらに生成AIの使用についての制限や条件をめぐり、組合員の権利を守るために一歩も引かない交渉が続いた。

5月2日から始まったWGAのストライキの影響で映画やTV番組の制作がストップしたが、俳優や司会者たちは支持を表明。ジミー・キンメルをはじめ人気トーク番組の人気司会者たちがポッドキャストを始め、その収益を制作中断中の番組スタッフに寄付した。

SAG-AFTRAのストライキは714日に開始。組合員の俳優たちは映画やTV番組などの出演や宣伝活動から離れ、WGAと同様にNetflixやディズニーなど大手企業の前でデモを行い、著名なスターたちも参加した。

両組合とも報酬に加えて重視したのがAIの使用制限についての交渉だ。WGAに関しては、AIが生成したものは作品素材とみなさないなどの点で合意に達し、ストは927日(現地時間)に終結した。

SAG-AFTRAに関しては、同意なしに俳優の映像をAIによって複製、改変して使用しない保証、デジタルの複製に従事したエキストラ俳優の出演料について詳細な取り決めがなされ、118日(現地時間)に終結した。ともに最低報酬の引き上げ、配信番組の成果によるボーナス支給なども盛り込まれた。

・ハリウッド映画俳優組合のストライキが終了 “10億ドル以上の価値持つとされる条件でスタジオ側と暫定合意

イスラエルとパレスチナの武力衝突をめぐってハリウッドが分断

CCFPのwebサイトより

10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織のハマスがイスラエルを奇襲して始まった武力衝突は今も続いている。イスラエル、パレスチナ双方で一般市民が巻き込まれる事態をめぐって分断が深まったのがハリウッドだ。

映画業界にはユダヤ系が多く、SNSでイスラエル支持を表明したり、ハマスが人質にとった200名以上の人々の解放を求めてバイデン米大統領に宛てた公開書簡を発表した。

一方、ガザ地区の一般市民の生命を脅かす熾烈な攻撃に抗議の声を上げるセレブも少なくない。だが、パレスチナ支持を表明したオスカー俳優のスーザン・サランドンは支持者の集会で行ったスピーチの内容が、映画『スクリーム』に出演したメリッサ・バレラもパレスチナ寄りのSNS投稿がそれぞれ反ユダヤ主義的だと指摘され、サランドンは所属していたタレント・エージェンシーから、バレラは『スクリーム』シリーズ最新作から解雇された。

その反面、武力衝突が起きて以降にTV番組で「ハマス」をジョークのネタにしたコントに出演したティモシー・シャラメ、SNSで「シオニズム(ユダヤ人国家建設運動)はセクシー」と記されたステッカーを手にする友人たちとの様子をアップしたノア・シュナップ、パレスチナへのヘイトを煽る投稿をしたエイミー・シュマー、といったセレブたちには一部から批判が寄せられたが、解雇などの処分はない。

・ハリウッドで“パレスチナ支持”表明した映画人が契約解除に…親イスラエルの映画人との分断深まる

おしどり夫婦の破局、人気俳優の交際も話題に!?

 

ティモシー・シャラメとカイリー・ジェンナー

カイリー・ジェンナーとティモシー・シャラメ(芸能誌「HELLO!」のinstagramより)

最後に、2023年のハリウッド・カップル事情を軽くおさらいする。

おしどり夫婦として知られたヒュー・ジャックマンとデボラ・リーは27年間の結婚生活に終止符を打った。2人は「私たちは夫婦として約30年間、素晴らしい愛のある結婚生活を共にすることができて幸せでした。私たちの旅は変わりつつあり、それぞれの成長を追求するために別れることにしました」と声明を発表。円満な別れで、日本で言う“卒婚”に近い決断に思われる。

リース・ウィザースプーンも11年間連れ添ったタレントエージェントのジム・トスと離婚。12回目の結婚記念日を数日後に控えた324日(現地時間)、SNSに連名で声明を発表した。

テイラー・スウィフトは4月、6年間交際したジョー・エルウィンと破局を迎えた後、The 1975のマシュー・ヒーリーとロマンスが噂されたが、すぐに破局。9月頃からNFLのトラヴィス・ケルシーと交際が始まった。スウィフトはツアーで世界各地を周る合間を縫って毎週行われるケルシーの試合に駆けつけ、ケルシーも11月にスウィフトのアルゼンチン公演に参加。その後に関係者が2人は恋愛中であることをUs Weekly誌で語っている。

リリー・ローズ・デップは5月、インスタグラムで「私の恋する相手と4ヵ月」とラッパーの070シェイクとの交際を発表。6月の070シェイクの誕生日にはインスタで「私の生涯の愛」と呼びかけて祝った。

ビヨンセのコンサートで2ショットを目撃されたティモシー・シャラメとカイリー・ジェンナーは、今年春頃から交際を噂されるも慎重に行動していたが、9月になると、ビヨンセのロサンゼルス公演やニューヨークで開催されたテニスの全米オープンの試合観戦に訪れ、人目も気にせずにキスしていた。

モデルのジジ・ハディッドは秋頃からブラッドリー・クーパーと急接近している。ハディッドは28歳でクーパーは48歳。20歳の年の差だが、ハディッドは昨年、クーパーより1歳上のレオナルド・ディカプリオとの交際も噂されていた。ハディッドは元パートナーのゼイン・マリクとの間に3歳の娘が、クーパーも元パートナーでモデルのイリーナ・シェイクとの間に6歳の娘がいる。

・ティモシー・シャラメがテニス観戦デート、クロエ・グレース・モレッツと恋人の姿も

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