坂元裕二、『怪物』発想のきっかけはとある“後悔”? 是枝裕和監督らと共にカンヌ映画祭公式会見に出席

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是枝裕和監督、音楽・坂本龍一による映画『怪物』が、第76回カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」で正式上映され、是枝監督、脚本家の坂元裕二、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太が翌518日(フランス時間)、フォトコールと公式会見に出席した。

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安藤サクラ、『万引き家族』に続く出演に「自分には早いのではと不安も抱えていた」

「この作品に僕が参加したのは2018年の12月です。プロデューサーの川村(元気)さん、山田(兼司)さん、脚本家の坂元さんが映画の開発をスタートさせていて、プロットが出来た段階で僕にお声がけをいただきました。その段階で完成形の三部構成というものが出来上がっていて非常に見事な脚本だなと思いました。実際にそこには存在しない怪物というものを人は見てしまう、そういうプロセスを、観客を巻き込みながら進めていくようなストーリーテリングが本当に面白くて、読んですぐに参加させていただく決断をしました」と作品がうまれた経緯について語る是枝監督。

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脚本家の坂元は、家庭や学校を本作の主題に選んだ理由を、「きっかけとしては私が以前経験したことが一つあります」と語り、「車を運転している時に起きたことです。赤信号で、前のトラックが止まっていたので私も止まったんですね。その信号が青に変わったのに、前のトラックが動こうとしない。しばらく待っても前のトラックが動かないものですから、軽くクラクションを鳴らしたんです。それでも動かないので、どうしたんだろうと思っていると、そのトラックがやがて動き出して立ち去ると横断歩道に車椅子の方がいらっしゃいました。私にはトラックで、車椅子の方が見えなかったのですが、私はクラクションを鳴らしてしまった」と自身の経験を振り返る。

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さらに、「そのことをずっと後悔していて、私たちには生きている上で、見えていないものがある、それを理解していく上ではどうすればいいのか、そんなことを物語にしたいと常々思っていました」と続けた。

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『万引き家族』に続いての是枝監督とのタッグとなった安藤は、「監督から万引き家族から時間が経たないうちにお声がけいただけると思ってなかった。ただ、もう一度監督の元に戻るには自分には早いのではという不安も抱えていた。でも変わらず監督の現場はそこにいるスタッフ・キャストを尊重し、みんなが同じ目線で意見を交わし合って、作品に関わっていくことを心から楽しみながら志を持って、ストレスなくいられる現場を作ってくださいました。だからこそ本番中は研ぎ澄まされた集中力で、新しいものが必ず生まれていきますし、その監督の現場にそんなに時間を空けることなく戻れたことで、より一層監督が作る撮影現場、作品の現場を、改めて信頼関係に気付かされた。それが監督の特別な環境だなというふうに思った。私は2度目だからこそ…、うまく言えない(笑)! でも楽しかったです!」と撮影現場での日々を振り返る。

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永山は、「自分も子どもがいまして、一緒に生活していても、毎日子どもたちは成長して、違った言葉や動きをしていて、それを、僕も父親として受け止めていきたいという気持ちで家庭のなかにいるのですが、それと同じ感覚で、今回は教師役ということで、特に想矢くん、陽太くんを受け入れるときに、僕としては突き放すという意味ではなく、ほうっておくというか、放任するといいますか、それでもやっぱりすべての生徒に対して、意識を持って、全員に同じ愛情を注ぐことはできないなと今回改めて感じたんですけど、それでもやっぱりみんなのことは毎日撮影中に気になりました」と語る。

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さらに、永山は本作の魅力を「今から映画を見てくださる方もこのタイトルの「怪物」、そして日本でも『怪物、だれだ?』という予告が流れていて、周りの人からもどんな映画なの?と聞かれるのですが、僕のなかでもいまだにわからない、現場中も結局誰が怪物だったのか、それは自分の内側に潜んでいるものなのか、外側にあるものなのか、一人一人見ていただく方の正解があると思いますし、僕はいろんな見た方の意見を聞いて、とてもそういった意味で捉え方の余白というか、自由な捉え方をしていい素晴らしい映画なんだなというのを改めて感じています」と語った。

『怪物』は62日より全国公開。

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