フランス映画の巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督が13日(現地時間)、スイスの自宅で亡くなった。享年91。

13日(現地時間)、フランスの主要メディアに一斉に訃報を流してからまもなく、妻のアンヌ・マリー・ミエヴィルとゴダール作品のプロデューサーたちは同日午前中のゴダール監督の死去について、スイスのレマン湖畔のロールにある「自宅で近親者に囲まれて安らかに亡くなりました」とフランスの「Liberation」紙に説明した。家族の友人は「彼は病気だったのではなく、ただ疲れ果てていました。だから、彼は全てを終える決断をしたのです。それは彼の決断であり、そのことを知られるのが彼にとって重要なことでした」

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フランスとスイスの二重国籍を持つゴダールは、長年スイスに暮らしていた。スイスは自殺幇助が合法化されている。

1950年代から映画監督として、『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』、『軽蔑』などで“ヌーヴェルヴァーグの旗手”として、フランソワ・トリュフォーやクロード・シャブロル、エリック・ロメールなどと映画の新しい波を起こした。21世紀になってからは3Dデジタルなど新しい技術も取り入れて『さらば、愛の言葉よ』(14)で第67回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、2018年の第71回には『イメージの本』で映画祭史上初の特別賞スペシャル・パルムドールを受賞している。

映画人たちがSNS上で驚きと共に追悼を表明している。

1990年にゴダール監督の『ヌーヴェル・ヴァーグ』に主演したアラン・ドロンはAFPに「映画の歴史の1ページがめくられます。ありがとう、ジャン=リュック。私たちに美しい思い出を残してくれて。私のフィルモグラフィーに『ヌーヴェル・ヴァーグ』があることをずっと誇りに思い続けることを知っていてほしい」とコメントした。

『軽蔑』に主演したブリジット・バルドーは「そしてゴダールは『軽蔑』を作り、息つく暇もなく今は亡き偉大な創造者たちの星に加わった」と自身の代表作『素直な悪女』(原題は『Et Dieu… créa la femme(そして神は……女を作った)』や『勝手にしやがれ(原題は『A bout de souffle(息を切らして)』にかけて公式アカウントでツイートした。

アントニオ・バンデラスは英語と母国語のスペイン語で「ムッシュー・ゴダール、映画の境界を広げてくれて、ありがとうございます。ジャン=リュック・ゴダール、映画言語の枠を広げてくれて、ありがとうございます」とツイートした。

ブレンダン・フレイザーを主演に迎えた新作『The Whale(原題)』が先のヴェネチア国際映画祭で話題となったダーレン・アロノフスキー監督は『rip ゴダール。『勝手にしやがれ』のVHSを見て多くを学びました。ありがとう、マエストロ』とツイート。

1987年に俳優として『ゴダールのリア王』に出演し、同時期に新進映画監督として「ゴダールの再来」と評されたレオス・カラックスは「Liberation」紙に、ゴダールの死は人々が「再び生まれ変わり、目と映画館を再び開」必要がある」というサインだと語り、「ゴダール、安らかに眠らないでくれてありがとう」と追悼した。

『ラストナイト・イン・ソーホー』のエドガー・ライト監督は「RIP ジャン=リュック・ゴダール。最も影響力があり、革新的な映画監督の1人です。彼自身がハリウッドのスタジオ映画制作システムを崇拝していたのは皮肉なことです。ただカメラを手に取って撮り始めるというインスピレーションをこれほど多くの人々に与えた監督はおそらく他にいないから」とツイート。

その一例として、ライト監督と彼がドキュメンタリー『スパークス・ブラザーズ』を手がけたポップ・デュオ「スパークス」のラッセル・メイルは、それぞれ学生時代に『勝手にしやがれ』に影響を受けた映画を撮っていたエピソードを綴り、最後にフランス語で「僕たちはあなたが大好きだ(Nous t’aimons)!」と悼んだ。

あまりに突然でショッキングな訃報に、『パッション』に主演したイザベル・ユペールなど多くの縁ある映画人は日本時間14日午前中の時点では沈黙したままだ。

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