日本人の傑作漫画をアニメ化したフランス人監督、好きな映画は『おもひでぽろぽろ』

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パトリック・インバート
(C)Le Sommet des Dieux - 2021 / Julianne Films / Folivari / Mélusine Productions / France 3 Cinéma / Aura Cinéma

『神々の山嶺』日本人漫画家・谷口ジローの遺志を継ぐ、パトリック・インバート監督インタビュー

第47回セザール賞アニメーション映画賞を受賞、フランスで大ヒットした本のアニメ化『神々の山嶺』が7月8日より全国公開される。このたび、漫画版を手掛け、このアニメ版完成を待たずして逝去した谷口ジローの遺志を継いだパトリック・インバート監督のインタビューが到着した。

インバート監督は、制作段階で一番苦労した点について、「原作が1500ページにも及ぶ大作なので、谷口ジローさんのスピリットや考え方をそのまま忠実にしながら、90分に短くするという作業が非常に難しかったです」と、4年にわたる脚本づくりだったことを吐露。

「人物の描写や深い心理的な部分についてはより複雑なので、谷口さんの他の漫画を読むなど、谷口さんについて理解することで脚色ができました」

大きな見どころの一つが山の描写だ。

「私自身、登山をしないので、まずは山についてインターネットや本から色々な資料や知識を得ました。スタジオに実際の登山家を呼び、どうやって山に登るのか具体的なジェスチャーを加えて色々教えてもらいました。ヒマラヤ登山は、日本やフランスの山とも、アルプスの山々を登るのとも違い、厳しさがあります。そこをできるだけ忠実に、リアルに、写実的に描くよう気をつけました」

最も好きなアニメは高畑勲『おもひでぽろぽろ』

山の描写と合わせて、日本の描写も再現度が高い本作品。細部に至るまで日本について調べ尽くしたことがうかがえる。

「先ほどの山と一緒で、日本文化についてもインターネットでたくさんの資料や画像など、様々なものを参考にしました。フランス人には日本文化のファンの方がすごく多く、スタッフの中にも日本に住んでいた人がいます。また、私の友人でコンサルタントをしている日本人の方は、フランスに住んで20年になります。彼らから、日本の文化、上下関係といった人間関係や死生観などいろいろ教えてもらいました。例えば、日常生活では靴を脱ぐという習慣などです。また、日本の住居は、畳一畳の大きさが決まっているというところから教えてもらいました」

作中、カメラマンの深町の本棚が映るシーンでは、スタジオジブリや寺田克也、松本大洋の本が並んでいたり、居酒屋ではロック・パイロットの曲が流れていたりする。

「これらを描写したのは、もちろん日本の偉大な漫画家たちへのオマージュです。気づいていただけたというのはすごく嬉しいです。最も好きなアニメ映画は、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』です」

日本の文化やアニメから非常にたくさんの影響を受けましたとも語る監督が、今回の日本での劇場公開 について次のように語った。

「すごく嬉しいです。緊張もしますけど。アニメ大国において、私の作ったアニメ作品が公開されるというのは、幸せでもあり、ちょっと怖い気持ちもあります」

未解決のナゾを突き止めようとする男たちの物語

本作品は、「登山家マロリーがエベレスト初登頂を成し遂げたかもしれない」といういまだ未解決の謎を突き止めようとする男たちの物語。

その謎が解明されれば歴史が変わる──。カメラマンの深町誠はネパールで何年も前に消息を絶った孤高のクライマー・羽生丈二が、マロリーの遺品と思われるカメラを手に去っていく姿を目撃。深町は羽生を見つけ出しマロリーの謎を突き止めようと、羽生の人生の軌跡を追い始める。やがて2人の運命は交差し、不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑むこととなる──。

『神々の山嶺』は、7月8日より全国公開される。

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