【今日は何の日】シーサーの日! 沖縄の離島に残る、弔いの風習を描いた作品とは?

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『洗骨』
『洗骨』
(C)『洗骨』製作委員会
『洗骨』
『島々清しゃ』

本日、4月3日はシーサーの日。シーサーは、沖縄県などで建物の門や屋根、村落の高台などに据え付けられる伝説の獣の像だ。家や人、村に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除けの意味を持つ。今日はそんな日にちなみ、沖縄を舞台にした映画を2つ紹介しよう。

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粟国島を舞台に、“骨を洗う”風習を描く『洗骨』

ガレッジセールのゴリが本名の照屋年之名義で監督を務めた本作は、沖縄県の粟国島に今も残るとされる風習・洗骨を題材にした作品。

母・恵美子が亡くなってから4年。父の信綱(奥田瑛二)は島で1人、荒れ果てた生活を送っていた。そんな中、洗骨のために東京から長男・剛(筒井道隆)が帰ってくる。さらに、長女の優子(水崎綾女)も帰ってくるが、そのお腹には子どもがいて、1人で産むつもりなのだと言う…。それぞれが“ワケアリ”でバラバラの家族は、数日後に控える洗骨を前に一つになれるのだろうか。

洗骨は、風葬して骨になった遺体を数年後に墓から出し、縁深いものたちで綺麗に洗ってから再び埋葬するというものだ。現代の私たちからしたら馴染みのない儀式だが、かつての沖縄ではよく見られる葬制だったという。

島民たちも「泣き出す子どももいるし、大人だって酒を飲まないとやれない人が多い」と語る洗骨の様子は、物語の終盤で描かれる。4年ぶりの母との再会、そして別れの儀式でもある“洗骨”シーンは非常に神秘的、そして感動的だ。

洗骨の終盤で優子が産気付き、まさかの“墓前出産”を果たす姿は衝撃的だが…笑いを交えつつ、重たすぎないトーンで楽しめる作品だ。

慶良間諸島を舞台に、音楽を通じた心の交流を描く『島々清しゃ』

続いて紹介するのは、那覇市から西に約40㎞に位置する慶良間諸島が舞台の作品。

耳が良すぎて、少しでも音のズレを感じると頭痛がしてしまう小学生のうみは、三線の名手であるおじいと二人で暮らしていた。ある夏の日、島で開催されるコンサートのためにヴァイオリニストの祐子がやってくる。耳のせいで変わり者扱いされ、母親や友だちとの関係に悩むうみは、祐子と出会い、フルートを練習し吹奏楽部に参加することで、少しずつ頑なに閉ざしていた自分自身を解放していく。

うみを演じるのは、片山慎三監督の『さがす』にも出演した伊東蒼。祐子を演じるのは、『百円の恋』(14年)、『万引き家族』(18年)の安藤サクラ(ちなみに『洗骨』で信綱を演じた奥田は実父である)。

伊東が演じるうみは、あまり笑顔を見せず、どちらかといえばしかめ面が多い印象の女の子だ。そんなキャラクターなだけに、ひたむきにフルートを練習し、音楽を通じて心を開いていく様子にはグッと心を掴まれる。慶良間諸島の風景や沖縄らしい音楽に心癒されたい方にもおすすめだ。

どちらの作品も沖縄本島ではなく、離島が舞台。本島よりもさらにのんびりした雰囲気が味わえる映画だ。今日は、そんな風景を楽しみながら、映画でリゾート気分を味わってみてはいかがだろうか。(Y)

『島々清しゃ』