『アメリ』監督も苦戦 Netflixはコロナ禍にあえぐ映画業界の救世主となるのか?

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ベネディクト・カンバーバッチ
アカデミー賞で最多12ノミネートされたNetflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』/配信中

Amazon Prime、Disney+とも折り合い付かず

【興行トレンド】アメリカの業界誌「Variety」によると、Netflixは今年5月開催の第75回カンヌ国際映画祭でワールドプレミアとなる作品の出品を予定していないことが明らかになった。

Netflixはアナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの伝記映画『Blonde(原題)』をカンヌでお披露目すると目されていた。だが、「映画祭出品作は配信に先駆けてフランスで劇場公開する」というルールが、劇場公開から配信開始までの期間が短いNetflixの方針と折り合いがつかないのが原因のようだ。

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Netflixとフランスの映画団体「BLIC(映画産業連絡局)」「BLOC(映画産業団体連絡局)」「ARP(作家・監督・製作者協会)」は22日(現地時間)、フランス映画については劇場公開から15ヵ月経ってから配信開始という合意に達した。映画雑誌「PREMIERE」によると、それ以前は36ヵ月という長期間を設けていたが、Netflixがフランスにおける年間売上高の4%をフランス語映画の製作に提供することで短縮された。

今後3年間にわたり、フランス語のオリジナル映画製作に年間最低3000万ユーロを保証し、予算が400万ユーロ以下のフランス語のオリジナル作品に少なくとも17%の事前投資を確保する多様性条項も含まれ、年間最低10本の映画への事前投資も盛り込まれた。

Netflixと競合するAmazon PrimeとDisney+は劇場公開から配信まで17ヵ月を提示されているが、合意には達していない。またフランスの有料民間TV局カナル・プリュスは2022年から、3年間にわたって年間1億9000万ユーロをフランスの映画産業に出資することを条件に劇場公開から半年で映画を放送する契約を結んだ。

Netflixは2017年にポン・ジュノ監督の『オクジャ/Okja』とノア・バームバック監督の 『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』をコンペティションに出品したのを最後に、カンヌ国際映画祭に出品していない。

近年はヴェネチア国際映画祭に主軸を移し、今年のアカデミー賞で最多12ノミネートを受けたジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(銀獅子賞受賞)や国際長編映画賞候補のパオロ・ソレンティーノ監督の『Hand of God -神の手が触れた日』(審査員大賞、マルチェル・マストロヤンニ賞受賞)を出品している。

2020年から続くコロナ禍もあり、フランス映画の製作現場は厳しい状況が続いている。Amazon Prime Videoでフランス初の配信長編映画となった『社会に虐げられた女たち』(21)は、大手映画会社ゴーモン製作で撮影が始まったものの同社が撤退。Amazonが引き継いで完成し、昨年9月に配信された。また、『アメリ』のジャン・ピエール・ジュネ監督も国内の映画会社では企画が通らず、最新作『Bigbug』はNetflixで製作して2月から配信中だ。

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