東出昌大が病んだ夫を演じ、「自分の子どもには、僕みたいになって欲しくない」

#佐藤泰志#奈緒#斎藤久志#東出昌大#草の響き

狂わないように走り続ける

『寝ても覚めても』(18年)以来3年ぶりの主演作となる東出昌大が病んだ夫を演じる映画『草の響き』が2021年10月8日に公開される。妻役には『君は永遠にそいつらより若い』(21年)など出演作が続く、いま注目の奈緒。ふたりの俳優の繊細な演技によって、佐藤泰志の原作にはなかった夫婦の崩壊と再スタートというテーマが立ち上がった。監督は『空の瞳とカタツムリ』(18年)の斎藤久志。本作より、予告編が解禁となった。

奈緒、東出昌大の妻を演じ「私は私でいれば良いと気づかせてくれた」

公開された映像では、うずくまる和雄(東出昌大)のシーンから幕を開ける。どこにも行くことができずに悲痛な表情の和雄だが、室井滋演じる精神科の医師に勧められて、治療のため街を走り始める。朝も夜もとにかく走り続けるカットが続くなか、「狂ったように走ってるんだから」という純子(奈緒)に対して「狂わないように走ってるんだよ」と告げるセリフが印象的だ。また、和雄と純子、そして大東駿介演じる友人の研二が、ベランダで空を見上げる場面では、産まれてくる子どもの為の洋服が干されているのが分かる。

続けて「自分の子どもには、僕みたいになって欲しくない」という和雄の辛い独白。そして和雄をじっと見つめる純子と、それを苦しそうに見つめ返す和雄のクローズアップが続く。そしてラストには、和雄が服を脱ぎ捨て、 フェンスを軽々と超え、裸足で草に上に降り立つ足のアップで予告編は終わっている。「良くなりたい」と願いひたすらに走り続ける和雄、子どもを宿し和雄の回復を待つ純子が、果たしてどのような結末を迎えるのか興味は尽きない。

心の病に平穏は訪れるのか

心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館へ戻ってきた和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治 療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。そのくりかえしのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんな中、彼は路上で出会った若者たちとふしぎな交流を持ち始めるが—。

『草の響き』は2021年10月8日より公開。

INTERVIEW