1997年生まれ、千葉県君津市出身。2015年、ドラマ『恋仲』でデビュー。『こえ恋』(16年)、『凪のお暇』(19年)などのテレビドラマや韓国Netflixドラマ『アスダル年代記』(19年)に出演。他の出演作に映画『寝ても覚めても』(18年)、主演映画『の方へ、流れる』(22年)などがある。
大好きだった人とうり二つの男性と出会ったことで、心が揺れ動く……。柴崎友香の小説を濱口竜介監督が映画化した『寝ても覚めても』が9月1日より公開される。外見はそっくりで全く性格の違う男性麦と亮平を東出昌大が演じる話題作で、麦と亮平の間で揺れ動くヒロインの朝子に抜擢されたのは唐田えりか。
モデルとして活躍し、CMでも話題を集め、今後は『覚悟はいいかそこの女子。』の公開も控える注目女優の唐田に、本格的な演技初挑戦となった本作についてインタビュー。作品について、東出の印象、そしてレッドカーペットを歩いたカンヌ国際映画祭での思い出などを聞いた。
唐田:正直、全然手ごたえはありませんでした。監督とお話をしているときも、「お芝居をあまり楽しいと思えないです」と前向きじゃない発言をしていました。そのあと、感情を入れずに字面だけを読んでくださいと言われて、1シーンのセリフを読みましたが、本当に手ごたえはありませんでした。
唐田:信じられなくて、嬉しいを通り越して「うそー!」と頭が真っ白になりました。でも同時に、これで何か変われる気がするとも思えました。
唐田:初めて脚本を読んだときから、すぐに感情移入できました。朝子とは、直感で動いて嘘がないところが特に似ています。21歳から29歳までを演じましたが、東出さんをはじめとしたみなさんに助けていただいて、難しいと思うところはありませんでした。
唐田:はい。いろいろなワークショップをしました。東出さんとも、まずは役として知るというより、東出昌大さんと、私自身として話すことから始まりました。一番最初はずっと無言で見つめ合いながら心で語り合うとか。
唐田:はい。濱口(竜介)監督が心の中で会話をしてくださいと。最初は恥ずかしかったです。初対面の方と、ずっと目を見て、心のなかで会話をしていくので。
唐田:今日はカレーが食べたいな、みたいな、そういうどうでもないことを、私は喋ってました(笑)。会話できていたと思います(笑)。東出さんには「素直な子ですね」というようなことを言われました。一番はじめのときは、私、結構緊張していて。でもそれを東出さんが気づいてくださって「ちょっとお散歩に行きましょう」って誘ってくださったんです。それで、監督と東出さんと私とで、まずお散歩をしました。そこから本読みをしたり、ワークショップに入っていきました。本当に優しい方です。
唐田:めちゃくちゃドラマチックな出会いですよね。でも麦みたいにいきなりキスをしてきたらどうだろう。あれは麦だからこそ受け入れられたという不思議さがありました。私自身は声フェチなので、後ろから自分好みの声が聞こえてきて、振り返ってみてステキな人だったらキュンと来るかもしれないです。そういうところから始まる恋もいいですね。
唐田:麦は母性本能をくすぐるところですかね。私がこの人を守っていかなきゃ、みたいな。危なっかしさのある、追いかける恋。亮平はすごく温かくて、ふたりで関係を育んでいく感じが好きです。
唐田:はい。カメラが回っているときと回っていないときで、そんなに差を感じるわけではないんですけど、でも麦のときはずっとふわふわしているような危なっかしさがあって、すごく不安に感じました。亮平はすごく温かくて、安心しました。そうした感覚を与えてくださってありがたかったです。
唐田:山下(リオ)さんも伊藤(沙莉)さんも、本当に役柄と変わらないんです。あのまんま。現場でもずっと3人でゲラゲラ笑っていました。そのまま撮影に入っていけたので、すごくよかったです。心強かったですね。
唐田:映画祭自体が初めてでした。いつか行けたらいいなとは思ってましたが、まさかこんなに早く行けるとは。ずっと夢心地でした。活気がすごくて、すべてがキラキラしていました。レッドカーペットでは、私がドレスにヒールを引っかけて立ち往生してしまって、それがニュースに取り上げられていたので、ホテルに戻ってから携帯電話を開いたら、友達から「えりか、見たよ。海外に行っても、ドジをやってるね」と、たくさんのメッセージが入ってました(笑)。
唐田:寝ても覚めてもごはんのことを考えています(笑)。私、すっごい食いしん坊なんです。お昼は何を食べようかな、夜は何を食べようかなって。お昼ご飯をたべながら、夜は何にしようとか考えてることもあります(笑)。好きなのはニンニクたっぷりの味噌ラーメンとかカレーとか、韓国料理とか、基本、男飯系ですね。
唐田:そうなんです。だから撮影が終わったご褒美とか、2、3日はにおうので、それでも大丈夫なときに食べるようにしています(笑)。
唐田:濱口監督に教えていただいたことが、お芝居の基盤になっています。今回学んだことを、これからも大事にしていきたい。感じたままに、嘘のない女優さんになっていきたいです。
唐田:よく肝が据わっていると言われます。緊張しないわけではありませんが、緊張も楽しめるのが自分の強みかなって、最近思うようになりました。
唐田:ラストシーンにすべてが詰まっていると思います。後悔させない作品になっているので、ぜひ劇場でご覧ください。
(text&photo:望月ふみ)
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