『モアザンワーズ/More Than Words』青木柚×中川大輔インタビュー

愛し合う男性同士を演じた2人の俳優が語る撮影秘話と作品への思い

#モアザンワーズ/More Than Words#中川大輔#青木柚

会った瞬間にこの人と仲良くなりたいなって思いました(青木)

漫画家・絵津鼓による漫画『モアザンワーズ』と、その後日譚である『IN THE APARTMENT』という二つの原作を併せて実写ドラマ化した『モアザンワーズ/More Than Words』がPrime Videoにて配信中だ。同ドラマは、愛し合う男性同士とそれを見守るひとりの女性の日々を綴った物語。

同じ高校に通う美枝子と槙雄は一緒に始めたバイト先で大学生・永慈と出会い、3人はつるむようになる。永慈が槙雄に好意を寄せて2人は結ばれることになるが、周囲が交際に反対。彼らを引き裂こうとするなか、美枝子は2人のために彼らの子どもを産むことを決意。3人の特別な関係が徐々に変化していくなか、槙雄は幼なじみの朝人と偶然再会する。

注目の若手俳優である、藤野涼子、青木柚、中川大輔、そしてお笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹の共演により、ピュアであるがゆえに痛々しくもある青春群像劇が展開する。槙雄を演じた青木柚と永慈に扮した中川大輔に、作品への思いや苦労、ラブシーンの裏話などをたっぷりと語ってもらった。(動画あり)

青木柚・中川大輔サイン入りチェキを2名様にプレゼント! /『モアザンワーズ/More Than Words』

しんどくて、でも、幸せを追う彼らを見守りたい。絵津鼓が描く世界を俳優たちが真摯に好

──出演の話を聞いた感想から教えてください。

中川:愛のこもった企画書を読ませていただいて、ぜひ出演したいと強く思いました。

青木:僕も同じことを思いました。作品の中に流れる空気感が制作の段階から伝わってきて、橋爪監督も作品を大事にされていると感じたんです。

中川:監督とは最初に、嘘がなく全力で役を生きたいと話しました。

青木:とてもリアルで、複雑で曖昧で綺麗なだけじゃないものが描かれていると思います。

Amazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』
Prime Videoにて配信中
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──私はBLが好きで先に出版された『IN THE APARTMENT』から入って『モアザンワーズ』を読んだのですが、原作は読まれましたか?

中川:僕は脚本を読んでから原作を読んだのですが、漫画のほうが登場人物たちが軽やかでハッピーに描かれているように思いました。あと、漫画は大好きで、絵津鼓さんの絵がとても好きです。
青木:僕は原作を読んで人の思いが巡っていて、いろんな優しさが充満しているのを感じました。数多く漫画を読んではいないのですが、漫画は大事なものを教えてくれるものと思っていて、その僕の認識に当てはまる作品だなと思います。

──お互いの第一印象はいかがでしたか?

青木:顔合わせと本読みのときに初めて会ったのですが、会う前はクールでカッコいい方でどっしり構えているイメージだったけれど、会ってみると物腰柔らかくて威圧感が全然なくて。会った瞬間にこの人と仲良くなりたいなって思いました。

中川:僕は、青木くんは人見知りなのかなって…。

青木:え! マジ!?

中川:でも、それは全然違ってた(笑)。その後、本読みを始めた瞬間に役になったのを見てまずいな! 自分も頑張らなきゃって思うぐらい自然にマッキー(槙雄)でした。

青木柚×中川大輔

──お二人とも見ていてとても自然な演技に感じられましたが、ご自身と重なるなど、演じられた役をどのようなキャラクターだと捉えましたか?

中川:永慈は優しい男で、それは周囲の人に恵まれていることから来るもので、その点で自分と似ている部分があると思いました。ただ、永慈はずるい人でもあります。流されているようで流されたふりをしているようでもあって。そこは人間らしいなと思います。

青木:槙雄は形のないものを大事にしていて、その感覚は僕も好きです。でも、いざ形のあるものに対面すると打ちひしがれて落ちていって…。そういう弱さも自分に思い当たるふしがあります。

青木柚×中川大輔

──実際に演じられていかがだったでしょうか?

中川:永慈はリードしていく役どころではなかったから、マッキー演じる青木くんにどんどんひっぱってもらっていったという印象です。

青木:僕は、今まで演じてきたなかで一番と言っていいぐらい、しんどかったです。決着がつかないというか、揺れる気持ちがずっと続いている役だったので。永慈と美枝子といる3人のパートではアドリブもバンバン入れて楽しんでやっていたけれど、後半の朝人編ではアドリブもパッタリなくなって。

──アドリブを入れないという演出の指示だったのですか?

青木:いや、出て来なかったんです。無理して明るくしている槙雄をアドリブも入れて演じようと思っていたけれど、マジで出てこなくなっちゃいました。

中川大輔・青木柚

──朝人役の兼近さんとの共演はいかがでしたか? 原作ファンとして当初はキャスティングに驚きもありました。

青木:現場では兼近さんの明るさや気遣いに助けられたし、作品のなかでの兼近さんの魅力はすごいなと感じました。兼近さんの悲しそうなところや寂しそうなところをあまり見たことがなかったんですが、朝人が寝転がってうなだれるシーンで、僕にしか見えない角度でとても孤独でいろんなことを抱えている人の雰囲気を感じることがあって、兼近さんの繊細な部分が朝人というキャラクターとリンクしているように感じました。とても新鮮で学びが多かった撮影でした。

照れは役としてもリアルで、二度と生まれないものだと思います(中川)

──中川さんと青木さんのラブシーンも印象的でしたが、撮影の感想を教えてください。

中川:あのシーンはリハーサルは最初の部分だけで、ほとんどぶっつけ本番だったんです。

青木:全部アドリブみたいなものだよね。

中川:2人とも照れてたけど、その照れは役としてもリアルで、二度と生まれないものだと思います。

青木:本当は寄りのカットもあったんだけど、いやもうこれ以上撮らなくていい、これでいこうってなったんです。

中川:OK、十分って。

青木:嬉しかったなぁ! 緊張したけど。

──緊張されてたんですね、そうは見えなかったですけど。

青木:男性とのそういうシーンは初めてで、自分の人生で初めてのことが今から起こるんだって思うと緊張が来て。

中川:(青木くんの)初めてを…(笑)。

青木:自分の人生に刻まれました(笑)。

中川大輔

──甘いシーンでしたけれど、そんな甘いシーンばかりではないのがこの作品の魅力となっています。

青木:こんなにお互いがお互いを思い合ってるだけなのに、こんな結果になってしまうんだという…。形容しがたい感情が沸き上がって、まさにタイトルに込められた通り、モアザンワーズだなって。

中川:当事者にしかわからない気持ちが積み重なっていって、結果があって。現実世界そのものだと思います。

青木:同じ立場に居たら同じ選択をするかどうか、正直に言ってわからないです。誰も何かを粗末にすることなく、ただみんなで幸せになりたいって思った、未熟だけどピュアでまっすぐな3人の気持ちは本物です。僕はまだ21歳で、この先考え方がどうなっていくかわからないけれど、今の自分には彼らを否定する気持ちにはなれないです。

青木柚

──この作品をどんな方に見て欲しいですか?

中川:登場人物たちと同世代の人たちに見て欲しいです。今の若者の繊細な心を描いていて、とても大事なことを教えてくれる作品になっていると思います。

青木:僕も同世代の人たちに見て欲しいと思うし、劇中に出てくる大人たちがそれぞれいろんな見方で3人を見つめているので、大人の人にも見て欲しいです。自分自身が大人になったときにどういう見方をするのかも考えさせられるし、今の大人がどう思うのか、聞いてみたいです。

(text:牧島史佳/photo:小川拓洋)

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<作品概要>
Amazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』Prime Videoにて配信中
出演:藤野涼子、青木柚、中川大輔、兼近大樹(EXIT)
原作:絵津鼓「モアザンワーズ」(幻冬舎コミックス)、「IN THE APARTMENT」(大洋図書)
監督:橋爪駿輝 
Amazon作品ページ(https://www.amazon.co.jp/dp/B0B8QLHYPW)

中川大輔
中川大輔
なかがわ・だいすけ

1998年1月生まれ。東京都出身。2016年、第31回集英社メンズノンノモデルオーディションでグランプリを獲得し、芸能界入りを果たす。『俺のスカート、どこ行った?』で連続ドラマ初レギュラー出演、『仮面ライダーゼロワン』で迅 / 仮面ライダー迅役を演じ、注目される。他の出演作にドラマ『極主夫道』、ドラマ『花嫁未満エスケープ』、映画『ウェディング・ハイ』など。また、メンズノンノウェブサイトで『実践!中川奮闘記』を連載していたほど漫画の実力も持つ。

青木柚
青木柚
あおき・ゆず

2001年2月4日生まれ。神奈川県出身。足立紳監督・脚本による映画『14の夜』で注目される。映画『MINAMATA―ミナマタ―』ではジョニー・デップと共演し、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』ではヒロイン・ひなたの弟である桃太郎を演じて話題に。他の出演作にドラマ『きれいのくに』、ドラマ『プロミス・シンデレラ』、映画『うみべの女の子』など。今後も『はだかのゆめ』『まなみ100%』『神回』など主演映画が待機中。