古代中国を再現した映像美と迫力のアクションシーンで、すでに満足感!?
【週末シネマ】中国の四大民間説話の一つ『白蛇伝』の前世の話として作られた『白蛇:縁起』は、中国のアニメ会社とワーナー・ブラサースがタッグを組んで制作したフル3DCG長編アニメーション映画だ。今回はレビュー記事として、本作品の魅力を紹介していこうと思う。
唐王朝末期。国師は民間人に、蛇を大量に捕らえるよう命じていた。そんな「捕蛇村」で目覚めた一人の美しい少女・白(ハク)。記憶を失っていた白は、その村に住む宣(セン)という少年と出会い、二人で白の記憶を取り戻すため冒険の旅に出ることとなった。そんな中、白は次第に、自分の正体が“白蛇の妖怪”であることを思い出してゆく。一方その頃、白が属す蛇族と国師との間で、激しい争いが始まろうとしていた……。
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まず初めに感じたことは、その圧倒的な3DCG技術の凄さだ。キャラクターたちの髪や服、表情などの緻密さはもちろんだが、古代中国の風景を再現した美しい自然の描写には目を見張るものがあった。上空から見下ろす一面の紅葉や色鮮やかな夕焼けのシーンには、広大な景色をまるごと一望しているような感動を覚えることだろう。個人的には、透明感のある水の描写がとくに印象に残っている。また、アクションシーンにも注目だ。滑らかで俊敏なスピード感あふれる動作と洗練されたカメラワークで、キャラクターたちの壮大なバトルを生き生きと描写している。ストーリーもさることながら、映像作品としての見応えも充分だ。
Snow Man佐久間大介の演技力も必聴!
本作の主人公は、ある任務により記憶を失った少女・白。宣の住む捕蛇村で目覚めた白は、何かのきっかけにつけては、微かな記憶をフラッシュバックさせてゆく。そんな白と知り合った宣は、蛇狩りをしつつも蛇が苦手という陽気な少年。白と惹かれ合い、白の正体を知った後も、変わらず白を愛す心優しいキャラクターだ。
また宣の声は、ジャニーズグループ・Snow Manの佐久間大介が担当している。劇中では、前情報が無ければ気付かないほどの自然なアフレコを披露しており、彼のファンの方にも本作を楽しんでいただきたい。
個性豊かで魅力的なキャラも続々!
メインキャラ2人に加え、脇を固めるキャラクターからも目が離せない。宣が飼う犬の「はらまき」は、宣と白にお供する何とも絶妙な愛らしさがあり、物語のキーとなるアイテムを作った宝青坊の主は、人間の姿をした狐の妖怪というセクシーさと可愛さを併せ持った、これまた魅力的なキャラクターだ。他にも、白の妹分・青(セイ)をはじめとする蛇族の面々や、白を追いかける敵キャラや猛獣など、個性的なキャラクター勢ぞろいで作品を盛り上げてゆく。
上映時間も程よい長さのため、途中でダレることなく次々と物語が展開し、集中してストーリーに引き込まれることだろう。中国国内70億以上の興行収入を記録した、大ヒット作というのも納得のハイクオリティ映画を、是非ともご覧いただきたい。(文:斎藤好花/ライター)
『白蛇:縁起』日本語吹替版は、2021年7月30日より公開
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