権力に屈せず立ち上がる若者たちを捉えたドキュメンタリー3本

#ドキュメンタリー#マララ・ユスフザイ#わたしはマララ#私たちの青春、台湾#香港画

香港画
『香港画』 2020年12月25日より公開
香港画
『私たちの青春、台湾』 2020年10月31日より公開
『わたしはマララ』

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリが1月3日に18歳の誕生日を迎えたという。15歳の時から、気候変動に対する提言を世界に向けて発信し、世界的に注目を集めたグレタ。トランプ大統領をはじめとする、彼女の言動を良しと思わない大人たちから辛らつな言葉を浴びせられても、屈せずに前を向くその姿は目を見張るものがある。そして世界に目を向ければ、多くの“立ち上がる”若者たちの姿を見ることができる。

・脅かされる香港の民主主義、若者たちが主役の香港デモを知るための3本

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香港民主化デモに参加した若者たちの姿を記録 『香港画』

現在、劇場公開中の映画『香港画』(2020年12月25日より公開)は、2019年の香港民主化デモに参加した若者たちに密着した28分の短編ドキュメンタリー。「逃亡犯条例改正案」をきっかけに2019年6月よりエスカレートしていった香港民主化デモ。たまたま仕事で滞在していた香港でデモ隊と遭遇した堀井威久麿監督は、デモに参加する人たちの若さに驚き、彼らが何を考えているのか記録を始める。

時には監督自身が催涙ガスなどを浴びながらも撮影を敢行。5年前はクールだったと語る香港の人たちが、ここまで熱くなるのはなぜなのか。新たに何かが欲しいのではなく、今まであったものを奪われることが許せないのだと。若者たちのリアルな声がズシリと響き渡る。お披露目となった門真国際映画祭2020では、ドキュメンタリー部門・最優秀賞を受賞した。

台湾学生運動のリーダーとブロガーの活動を追う『私たちの青春、台湾』

2014年に台湾で起きた「ひまわり学生運動」は、香港民主化デモにも影響を与えたと言われる抗議運動のこと。中国と台湾の貿易の自由化を目指した「サービス貿易協定」に反対した学生たちが立法院(国会)に突入、23日間にわたって占拠した。この結果、審議のやり直しが行われることとなった。議場に飾られたひまわりの花がシンボルとなり、「ひまわり運動」と呼ばれるようになった。

傅楡(フー・ユー)監督のドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』(2020年10月31日より公開)は、「ひまわり学生運動」のリーダー・陳為廷(チェン・ウェイティン)、人気ブロガーの中国人留学生・蔡博芸(ツァイ・ボーイー)に迫る。理想を追い求める若者たちが、やがて理想と現実の壁にぶち当たり、右往左往する姿は、民主主義というものの難しさを感じさせる。

ノーベル平和賞を受賞した少女の強さと素顔『わたしはマララ』

2014年、ノーベル平和賞を最年少となる17歳で受賞し、時の人となったパキスタン人の少女マララ・ユスフザイ。タリバンに撃たれながらも、女子が教育を受ける権利を訴え続ける彼女の素顔と、その家族との特別な絆を描き出したドキュメンタリー映画が『わたしはマララ』だ。自分の信念を持って声をあげ続ける少女の力強さを描き出す一方で、彼女がしばしば口にする「普通の女の子」の側面も描き出される。(文:壬生智裕/映画ライター)

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