シャロンが大胆シーンを披露した隠れ人気作『硝子の塔』
『氷の微笑』(1992年)のセクシーな演技で一躍スターダムに躍り出たシャロン・ストーンが、その翌年に公開されたサスペンス映画『硝子の塔』(1993年)でも再び大胆なセックスシーンを披露しているのをご存じだろうか。
・取調室でのスカートの奥に目が釘付け! 激しい騎乗位も必見の伝説的スリラーがエロすぎる
『硝子の塔』は、アカデミー賞授賞式の前夜に「最低の映画」を選出することで知られる第14回ゴールデンラズベリー賞(1994年)で最低作品賞にノミネートされている。そんな不名誉な扱いを受ける一方で、イギリスのエンタメニュースサイト「digital spy」が2012年に選出した「映画に出てくる名セックスシーンベスト10」では5位にランクインを果たしている。映画が不評にもかかわらずセックスシーンは好評とはなんとも皮肉な話だが、『硝子の塔』のセックスシーンはなぜ多くの人の心を捉えたのか。一体どのくらいエロイのか。女性目線で紐解いてみたい。
バスタブでの自慰行為も隠しカメラで撮られていた
シャロンが演じるのは、7年間の不幸な結婚生活にピリオドを打ってニューヨークの高級マンションに越してきた女性編集者カーリー。引っ越し直後にマンションの住人から、自分の部屋に以前住んでいたナオミ・シンガーという女性が飛び降り自殺したことを聞かされる。しかもその女性はカーリーに酷似しているという。ほどなくして、その住人がバスルームで死亡。気になって図書館で過去の新聞記事を調べているうちに、自分が住むマンションでは相次いで住人が怪死していることを知る。「このマンションは何かがおかしい」。カーリーも観客も、漠然とそんな思いを抱き始める。
自室のバスルームはプライベート空間であるはずなのに、カーリーの入浴シーンがモニター越しにモノクロ映像で映し出される。どうやらこのマンションでは、全ての住人が隠しカメラで監視されているらしい。ここで観客は、この映画のタイトル『硝子の塔』の意味を知ることになる。バスタブに浸かりながら自慰行為にふけるカーリーの姿も、何者かによって全てレンズ越しに見透かされているのだ。
言葉とは裏腹に相手を欲しているヒロイン
カーリーは次第に、同じマンションに住む若いイケメンのジーク(ウィリアム・ボールドウィン)と親密になっていく。スポーツジムでの初デート後にジークの部屋を訪れたカーリー。会話の途中でジークが急に距離を縮めてきたことで、2人の間に流れる空気が一変。それを察したカーリーは、「失礼するわ」と言いつつもその場を立ち去る気配は微塵もなく、服を脱がされても抵抗すらしない。言葉と心は裏腹で、内心では明らかにジークを欲しているのである。
切ない表情で声を漏らしながら悦ぶ姿に…
沈黙したまましばらく見つめ合った2人はついに唇を重ね、カーリーはジークにゆっくりと押し倒されていく。ジークは下着姿のカーリーの肩や背中をやさしく舌で愛撫しながら、パンティーを脱がせて股間に顔を沈める。押し寄せる快感に身もだえしながら熱い吐息を漏らすカーリー。次のシーンでは、ジークと向かい合って切ない表情で腰を沈めながら何度もやさしいキスを交わす。
そんな2人の姿も、例の監視モニターにしっかりと映し出されている。大胆さや激しさはないものの、カーリーが間断なく漏らす切ない声が逆にエロさを掻き立てる。激しいだけがエロさではない、ということを痛感させてくれるセックスシーンだ。切ない表情で泣きそうな声を漏らしながら悦びを表現するカーリーに、多くの人がエロチシズムを感じたのではなかろうか。
果たして2人の情事を盗み見ているモニターの主は誰なのか。その後もマンション内で新たな殺人事件が起きるなど、作中に流れる不穏な空気はますます濃厚になっていく。筆者は、これが最低作品賞にノミネートされるほどの駄作とは思わないが、果たしてみなさんはどう感じるだろうか。シャロン・ストーンのエロ切ない演技と共に、作品の良し悪しをチェックするのも一興かもしれない。(文:春蘭/ライター)
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