新型コロナ感染拡大で映画界打撃、3月1位の『Fukushima 50』興収も伸びず

#映画#映画興収レポート

『Fukushima 50』
(C)2020『Fukushima 50』製作委員会
『Fukushima 50』
(C)2020『Fukushima 50』製作委員会

新型コロナウィルスの感染拡大に映画界も大きく揺れた3月興行。公開を延期する作品が相次いだ。3月公開作で延期した主な作品は以下の通り。

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』
『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』
『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』
『2分の1の魔法』
『ドクター・ドリトル』
『ソニック・ザ・ムービー』
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』
『ハリエット』
『劇場版 Fate/stay night [Heaven`s Feel] III. Spring song』

米国、新型コロナで劇場主らが政府に支援要請

振り返れば、2011年の3月興行も東日本大震災が直撃した。だが、震災の影響を受けなかった地域では映画館が営業を続けていたこともあり、3月公開作には興収10億円超えのヒット作が多かった。

『SP THE MOTION PICTURE 革命篇』33.3億円
『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』24.6億円
『塔の上のラプンツェル』25.6億円
『ツーリスト』18.7億円
『映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ世界をつなぐ☆虹色花』10.2億円

対する今年の3月公開作で10億円超えはゼロ。特に3月28日〜29日の週末は東京、神奈川、埼玉の映画館が休業、大阪府でも外出の自粛が要請された影響が大きく出た。1位『Fukushima 50』の興収は7.3億円だった。本作は東日本大震災の大津波で全電源を喪失した福島第一原発を舞台に、原子炉の制御に奔走した現場作業員たちを佐藤浩市と渡辺謙の共演で描く骨太ドラマだ。今年は「復興五輪」を掲げる東京オリンピックの開催もあり、3・11の前、3月6日に公開日が設定された。月刊「文化通信ジャーナル」のインタビューを受けた製作元KADOKAWAの担当役員によれば目標興収は最低30億円。「『Fukushima 50』にあやかって興収50億円に相当する人たちに見てほしい」とコメントしていた。新型コロナウィルスの感染が拡大してきたのは、長期間にわたり宣伝を展開している真っ最中。公開延期となると改めて宣伝を始めなければならず、感染の収束時期が見えない中では公開時期をいつにするか見通せない。公開延期の選択肢は取りづらかったようだ。

4月興行はどうなりそうか。既に洋画の話題作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』『ムーラン』は公開延期となり、5月1日公開の『ブラック・ウィドウ』も延期となった。邦画で最大の期待作が、4月17日公開『名探偵コナン/緋色の弾丸』。前作が93.7億円の大ヒットを記録している。3月公開作のように延期となるのか、予定通り公開されるか。4月興行の行方を大きく左右する。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

[3月公開作ランキング]
1位『Fukushima 50』7.3億円
2位『仮面病棟』6.7億円
3位『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』3.9億円
(3月29時点。ムビコレ調べ)