原作に忠実なのがいいとは限らない…!? ラブコメ実写化の難しさを痛感

#ニセコイ#元ネタ比較#DAIGO#河合勇人

『ニセコイ』
(C)2018映画『ニセコイ』製作委員会
(C)古味直志/集英社
『ニセコイ』
(C)2018映画『ニセコイ』製作委員会
(C)古味直志/集英社

…中編「金髪碧眼の中条あやみ、「非の打ち所がない」と原作者からお墨付き!」より続く

【元ネタ比較】『ニセコイ』後編
意外! トボけたDAIGOが一番ハマってた!?

「週刊少年ジャンプ」のラブコメ史上で最長連載の記録を持つヒットコミック「ニセコイ」が実写映画化された。監督はテレビシリーズと映画の『鈴木先生』でメガホンを取り、『兄に愛されすぎて困ってます』などコミックの実写化も手がけてきた河合勇人。撮影現場に原作コミックを持ち込んで、原作に忠実に作品作りを進めて行ったのだとか。

原作をリスペクトして撮影現場に持ち込むスタイルは珍しくない。しかしながら、それはシリアスな内容だと成立するかもしれないけど、こういうドタバタもあるラブコメディでやると無理があるというもの。なんとも白々しくて見ている方が居心地悪い気分を味わうことに……。

蹴ったり叩いたりというアクションは漫画のなかでは軽快で可笑しくても、生身の人間がやるとどうしても暴力的に見えてしまうし、コミカルな動きもただの不自然な動作にしか見えなくなってしまう。コメディの実写化にしては珍しく成功してヒットもした『銀魂』も、お笑い部分は漫画のようなバカバカしい内容だったが、原作に忠実なわけではなかった。他人の褌で相撲を取ったわけではなく、福田雄一監督は自分のセンスで全力でふざけていた。だから面白くて笑えた。

原作に忠実なのが他人の褌を借りていることになるわけではないが、こと笑いに関しては特に繊細な感覚を要するものだと思う。作り手がしっかりと自分の中に原作を取り込んで自分自身の感覚でアウトプットしないことには浮いてしまって、面白く笑えるものにするのは難しいのだろう。今回はそのことを痛感することになってしまった。

そんななかで光っていたのはギャング組織の幹部で千棘のボディガードであるクロード役のDAIGOだ。どんな時でも変装して出没し、千棘たちを監視しているクロードなのだが、どんなに七変化を見せてもDAIGOはDAIGOなのだ。それでいて鋭い眼光のクロードに見えるし、実は女の子である誠士郎を男の子だと思い込んでいる抜けたところのあるクロードとトボけたキャラクターのDAIGOが重なって、役によくハマっている。DAIGO扮するクロードが出ているシーンは安心感があって面白く見ていられた。エンドロールのメイキング映像で流れたクロード姿でのウィッシュポーズもついカッコ良く見えてしまったほどだ。(文:小野田礼/ライター)

『ニセコイ』は2018年12月21日より公開中。