稲垣吾郎の鋭い質問に監督が謝罪!? 撮影の裏側からラストシーンのこだわりも、今だから話せる『正欲』秘話
稲垣「今までに見たことのない自分がスクリーンで見れました」
映画『正欲』の大ヒットを記念してトークイベントが開催され、主演の稲垣吾郎と岸善幸監督が登壇。公開した後だからこそ話せる撮影現場の裏話や、稲垣が映画ライターさながらに監督に撮影手法について切り込むなど、2人の信頼関係が垣間見えるクロストークが展開された。
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本作の反響の大きさについて問われた稲垣は、「嬉しいですね。俳優もスタッフの方も覚悟が必要な、忘れられない撮影期間だったと思うので、こうやって皆さんに届いて反響を頂けるのはとても嬉しく思っています。見て頂くと新たに映画の命に灯がともる、これからもっと皆さんの力で広めて頂けたらと」と喜びを語った。
価値観が揺れ動く人物を演じるのは難しかったのではという問いに対しては、「映画は順番に撮影していくことはなかなかできないんですよね。なので、啓喜の中の心の変化のグラデーションを監督とさじ加減を話し合いながら作り上げました。あとは監督が寄り添って導いてくださった」と答え、現場で監督と2人3脚で啓喜という人物を作ったことを語った。
稲垣が、現場での監督はいつもニコニコしていたとほっこりした暴露をすると、岸監督は「普段は俳優にほぼ任せることが多いが、今回は難しい題材なので現場を和やかにする雰囲気づくりは意識しました。皆さん撮影が始まるとふっと役に入られるので、それまで雑談などをしていましたね」と現場の雰囲気づくりの“コツ”を披露。
稲垣は「父親の気持ちとかをアドバイスしてもらいました。撮影の内容的にもシリアスで緊張感があった分、監督がニコニコしていることで、みんなその空気に助けられていたと思います」と感謝の言葉を述べた。
啓喜役を演じた稲垣は監督たっての希望でキャスティングされた。稲垣の演技について監督は、「稲垣さんがこの映画に出て頂けるというところで90%イメージできました。そこで僕が10%分一言何か言うことでこれまでの稲垣さんではないくらいパワーを発揮してもらえるのではと思った」と語る。
それに対して稲垣は「カメラが回る前に僕のところに来て耳元でボソボソって一言伝えてくれる。その一言がとても響くんですよね」と納得の様子。さらに「ね、そうだよね」とポスターパネルの新垣結衣と磯村勇斗にマイクを向けて話しかけて、観客の笑いを誘う場面も。
その一言について問われると岸は、現場に稲垣が差し入れをしてくれたものの感想を伝えていたと言う。「最初からシリアスな話をするのではなく、砕けた話をまずしてから、伝えたいことを伝える」という監督ならではのコミュニケーション術を明かした。
本作では編集も務めた岸監督。編集の際に感じたことを問われると「基本的に演技プランは役者陣に任せるものの、演技の演出をいれる時も少しあります。ただ、結局最終的に編集で使うのは、役者の演技プランに任せた最初の方のテイクなんです」と語る。
対して稲垣は岸組の撮影について、「岸監督は現場で様々な角度から撮影されていましたね。だから役者側としては、どの角度からの映像が使われるのかわからないんです。だからこそ自分が意図していない表情がカメラに撮られていて、今までに見たことのない自分がスクリーンで見れました」と感慨深げに語った。
しかし、「公開後の今だから思い切って聞いちゃおうかな…」と前置きした上で、「ラストシーンの絵コンテが見えちゃって、僕の表情のアップで終わる予定だったと思うんですけど、完成した映画を見てそのカットは本編には使わなかったんだ、と思いました(笑)」と本音をポロリと明かす。
すかさず岸監督が「使わなくてすみませんでした(笑)」と頭を下げると、会場は笑いに包まれる。続けて「シーンをカットするのは本当に心苦しいことです」と語ると、稲垣は「監督のその選択がまた良いんですよね。それぞれのキャラクターがしっかり描かれた作品に仕上がったと思う」とフォローした。
最後に稲垣は「公開されて暫く時間が経ってからもこのように皆さんの前で監督とトークすることができて嬉しいです。皆さんの大切な映画の仲間入りにしてくれたら嬉しいです。そしてまだ見ていない方に1人でも多くにこの映画を届けていきたいので、ぜひ皆さんSNSや友だちに感想を伝えて広めてくれたらと思います」と観客へのフェイバリットムービーとなることを願い、熱冷めやらぬ開場のままトークイベントは幕を閉じた。
『正欲』は現在公開中。
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