この上なく美しく、そして残酷。異形の連続猟奇殺人ミステリー『ヒンターラント』予告編

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『ヒンターラント』
(C)FreibeuterFilm / Amour Fou Luxembourg 2021
『ヒンターラント』
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『ヒンターラント』

『ヒトラーの贋札』の名匠ステファン・ルツォヴィツキー監督最新作

アカデミー賞外国語映画賞受賞作『ヒトラーの贋札』(07年)のステファン・ルツォヴィツキー監督最新作にして、ロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞した連続猟奇殺人ミステリー『ヒンターラント』。本作より悪夢のような予告編を紹介する。

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第1次世界大戦終結後、長く苦しいロシアでの捕虜収容所生活から開放され、ようやく故郷にたどり着いた元刑事ペーター(ムラタン・ムスル)とその戦友たち。しかし、帰国した彼らを待ち受けていたのは、変わり果てた祖国だった。敗戦国となり皇帝は国外逃亡。愛する国と家族を守るために戦った彼ら兵士たちに対するねぎらいの言葉すらない。そして帰宅した家に愛する家族の姿はなく、ペーターは行き場をなくす。

『ヒンターラント』

そんな最中、河原で奇妙な遺体が発見される。被害者はペーターのかつての戦友だった。遺体には相手に苦痛を与えることを目的に仕掛けられた拷問の跡、そしてその痕跡は犯人もペーターと同じ帰還兵であろうことを告げていた。ペーターは自身の心の闇と向き合うために、自らの手で真相を暴くべくボロボロの心身に鞭打って動き始めるのだが……。

監督は実録歴史ミステリー『ヒトラーの贋札』で第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した名匠ステファン・ルツォヴィツキー。今作では同じく歴史の暗黒時代に焦点を当てながらも、全編ブルーバックによる撮影で、まるでダークファンタジーのような世界観を立ち上らせる。

残酷な戦争の悲劇を寓話的に、そして絵画的に描き出した美しい悪夢のような本作は、多くの観客を魅了。ロカルノ国際映画祭では観客賞を受賞、母国最高の栄誉であるオーストリア映画賞で6部門ノミネート、美術賞を受賞するなど高い評価を獲得した。

物語は、戦争ですべてを失った主人公の元刑事ペーターが、かつての戦友たちを標的にした連続殺人事件に直面するところから始まる。紹介する予告編映像には、まるで美しい悪夢を見ているかのような独創的な映像美と、様々な方法で惨殺される戦友たち、謎の数字やキーワードといった映画ファンの心をくすぐる要素が満載だ。

場面写真でもその特異な世界観の一端が垣間見える。全編ブルーバックで撮影された歪んだ背景と独創的な映像について監督は、「戦争に破れ世界全体がおかしくなってしまったと感じている主人公の認知の歪みを視覚的に表現している」と語り、同時にこれは「デジタル版の『カリガリ博士』(20年)を描こうと言う試み」だったという。

『ヒンターラント』

非現実的な描写によって内面的な感情や主観的な意識を強調し描く、いわゆる「ドイツ表現主義」の傑作映画『カリガリ博士』の現代版とはいかなるものなのか。7月21日にはムビチケオンライン券も発売となる本作。ぜひその唯一無二の映像世界を劇場で体感してほしい。

『ヒンターラント』は9月8日より劇場公開。

・『ヒンターラント』の場面写真はこちらから!

・[動画]『ヒトラーの贋札』監督最新作、異形の連続猟奇殺人ミステリー映画『ヒンターラント』予告編

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