2023年の期待作、話題作を紹介【前編】『オールドボーイ』パク・チャヌク監督最新作はオスカー国際長編映画賞の有力候補!

#SHE SAID/シー・セッド その名を暴け#アントマン&ワスプ:クアントマニア#イニシェリン島の精霊#ウーマン・トーキング#エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス#バビロン#別れる決心

別れる決心
『別れる決心』(C)2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

長いコロナ禍が収束の兆しを見せ始め、映画館に大作が戻ってきた2022年を経て、2023年は年明けからは3月12日(現地時間)発表の第95回アカデミー賞関連の作品が続々公開される。

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『イニシェリン島の精霊』(1月27日公開)は2022年9月の第79回ヴェネチア国際映画祭での2冠(脚本賞、男優賞)を皮切りに、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞などオスカー・レースの前哨戦でも受賞を重ねている注目作。監督・脚本は『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナーだ。1920年代のアイルランドの小さな島で、突然親友から絶縁を言い渡されて困惑する男の物語だ。気のいい主人公を演じたコリン・ファレルはヴェネチアで男優賞を、不条理な悲喜劇を描いたマクドナーが脚本賞を受賞した。

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映画がサイレントからトーキー映画へと移行する時代のハリウッドが舞台の『バビロン』(2月10日)は3時間を超える大作。『ラ・ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督がブラッド・ピットとマーゴット・ロビーを主演に迎え、壮大なスケールで往時のハリウッドの退廃と狂騒を描く。

『ムーンライト』をはじめアカデミー賞受賞作を輩出し続けている映画会社「A24」の今年の勝負作は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(3月3日)。コインランドリーの経営難で破産寸前の中国系移民一家の女性が国税庁の監査に苦しむ一方で、気弱な夫とマルチバース(並行世界)にトリップし、世界を救うために戦うという奇想天外な物語に主演するのは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)のミシェル・ヨー。80年代に『インディ・ジョーンズ/魔球の伝説』や『グーニーズ』で人気子役だったキー・ホイ・クァンが夫役で久々に俳優に復帰し、各映画賞で助演男優賞を受賞している。

昨年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したパク・チャヌク監督の『別れる決心』(2月17日)は国際長編映画賞の有力候補と目されている。

そのほかの注目作は、MeToo運動のきっかけとなった、2018年のハーヴェイ・ワインスタンの性暴力告発記事が発表されるまでを描いた『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(1月13日公開)。ニューヨーク・タイムズ紙で取材・執筆にあたった女性記者2人を主人公に、実名で被害を訴えた女優のアシュリー・ジャッドも本人役で出演している。

自給自足生活をするキリスト教一派の村で頻発した女性への性的暴行事件の実話をもとに、サラ・ポーリー監督がルーニー・マーラ、クレア・フォイ、フランシス・マクドーマンドが製作も兼ねて出演する『ウーマン・トーキング 私たちの選択』は初夏公開予定。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)31作目にして、MCUフェーズ5の幕開けとなる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2月17日)は、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギによると「新たな“アベンジャーズ”に繋がる作品」とのこと。身長1.5センチの最小“アベンジャーズ”アントマンと相棒のワスプの新たな物語は日米で同時公開される。

新体制が敷かれ、大幅な変革が進むDC映画の新作『シャザム!〜神々の怒り〜』もある。神々の怒りを買った半人前ヒーローのシャザムの前に、復讐に燃える神の娘たちが現れ、バトルを繰り広げる。

黒澤明監督の名作『生きる』を、イギリスを舞台にノーベル賞文学賞受賞作家のカズオ・イシグロが脚色を手がけた『生きる LIVING』は3月31日公開だ。

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督と主演のティモシー・シャラメが再び組んだ『ボーンズ アンド オール』(2月17日)はカニバリズムに取り憑かれた若者2人が主人公の、R18+指定の衝撃のドラマだ。

シリーズ5作目が前作から15年ぶりに作られた『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(6月30日)は、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(08)の続編。ハリソン・フォードが80歳にしてインディアナ・ジョーンズを演じ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、マッツ・ミケルセン、アントニオ・バンデラスが出演する。

『インディ・ジョーンズ』のプロデューサーを務めたスティーヴン・スピルバーグは自伝的映画『フェイブルマンズ』(3月3日)を監督。第二次世界大戦後に生まれ育ったサミー・フェイブルマンという少年と家族の物語で、映画に魅せられた少年はスピルバーグが自身の少年時代がモデル。アカデミー賞で作品賞受賞作の多くが受賞するトロント国際映画祭観客賞を昨年9月に受賞している。

昨年『トップガン マーヴェリック』が全世界で大ヒットを記録したトム・クルーズは今夏、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(7月21日)公開が控えている。シリーズ7作目となる本作では断崖絶壁からバイクでジャンプし、命知らずのスタントのハードルを上げ続けるクルーズの活躍に期待が高まる。

邦画では、木村拓哉が織田信長を演じる『THE LEGEND & BUTTERFLY』(1月27日)がいよいよ公開される。信長を「レジェンド」、帰蝶とも呼ばれた信長の正室・濃姫を「バタフライ」として、天下統一を目指す2人の物語で、脚本を今年の大河ドラマ「どうする家康」の古沢良太が手がけた。

先日最終回を迎えた主演ドラマ「エルピス−希望、あるいは災い−」(関西テレビ)が高評価を得た長澤まさみが、松山ケンイチとW主演の『ロスト・ケア』(3月24日)は介護センター勤務で連続殺人犯となった青年と、彼と向き合う検事の女性の物語。

庵野秀明監督、池松壮亮主演の『シン・仮面ライダー』(3月)、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(7月14日)是枝裕和監督が脚本家の坂元裕二と初タッグを組んだオリジナル映画『怪物』(6月2日)、また来年のゴジラ生誕70周年を控えて日本のゴジラ作品30作目となる山崎貴監督のタイトル未定の最新作(11月3日)など、詳細は明らかになっていないが、楽しみな新作が揃う。

他に『東京リベンジャーズ』の続編『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』が前後編2部作として、『-運命-』がGW、『-決戦-』が夏に公開される。同名韓国映画を岡田准一、綾野剛主演でリメイクする『最後まで行く』(5月19日)の藤井道人監督は、横浜流星主演で美しい自然の中にある村でダークサイドに堕ちた青年を通して現代社会の縮図を描くサスペンス『ヴィレッジ』も2023年公開予定だ。[後編へ続く]

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